農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS マリオネット狂想曲 3

<<   作成日時 : 2016/04/28 14:03   >>

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「う………! ぐ………!」
 男は低くうめきながらも、なんとか目の前のシュバルツに反撃しようと隙をうかがう。しかし、刀を下げ、無造作に立っているように見えるシュバルツから、なぜかその隙を見出すことができない。
「話してくれないか? 何が狙いだ?」
「……………」
 男からは沈黙が返ってくるのみ。そして、周りから再び矢と手裏剣が飛来してくる。
「―――――!」
 シュバルツはやむを得ず尋問をあきらめ、男を突き飛ばしてから自身も再び走り出す。その刹那、二人のいた地点に、ドドドッと音を立てて矢や手裏剣が突き刺さった。忍者たちは相変わらず遠巻きに飛び道具を使って攻撃するばかりで、こちらに接近してくる気配を見せない。
(指揮を執っている者はどこだ!? それさえ特定できれば――――!)
 シュバルツがそう思いながら周囲を探っているときに――――それは起きた。

「きゃあっ!!」

「―――――!」
 甲高い悲鳴にシュバルツがはっと振り返ると、人の女性が忍者によって羽交い絞めにされていた。ジョギングをしていたのだろう。トレーニングウェア姿のその女性は、忍者の手にしている刀を見た途端、血相を変え、さらに叫び声を上げようとしていた。
「きゃ………!」
「黙れ!!」
 女性は、口を塞がれ鳩尾に当身をくらわされる。彼女はくぐもった呻き声をあげると、そのまま昏倒してしまっていた。
「な―――――!」
 驚くシュバルツに向かって、一本の矢が飛来する。彼はそれをよけずにそのまま肩に受けた。『人質』の存在は、それほどまでに、シュバルツから戦闘意思を奪ってしまっていた。
「自分の『立場』がよく分かっているようだな……。話が早くて良い」
 別方向の木の上から、頭領らしき男がゆらりと姿を現す。彼は少し愉快そうに笑うと、シュバルツに改めて命じた。
「そのまま刀を置け。抵抗すると、どうなるか分かっているな?」
「……………」
 シュバルツは無言で、昏倒している女性と、その首元に当てられている刀の煌きを見る。自分から女性までの距離が、少しありすぎた。これでは、自分が女性を救うために何らかの動きを起こしたとしても、忍者の刀の方が、一瞬早く女性の命を奪ってしまうだろう。
 自分はいい。『命』がない自分は、『殺される』という行為に意味はない。すべての機能が一時的にストップするだけで、何時間か後には、自分の身体を構成している『DG細胞』の『自己再生能力』が、勝手に自分の身体を甦らせてしまうから。
 だが――――あそこにいる『人間』の女性には、『命』は一つしかない。

 女性の命と自分の身の安全。
 どちらが重いか。
 そんな物―――――考えるまでもなく、答えは出ている。

 シュバルツは、無言で刀を地面に置くと、手を上げた。抵抗する意思がないことを、明確に示すためだ。ただ、その一連の動作の際に、キョウジへの緊急コールをシュバルツは内部で起動させていた。この忍者団は、自分を『殺す』のではなく『生け捕り』にしたがっていた。それがシュバルツは、少し気になっていたからだ。

 この忍者団の目的が見えない。
 いったい―――――何が狙いなのだろう。

「そのまま、動くなよ」

 頭領の言葉に合わせて、数人の忍者たちが、じりじりとシュバルツとの距離を詰めてくる。
 そして―――――

 ドカッ!!

 鈍い音とともに、シュバルツは後頭部を強打される。そのまま彼は、意識を失い昏倒してしまっていた。
「………こうまで人質が有効だとはな。信じられぬほど、甘い奴よ……」
 倒れたシュバルツを見下ろしながら、頭領はにやりと笑う。この男は確かに、龍の忍者の『恋人』だという情報を掴んではいた。しかし、人質を取った瞬間、こんなにあっさりと戦闘意思を放棄するとは思ってもいなかった。あの容赦なく人を斬る「龍の忍者」の身内にしては、信じられないほどの甘さだと感じた。

「なんにせよ、よい獲物が入った………。これで、龍の忍者を罠に嵌めることができるぞ……」

 連れて行け、と部下たちに命じて、シュバルツの身体を抱えさせる。そのまま、彼らはアジトに向かって走り出していた。
 

 それからしばらくして、シュバルツの意識が戻った時――――彼は、身体の自由が利かないことに気が付いた。手と足が拘束されて、寝台に縫い付けられるように固定されている。上半身の衣服は取り払われ、白い肌が露出していた。
(ここは………?)
 目隠しはされていないので、シュバルツは周りの様子を伺いみる。見慣れぬ高い天井に、割れた窓ガラス。ここはどこかの廃ビルの一角なのだと見て取れた。

「気が付いたか?」

「―――――!」
 自分を捕えた男の声に、シュバルツははっと身を固くする。シュバルツに睨みつけられた男は、愉快そうに笑いながら顎をしゃくって、そちらの方を見るようにシュバルツに促した。
「おっと………下手な抵抗はするなよ? お主の態度如何で、あの者の生死が決まるのでな」
 その男の視線の先には、天井から縛られてぶら下げられている、巻き込まれた女性の姿がある。
「な…………!」
 シュバルツは息が詰まる思いがした。
「こうして私を捕え、お前たちの目的は達しただろう!! 彼女を離せ!! もう捕えている必要はないはずだ!!」
 シュバルツの叫びに、男は歪んだ笑みを見せる。
「いいやまだだ。まだ――――わしの目的は達成していない」
「…………?」
 怪訝な表情を浮かべるシュバルツに、男は勝ち誇ったように答えた。

「お主がわしの『術』にかかり――――わしの忠実な『傀儡人形』となるまではな!!」

「―――――!」
「そのまま、動くなよ? 今――――術をかけてやる」
 息を呑み、顔色が蒼白になるシュバルツに向かって、男が墨を浸した筆を持ってにじり寄ってくる。男の持つ墨ツボから、どす黒いまでの禍々しい『気』の気配が渦巻いているの感じた。
「お主は『龍の忍者』と親しいと聞く……。お主をわが傀儡と化せば、龍の忍者を仕留めることなど容易いだろう」
(そうか……! 狙いはハヤブサか………!)
 シュバルツはぎり、と、唇をかみしめていた。 

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