農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS マリオネット狂想曲 14

<<   作成日時 : 2016/05/10 16:20   >>

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「断る!!」
 押し通ろうとするドモンを前に、龍の忍者も一歩も引かない。
「そこをどけ!!」
「どいて欲しければ腕ずくで来い!!」
「なにぃ!?」
「尤も―――――返り討ちだがな!」
「おのれ言わせておけば………ッ!」
 ぶるぶると震えていたドモンから、「ブチッ!」と、何かが切れた音がしたかと思うと。

「上等だ!! 表へ出ろ!! 叩きのめしてやる!!」

「望むところだ!!」


 二人がものすごい勢いで玄関から外へと出ていく。
「行ってらっしゃ〜い………」
 キョウジはひらひらとハンカチを振りながら見送った後、はあ、と、大きくため息を吐いた。とりあえずのシュバルツの危機は、ハヤブサが身体を張ってくれたおかげで回避できたが、何だか問題を先延ばしにしてしまった感もある。いずれは弟にも事情を説明をしなければならなくなるだろうが――――
 だが、早急に、今自分がしておくべきことは。
「………………」
 キョウジは手元の携帯をとると、ドモンの恋人であるレインの番号に指を走らせた。スリーコールぐらいで、レインは電話に出てくれた。

「ああ、レイン? いや、今弟とハヤブサが来ててさ……。そのまま修行に行っちゃったんだ」
「あら、また?」
 少しあきれたように返事をするレインに、キョウジも苦笑する。
「そうなんだ……。それでまた、『いつものコース』だと思うから、悪いんだけど、夕飯を作るの手伝いに来てくれたら助かるんだけど………」
「ええ、分かったわ。こちらも適当に材料を買って、すぐに行くわね」
 そう言って、レインとの通話は切れた。キョウジはやれやれと携帯を机の上に置きながら、今日はどれぐらい食べるんだろう、と、軽くため息を吐いていた。


 そして夕飯時。
 がつがつとご飯をかきこむ音が、キョウジのアパートのダイニングルームに響き渡っていた。ドモンとハヤブサと―――――そしてなぜか、東方不敗までいる。次から次へと積み上げられていく空の茶碗を、キョウジとレインが半ば呆れながら見つめていた。
「だから何べん言ったら分かるのじゃ! ドモンよ! 貴様は踏み込みが甘い!」
「うるさい!! 俺はまだ認めてないからな!! さっきの勝負、どう見ても俺の勝ちだろう!!」
「どうだかな」
 噛みつくように叫ぶドモンを、龍の忍者が味噌汁を飲みながら受け流している。
「何を言うか! ドモンよ! あそこでわしが止めなんだらどうなっていたと思う!?」
「俺がこいつの首を刎ねて終わりだろう!」
「阿呆か!! それよりも先に、貴様の喉仏が砕かれておるわ!! この馬鹿弟子が!!」

「怒るか食べるか説教するかけんかするか……どれか一つにすればいいのに」
 呆れながら言うレインに、キョウジも苦笑するしかない。
「まあある意味、器用なんだろうね」
 あれだけ口論をしながら、食事が減るペースが変わらないのは、本当にすごいことだと思う。3人ともが10杯目のご飯を綺麗に平らげていた。

「「「ごちそうさまでした」」」

 3人が3人とも、茶碗を置いて礼儀正しく箸を置き、胸の前に手を合わせて丁寧に挨拶をする。こういうところがさすがに一流の武闘家だなとキョウジは思う。総じて一つの道を突出して極めている人というのは、こういう礼儀作法も存外きちんとしているものなのだ。

「さて、と………」

 食後の一息をついたと思ったら、東方不敗とドモンが、同時に立ち上がった。

「師匠!! いくら師匠でもさっきの暴言は聞き捨てならん!! 表に出ろ!! きっちり白黒をつけてやる!!」

「ぬははははは!! この馬鹿弟子がぁ!! 返り討ちにしてくれるわ!!」


 勢いよく飛び出していく子弟に、キョウジは声をかけた。

「夜食、チ●ンラーメンとおにぎり、どっちがいいですか〜〜〜〜!?」

 その後しばらく耳を澄ませていると、「チ●ンラーメン!」と、微かに返事が返ってきた。今日の夜食のメニューが決定したな、と、キョウジが頷いているところに、ハヤブサが近づいてきた。
「キョウジ……東方不敗が来たから、今宵はもう大丈夫だろう。俺はいったん退くぞ」
「あ……うん、わかった」
「だが何かあったら呼べ。近くにいるから」
 そう言って龍の忍者の姿が眼前からフッと消える。
(どこから出て行ったんだろう……)
 玄関から普通に出ればいいのに、と、キョウジは思ったりもするのだが、忍者にそれを言うのは野暮、と言う物なのだろうか。
 やれやれ、とキョウジがため息を吐いていると、レインがダイニングを片付けている姿が視界に飛び込んでくる。
「置いておいてくれて大丈夫だよ。私が洗うから」
 慌てて駆け寄るキョウジに、レインは笑顔を見せる。
「ありがとう。でも、これだけたくさんの食器、一人で洗うの大変でしょう? 私も手伝うわ」
「そうか? ありがとう」
 レインの厚意にキョウジも素直に礼を言う。そのまま二人は並んで食器を洗い始めた。
「毎度毎度……よく食べるわね」
「はは………そうだね……」
 呆れながら言うレインにキョウジも苦笑する。しばらく、食器を洗う水音が、ダイニングルームに響いた。
「……………」
 二人は、しばし黙々と食器を洗い続ける。だがやがて、キョウジの方が意を決したように口を開いた。
「レイン、シュバルツのことなんだけど………」
「そう言えば、シュバルツさん居なかったわね。今日はどうしちゃったの?」
「うん、そのことなんだけど――――」
 キョウジは少し迷ったが、やがて、決心を固めた。やはり、レインには素直に事情を話しておいた方がいいと、判断したからだ。シュバルツのためにも、そしてドモンのためにも。
「実は今――――ちょっと普通の状態じゃないんだ。何だか、『術』をかけられているみたいで………」
「ええっ!?」
 驚くレインにキョウジは「心配ないよ」と、優しく笑った。

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