農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS マリオネット狂想曲 24

<<   作成日時 : 2016/05/23 00:51   >>

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「上等だ!! 表へ出ろ!!」
「フハハハハハ!! 返り討ちにしてくれるわぁ!!」
 ものすごい勢いで、師弟が玄関から外へ出ていく。キョウジがやれやれ、と、ため息を吐いていると、開いた玄関のドアからレインが入ってきた。
「レイン」
 少し驚くキョウジに、レインが多少苦笑しながら微笑みかける。
「いつものコース………でしょ?」
「あはははは……そうだね」
 二人はそのまま、ダイニングで夕飯の準備を始めることにした。


「でも実際、ドモンももう限界なのよね……。シュバルツさん、まだ治らないの?」
 ジャガイモの皮むきをしながら、レインがはあ、と、ため息を吐く。
「………う〜ん……。もう少しだと、思うんだけどねぇ………?」
 玉ねぎを薄切りにしながら、キョウジがつぶやく。どうやら、今夜の晩御飯はカレーに決定しているらしい。もっとも、作る量は半端なものではなく、コンロの上には「炊き出しか!!」と、突っ込みを入れたくなるような巨大な鍋が用意されていた。
「しかし……毎日マスターと手合わせをしているんだろう? それでもだめなのか?」
 手を止めずにキョウジが問いかける。
「私にもよくわからないけれど……何か、微妙に違うみたいよ?」
 レインも次のジャガイモの皮をむきながら答えた。
「そうなのか?」
「ええ。家に帰ってから唇を尖らせているもの。宥めるのも面倒くさいから、もうほっといているけど」
「ほっといているのか……」
 その図が容易く浮かんでしまって、キョウジはもう苦笑するしかない。ためねぎを刻んでいるせいか、涙まで出てきた。
 しかし、ドモンの気持ちも分かってしまう。実際自分も、もう限界に近い。
 シュバルツとずいぶん長いこと話をしていないような気がする。
「話がしたい」
 願いはそれだけだった。

 変だな。
 一人でいるのは平気だったはずなのに。

「あ〜〜………。玉ねぎが目に染みる……」
 本気で泣きそうになっているのを悟られないように、キョウジは少し、道化を演じる。
 こんな時でも、レインや皆がそばにいてくれて良かったと、キョウジは思った。
 一人きりだと――――きっと、もっと深刻に落ち込んでしまっていた。
「さあ――――さっさと料理を作り上げてしまおう。ドモンたち、今日は何杯食べるかな?」
(やっぱり、キョウジさんも無理して笑っているわよね………)
 レインは、キョウジが多少無理して明るく振る舞っていることに感づいていてしまう。だけど、それ以上キョウジに向かって踏み込めない自分がいることも、同時に感じていた。
 キョウジは、私とドモンの仲がうまくいってほしいと願っている。
 その願に、自分の存在が妨げになる、と、少しでも感じてしまったら、キョウジは私たちの前から姿を消してしまうだろう。そんなことをさせてはだめだとレインは思った。
 だからレインも、キョウジが無理やり笑っていることに、気づかないふりをする。
「そうね……。ごはん、これで足りるかしら?」
 一升炊きの炊飯器を見つめながら、レインもまた、シュバルツが早く元に戻ればいいのに、と、祈らずにはいられなかった。


  「第4章」


「走れ!! アーサー!!」

 それから数時間後。
 ハヤブサは、某国の戦場の真っただ中にいた。ここが、彼の『任務』の場所だった。
 現地のエージェントと軍隊の努力の甲斐あって、捕えられた人質たちの居場所を、奇跡的に突き止めることに成功していた。
 逃走ルートを確保できるのはわずかな時間。その間に、速やかに人質たちを救出すること―――――。これが、今回ハヤブサが『龍の忍者』として請け負ったミッションだった。このわずかな時間を確保するために、数か月前から何人もの人間が命懸けで周到な準備をしてきたことをハヤブサは知っていた。だから、絶対にこの依頼は断れなかったし、やり遂げなければならない『仕事』だった。龍の忍者は単身で―――――刀一本で、敵のアジトへと乗り込んでいく。
 隠密裏で迅速な彼の行動は、人質たちを一人、また一人と解放していった。
 そして、最後の一人を救出しようとした時――――ついに、敵に見つかってしまったのである。

「はあああああっ!!」

 だが見つけられたからと言って、怯むハヤブサではなかった。彼は龍剣をふるうと、強引に牢を破壊し、人質の最後の一人となった『アーサー』を引っ張り出す。
「逃げるぞ!!」
 ハヤブサはアーサーの手を掴むと、そのまま走り出していた。

「リュウ!! 危険だ!! このまま俺を置いて逃げてくれ!!」

 逃げる二人に襲い掛かる、銃弾の嵐。あちこちから、戦車が走ってくるのも見える。
 アーサーは某国の軍の将校をしていた。某国は時折、『龍の忍者』としてのハヤブサと接触をし、『仕事』を依頼していた。その際に、アーサーが使いの者として接触をしたり、時に任務に赴くハヤブサのサポートをしたりしていたので、互いに知らぬ仲ではなかったのである。

「何を言うんだ!! アーサー!! 立てッ!! そして、走れ!!」

 アーサーは屈強な戦士でもあるが、過酷な人質生活の影響で、かなり衰弱もしていた。しかしハヤブサは、彼を叱咤激励しながら手を伸ばした。
「今お前は死ねないんだろう!? 娘に会うのだろう!?」
「―――――!」
「必ず助ける!! だからお前も、あきらめるな!!」
「しかし………!」
 二人のすぐ近くに砲弾が撃ち込まれる。行く手に戦車が立ち塞がっていた。

「りゃあああああ―――――ッ!!」


 しかしハヤブサは、戦車に怯むどころか裂帛の気合とともに突っ込んでいく。
 鋼鉄の戦車に、刀一本で挑む龍の忍者。一見無謀な勝負だが、その勝敗はあっさりと決まった。

 ガキッ!!

 派手な金属音が響くとともに、戦車から黒い影が飛びのく。
 数秒後、轟音とともに爆発したのは、その戦車の方であったのだ。
「行くぞ!」
 龍の忍者はアーサーの手を取ると、再び走り出していた。

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