農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS マリオネット狂想曲 26

<<   作成日時 : 2016/05/26 05:11   >>

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「艇を出せ!! そして、援護を要請するんだ!!」
「了解(ラジャー)!!」
 返事とともに、パイロットは空輸艇を発進させる操作をする。ドアが閉まると同時に、艇が上昇しだした。
 艇の発進を目の端でとらえながら、龍の忍者はロケット砲を構える二人目の首を刎ねる。
(次は――――!?)
 そこから更に離れたところにロケット砲を構える兵士を発見する。彼は既に、発射体勢に入っていた。
「チィッ!!」
 今から跳んでも走っても、もうそこには間に合わない。
 ならば、と、龍の忍者は弓矢を取り出し、二本の矢を弓につがえた。
 極限まで集中した、龍の忍者が狙ったのは―――――

 軽快な弦音を残して、二本の矢が同時に放たれる。それと同時に、兵士も空輸艇に向かってロケット砲を発射していた。

 一本は、ロケット砲を放った男に当たる。
 そして、もう一本は―――――

 空輸艇の近くで、ロケット砲が爆ぜた。爆風で、艇内が振動に襲われる。
「どうした!?」
 問うアーサーに、副機長が状況を報告する。
「命中コースに飛来してきたロケット砲が、爆発した模様です!!」
「被害状況は!?」
 パイロットの問いかけに、副機長は計器をすばやく確認して、叫んだ。
「異常なし!! 飛べます!!」
 その報告に、艇内から安堵の息が一斉に漏れる。
「良かった……!」
「神のご加護だ………!」
 皆が口々にそう言う中で、ただ一人アーサーだけが、龍の忍者が守ってくれたのだなと悟っていた。

 ハヤブサは矢を放つと同時に、戦車の方に向かって走り出していた。
 あれさえ倒せば、ここにいる者たちの空輸艇への攻撃は、無力化できる。そう確信した龍の忍者は、なお一層、足の踏み込みを強くした。

「うおおおおおおおおおお―――――ッ!!」

 獣の如き咆哮とともに、龍の忍者の『神速』が戦車に迫る。
「狙われているぞ!!」
「やらせるか!! 撃てッ!! 撃て―――――ッ!!」
 兵士たちがハヤブサに向かって発砲する。
 しかし、当たらない。当てることができない。
『分かっていても、当てられない』という現実を、兵士たちは認めたくはなかった。
「真正面!! 目標(ターゲット)が来ます!!」
 もちろん、狙われていると分かっている戦車部隊も、応戦する体制に入る。ホロスコープの中にハヤブサの姿を捉えた射ち手は、即座に声を上げていた。
「構わん!! 撃てぇい!!」
 隊長は、迷わず指示を出した。こういう場合、躊躇ってはいけないことを、彼は既に知っていた。
「はっ!!」
 間髪入れず、兵士は引き金(トリガー)を引く。よく整備された戦車は、滞りなく砲弾を発射した。
 次の瞬間ホロスコープの中で砲弾が爆ぜ、目標は肉塊になったと、誰もが確信を持った。
 しかし。
 砲弾がさく裂した次の瞬間、ホロスコープから見える外の世界が暗転する。次いで、戦車内に響き渡る、耳障りな金属音。
「な、何だぁ!?」
「何が起きた!?」
 皆が呆然とする中、砲台長は見てしまう。戦車を切り裂く、日本刀の煌きを。

「だ!! 脱出!! 脱出しろ!!」

 隊長の指示にしたがって、兵士たちは蜘蛛の子を散らすように戦車から脱出する。その次の瞬間、戦車が轟音とともに大爆発を起こした。
(よし………!)
 これで、この場のミッションを達成したと、ハヤブサは確信する。刹那、張り詰めていた『気』が、僅かに緩んだ。
「う………!」
 一瞬、ハヤブサを襲う、眩暈。体勢が、僅かに崩れる。その一分の隙に、銃弾がハヤブサの左肩を抉った。
「うぐッ!!」
 衝撃でバランスを崩し、もんどりを打って倒れる龍の忍者。左肩に、焼けつくような痛みが走った。
「仕留めだぞ!!」
 それを見た兵士たちから、歓声が上がる。
「く…………!」
 ハヤブサはすぐに体勢を立て直す。ここで立ち上がらないのは、生きる意志を放棄するのと同義だからだ。
「気をつけろ!! まだ息があるぞ!!」
「おのれ……! 仲間や人質を、駄目にしやがって……!」
「なぶり殺しだ!! 八つ裂きにしてやる!!」
 怒りに燃える兵士たちが、銃を構えながらじりじりと距離を詰めてきた。
「……………」
 少し、絶望的な状況に、ハヤブサは僅かに苦笑する。そんな彼の耳元の通信機に、クライアントから連絡が入った。

「リュウ・ハヤブサ。今回の『依頼』の『成果』、確かに受け取った」

 その声は淡々と、インカム越しに用件を伝えてくる。

「ご苦労だった。報酬はいつもの手段で送る」

 幸運を祈る、と、無機質に言われて、その通信は切れた。
(そうか……。アーサーは、無事に脱出できたのだな……。良かった……)
 ハヤブサは、少しの安堵を覚える。そして今度は、自分の番だと思った。

「死ぬことなんて許さないよ!! ハヤブサ!! 貴方が死ねばシュバルツがどれだけ悲しんで泣くか―――――貴方は分かっているのか!?」

 怒りに燃えるキョウジの言葉が、自分の内側に響く。
(ああ、そうだな)
 ハヤブサは刀を構えながら、想った。

 帰らないと。
 愛おしいヒトのもとへ、俺は帰ってやらないと。
 彼のヒトをまた―――――孤独の深淵に、独り、追いやるわけにはいかないのだから。
 

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