農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS マリオネット狂想曲 15

<<   作成日時 : 2016/05/12 11:55   >>

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「今ちょっとその『術』のせいで、軽く操り人形状態になっているんだ。その『術』をかけちゃったのはハヤブサで――――それも事故のようなものだったらしい。だけど、その術自体で心配していることは、あまりないんだけどね」
「そうなの?」
 きょとんと眼をしばたたかせるレインに、キョウジは優しく微笑みかける。
「あのハヤブサが、いくら自分の意のままに動かせるとは言っても、シュバルツに酷いことをしたりさせたりすることが、あり得ると思う?」
「あ………! 確かに、そうかも………」
 キョウジの言葉に、レインも納得したように頷いた。レインもそう納得せざるを得ないほどに、この忍者二人は仲睦まじく映っていたのだ。
「ただ一つ……あの術には難点があってね」
「難点?」
「どうも……『術』をかけたハヤブサ以外がシュバルツの身体に触れると、シュバルツが激痛に襲われるみたいで……」
「……………!」
「そんな状態のシュバルツにドモンを近づければどうなるか………分かるだろう?」
 キョウジの言葉に、レインもはっと息を呑む。
 確かにそうだ。
 そんな状態のシュバルツの傍に、ドモンを近づけるのはあまりにも危険すぎる。
「だからレイン……悪いんだけど、しばらくの間でいいんだ。ドモンにシュバルツに近づかないよう言い含めてくれないかな? さっき私もそのことをドモンに言おうとしたんだけど、うまく伝わらなかったみたいだから――――」
「分かったわ。任せて」
 キョウジの言葉に、レインが力強く頷く。それを見て、キョウジも安心したように微笑んだ。こういう時のレインは、とても頼りなる存在だとキョウジは思う。思えばドモンも、いい彼女を手に入れたものだ。
「じゃあ、ドモンが帰ってくるまで、ここで待たせてもらうわね」
 夜食も手伝うから、と言うレインに、夜食は簡易ラーメンだから大丈夫だよ、と、キョウジは優しく笑った。


 夜更け過ぎ。
 ドモンは東方不敗との修行を終えてから、レインとともに自身の家に帰っていた。一人残ったキョウジは、今日測定したシュバルツの体液のデータを、パソコンに打ち込む作業を続けていた。
(………やはり、この塩基配列のデータの、この部分だな………。これだけは、シュバルツのどのデータからも読み取ることができない………)
 異常の位置が特定できたとして、問題はそのあとだ。
 これは、放置していてもいいものなのか、それとも、何らかの対処をした方がいいのか―――――
(そもそもこれが、どういう性質のものなのか調べるのが先か……)
 そう思ったキョウジがパソコンの前でう〜ん、と、一つ伸びをした時、カタン、と物音がして、部屋に人が入ってきた。

「……相変わらず研究熱心な奴じゃな……。今度は、何を調べておるのだ?」

「……マスター!」
 入ってきた人間の姿を見て、キョウジは少し驚いたような声を上げる。
「シュバルツがおらなんだようだが……」
「えっ?」
「お主………何かあったか?」
 そう言いながらキョウジの方をじっと見据えてくる東方不敗に、キョウジはもう苦笑するしかない。
(鋭い……!)
 自分は割と、東方不敗に隠し事ができない事実に気付いてしまう。
 どうして、すぐに異常に気付かれてしまうのだろう。
 自分は普通に振る舞っていたつもりだったのに。
「フン! こちらが突っ込んでいかなければ、お主は絶対に自分からは話そうとはせんからな!」
「あははは………。よくご存じで」
 東方不敗の揶揄ともとれる物言いに、キョウジは笑いながら答えると、小さくため息を吐いた。
 この状況、下手に隠し立てをするよりも、素直に助力を頼んだ方が、話は早いだろうと、キョウジは判断した。東方不敗は、古来より戦いの舞台の陰に必ず存在していたといわれる『シャッフル同盟』の『キング・オブ・ハート』の紋章を受け継いでいる。それ故に、『戦い』のありとあらゆる『歴史』に精通している人物でもあったのだ。シュバルツにかけられたこの『術』についても、何か教えてもらえることがあるかもしれない。
「では、マスター……。シュバルツの様子を見てもらえますか? 彼は今――――『術』にかかっているみたいで……」
「術じゃと?」
 問い返す東方不敗に、キョウジは頷いていた。


 キョウジは、東方不敗を地下室へと案内する。キョウジの研究所兼実験室となっているこの場所に、シュバルツがいた。彼は部屋の隅で、椅子に座ってじっとしていた。

「シュバルツ、こちらへおいで」

 キョウジが呼びかけると、シュバルツはすっと機械的に立ち上がり、静かにこちらへと歩を進めてきた。シュバルツはハヤブサから、「キョウジの言うことを聞くように」と、言い含められているのだ。
「ここへ座って」
 キョウジは、シュバルツを寝台の縁に座るように指示する。彼は、素直にそれに従っていた。
(これは……!)
 シュバルツが近づいてきたことで、東方不敗も彼の異常さに気付く。シュバルツの視線には覇気がなく、ガラス玉のような瞳には、何物も映されていないのだと知れた。 
「確かに……何かに意志を奪われておるような気配じゃな……。いったい、こ奴が何をされたのか――――それは、分かっておるのか?」
「ええ。身体に特殊な『墨』で呪術的な紋様を描かれています」
「『墨』じゃと?」
 問い返す東方不敗に、キョウジは頷く。
「ええ。ある忍者団にその術にかけられそうになっていたのをハヤブサに助けられたんです。ただ、その際に紆余曲折があって―――――ハヤブサがその『術』をシュバルツにかけてしまったような形になっているのですが……」
「ふむ………」
 話を聞きながら、東方不敗はしばし考え込む。
「その『紋様』とやらを、見せてもらってもよいか?」
「あ………えっと………」
 キョウジは東方不敗の要求に、すぐには答えられなかった。自分が触れるとシュバルツの身体に激痛をもたらしてしまう。シュバルツに『服を脱いで』とお願いしてもいいのだろうが――――
(どうしよう……ハヤブサも呼んだ方がいいのかな……)
 万が一、自分か東方不敗がシュバルツの身体に触れてしまえば、シュバルツに激痛がもたらされる。そして、それを収めるにはハヤブサに触れてもらうしか術がない。
 少しの間、キョウジが躊躇する。その間、シュバルツを無言で見つめていた東方不敗であるが、やがて、小さくため息を吐いた。

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