農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 97

<<   作成日時 : 2016/02/14 01:07   >>

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「……………」
 ドモンは、シュバルツとハヤブサが優しく微笑みあっているのをなんとなく憮然とした想いで見つめていた。
 兄に、仲がいい友人がいるのはいいことだと思う。それなのに、『面白くない』と感じてしまうのはなぜなのだろう。自分だって、もう少し力があれば、兄を完璧に守れたのにと思うのだ。
 まあ、100歩譲って、あの状態で最後までシュバルツを守ってくれた、その根性は認めてやってもいいが――――

「ドモン!!」

 ドモンが振り返ると、キョウジが走り寄ってきていた。
「兄さん!」
「ドモン、大丈夫だったか……? 心配したぞ」
 こちらの手を握り、見つめてくるキョウジの瞳が潤んでいる。余程心配していてくれたのだと知った。
「うん……。俺は大丈夫だよ。ありがとう……」
 兄の手を握り返しながら、微笑み返す。兄の愛情を感じることができたドモンは、少し落ち着くことができた。
「兄さん、俺よりも、あっちのハヤブサの方を見てやってくれ。酷い怪我をしているんだ」
 ハヤブサにむかつきを感じていたとしても、シュバルツを守ってくれた恩がある。それは返さなければならぬ、と、ドモンは律義に思っていた。
「――――! 分かった!」
 キョウジは踵を返して、シュバルツとハヤブサの方へ走っていく。ドモンがその後姿を見送っていると、東方不敗が声をかけてきた。
「ドモン、待ちくたびれたぞ」
「師匠!」
「見よ。あれが、わしらが倒すべき敵だ」
「…………!」
 東方不敗に指示されるままに、ドモンが顔を上げる。すると、胸の辺りを破壊され、もがき苦しんでいる邪神ラクシャサの姿が視界に飛び込んできた。
「………でかいな……」
 ドモンが素直な感想を漏らす。自分が異世界で見た邪神は、こんなに巨大ではなかったはずだが――――

「あ奴はどうやら、シュバルツのDG細胞を依代に選び、現世に復活しようと目論んだようだな。その力を使って我らの攻撃のエネルギーを吸収し、巨大化していったのだ」
 ここまで話してから、東方不敗はフッと笑う。
「じゃが……心臓に当たる『核』を奪われた。あ奴ももう長くはないであろうな……」
「……………!」
 ドモンと東方不敗は、邪神に取り込まれかけていたシュバルツの方に視線を移す。ちょうど、キョウジがハヤブサを介抱しているシュバルツのところに、走り寄って膝をついているところであった。

「シュバルツ! ハヤブサ!!」

「キョウジ……!」
「二人とも、大丈夫か!?」
「私は平気だ。だがハヤブサが――――」
 話しながらシュバルツは、キョウジにハヤブサが見えるように体制を変える。シュバルツの腕の中で、ハヤブサが低く呻いていた。
「………心配、するな……。俺は……平気――――」

「平気なわけないだろう!! こんなに傷だらけになって――――!!」

 キョウジは今まで大事に持ち続けていた折り鶴をそっと横に置くと、ハヤブサの状態を検分しだした。
(傷だらけじゃないか……! それに、出血もひどい……。早く手当てをしないと――――)
 ここまで思ってから、キョウジはあることに気付く。
(……筋肉の量が、戻ってきている?)
 ここに寝たきりで、点滴を受けていたハヤブサの身体は、やせ細っていた。しかし今、いつもの忍者スーツを身にまとったハヤブサの身体つきは、健康な時のそれと、何ら変わりがないような気がする。
(どういうことだろう……。ハヤブサにかけられていた呪いのようなものが解けたから、こうなったのだろうか……)
 いろいろと詳しく調べたいこともあるが、今はとにかくハヤブサの身体を手当てすることが先決だと思った。
(あ……でも、救急箱………どこ行ったっけ……)
 自分のアパートすら、もうほぼ跡形もないほど破壊されつくしているこの状況。道具一つ探すにも、かなり困難な状態になっていた。それでも探さなければ、と、キョウジは立ち上がる決意をする。
「シュバルツ、ハヤブサの応急手当てをしておいてくれないか? 私は救急箱を探して――――」
 その言葉が終わらないうちに、ダメージにのたうっていた邪神が吼えた。

「おのれ!! 許さぬ!! 人間どもめ!! よくも吾の心臓を!!」

 胸に空いた穴を塞ぎきらないうちに、邪神は目をぎらつかせ、目標を探す。そして、少し離れたところでハヤブサを抱きかかえている、シュバルツの姿を見つけた。

「『心臓』は大人しく―――――吾の中に戻れ!!」

 邪神から伸びた触手のようなケーブルが、うなりをあげてシュバルツに襲い掛かる。
「―――――!」
 それを見たハヤブサが、シュバルツを庇おうとあがき――――シュバルツは、ハヤブサとキョウジの両方を守ろうと手を伸ばす。しかし、忍者二人の動きをキョウジが制した。(動かなくていい)と、手を上げて伝える。
 そして、キョウジの言葉通り、動く必要はなかったと忍者たちはすぐに悟ることとなる。
 触手がキョウジたちに届く寸前、一つの影がその前に飛び込んできた。ドォン!! と、派手な音を立てて触手と影がぶつかる。そして次の瞬間――――ばらばらと崩れ去っていったのは、攻撃を仕掛けてきた触手の方であったのだから。

「フン……。わしの目の前で、我が王に傷がつけられるとでも思っておったのか!?」

 触手を砕いた東方不敗が、キョウジを庇うように立ち、邪神を睨み付けている。その後ろでキョウジは、苦笑いにも似た笑みをその面に浮かべていた。自分は王じゃないですよ、と、東方不敗に言い続けているのだが、どうやら彼の方に、一向にそれを聞き入れる気はないらしい。困ったものだ、と、キョウジは思った。
「……シュバルツ、ハヤブサを守っていてくれ。多分この戦いは――――」
 後少しで済む、と、キョウジが言うよりも先に、ハヤブサから声が上がった。

「その必要は、ないぞ……! キョウジ………!」

 そう言うと、ハヤブサはシュバルツの腕の中からふらふらと身を起こした。その腕の中には、キョウジが持ち続けていた折り鶴が、あった。
 

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