農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS マリオネット狂想曲 19

<<   作成日時 : 2016/05/17 01:24   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

「そうだね……。確かに………」
 2つのデータから目を離さずに、キョウジは口を開いた。
「異常値の値が小さくなってる……。さっき見た墨の紋様も、だいぶ薄くなっているように感じられたしね」
「では―――――?」
 問いかけるハヤブサに、キョウジも頷く。

「ああ。このままもう少し行けば、間違いなく『浄化』できるだろう……。シュバルツも、元に戻るんじゃないかな」

(よし……!)
 キョウジの言葉に、ハヤブサは小さくガッツポーズを作る。それを、キョウジも微笑みながら見つめていた。
「因みに、ハヤブサ」
「何だ? キョウジ」
「参考までに聞きたいんだけど、この『墨』をどうやって『浄化』したの?」
 キョウジの問いに、ハヤブサはあっさりと答える。

「単純に、ただ『舐めた』だけだ」

「『舐めた』!?」
 キョウジが、びっくりしたように聞き返してきた。
「『舐めた』って………! あの、『墨』を!?」
 その言葉にハヤブサは「ああ」と頷く。すると、キョウジの顔色が、みるみる真っ青になっていった。
「大丈夫か?」
 思わず問いかけるハヤブサに、キョウジは「大丈夫」と、言おうとして失敗していた。
「ごめん、ちょっと――――」
 そう言い残すと、彼は一目散に手洗いへと走り込んでいった。

「う………ッ! げ………え…………ッ!」

 キョウジはトイレに走りこむと、ドアに鍵をかける間もなく、便器に吐き戻していた。
 そう。彼は突き止めていたのだ。その『墨』の成り立ちと、その製法を。
 東方不敗に、「正体を知れば、飯が食えなくなる可能性がある」と忠告はされていた。だから、ある程度覚悟はしていたのだが。
 それでも―――――あそこまで、酷い物とは。


 ハヤブサがシュバルツを連れて行ってから2日後に、キョウジはその答えにたどり着いていた。
 あまりにも酷い―――――
 あまりにもおぞましいその成り立ちに、キョウジは吐き気を堪えきれなかった。
 便所に走りこんで、夕飯をすべて戻してしまった。
「う………! げほっ!!」
 便器を掴んで噦(えず)いていると、そこに東方不敗がのそりと姿を現してきた。
「お主……『墨』の正体を突き止めたのか?」
 問うてくる東方不敗に、キョウジは口元を拭いながら答える。
「はい………」
「愚か者が。わしは忠告したはずだぞ? あれは相当なものだと」
「はい……。すみません……」
 東方不敗の言葉に、キョウジはもう苦笑するしかない。
「ですが………シュバルツをあのままにしておけないのも、事実です………。それに、シュバルツを助けたいと願う、ハヤブサの手助けもしたかったから………」
 キョウジのその言葉に、東方不敗はやれやれと、ため息を吐く。
「それにしても……あんな物に不用意に触ってはならぬ。あれは、『邪法』の極みぞ」
「そうですね……」
 東方不敗に同意しながら、キョウジはまた吐いた。東方不敗はため息を吐きながらも、キョウジの背中をさすり続けてくれていた。

「………落ち着いたか?」

 キョウジがこれ以上吐かなくなったのを確認してから、東方不敗はキョウジを寝台へと連れていく。
「はい……。ありがとうございました………」
 礼を言うキョウジだが、彼は身を起こすことができなかった。それほどまでに、あの『墨』の製法は、キョウジにダメージを与えていたのだ。
「だから、わしは忠告したはずだぞ、キョウジ」
 そんなキョウジに向かって、東方不敗は改めて口を開く。
「あれは相当、酷いものだと……。あんなものに不用意に触れてはならぬ。気長に待てば、いずれは消えるのだ。無理に自ら、突っ込んでいく必要はない」
「それはそうかもしれませんが………」
 寝台の上に横になったキョウジは、額の濡れタオルをずらしながら、少し唇を尖らせている。何か、釈然としない思いが自分の中で渦を巻いていた。
「マスター……一つ聞いてもいいですか?」
「何じゃ? キョウジ」

「あの『腐墨の術』は………何度も重ね掛けされた人間は、最終的にはどうなるんですか?」

「そんなもの、答えは単純じゃ。墨の『毒』が全身に回って死ぬ」

「…………!」
 一番最悪な答えがあっさりと返ってきて、キョウジは知らず絶句する。
「………じゃが、『術者』がもうこの世には居らん。その点だけは、龍の忍者に感謝せねばならぬな、キョウジ。シュバルツには、術を重ね掛けされる心配はないのであるから……」
「そうですね………」
 東方不敗にそう答えながらも、キョウジは布団をぎゅっと握りしめていた。
 確かに、放っておけばいいものかもしれないが、自分は、許し難かった。
 シュバルツの身に、いつまでもあんな物を留め置いておくなんて。
 それに、シュバルツの身を抱えて何処かへ姿を消したハヤブサのことも気にかかる。
 何か――――無茶をしていなければいいのだが。
(とにかく、身体を早く治して、あの『墨』を身体から落とす方法がないか、調べてみよう)
 そう決意して、キョウジは改めて布団をかぶりなおす。
 『呪術』に関しては、非力で無学な自分だが、それでも、何か、できることがあるはずだ――――キョウジは、そう信じることにした。

「すみません……。少し、寝ます………」

 東方不敗にそう声をかけると、「うむ、少し休め」と、頷いてくれた。
 キョウジはそれに、少しの安心を覚えると、いつしかまどろみの中に、その身を置いていた―――――


 何とか、事態を前向きに対処しようと努力したキョウジだが、それでも布団から身を起こすのには3日かかってしまった。東方不敗やドモンやレインの助けがなければ、もっと長引いていたことだろう。
(独りじゃないって、本当にすごいことだな……)
 キョウジは、改めて周りの助力に感謝をしていた。

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