農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS マリオネット狂想曲 27

<<   作成日時 : 2016/05/26 13:59   >>

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(シュバルツ……)
 不思議だ。
 こんな時ですら、大切なヒトのことを想うと、心が凪いだ。

 生きる。
 生きよう。
 あがけ。
 足掻くんだ。

 あきらめて、生きることを放棄するのは簡単だ。
 だが足掻けば―――――
 それをして、100%助かるなどと、甘い夢は見ない。
 しかし、それをしなければ、生きる道が見えてこないのも、また事実なのだから。

 大丈夫だ。
 例え、どうなろうとも
『死』の運命が、自分の目の前に押し寄せて来ようとも―――――

 彼のヒトを想い続ける限り俺は
 死ぬ瞬間まで、たぶん、幸せだと思った。

 右手一本で、刀を正眼に構える。
 左肩を撃ち抜かれたため、左腕を持ち上げるのは困難だった。ただ、指先は動くから、骨に異常はないのだろうと、悟る。
 止血もしたいが今は―――――ここを切り抜けるのが、先だと思った。
「……………」
 肩で息をしながらも立ち上がり、刀を構えた龍の忍者の姿に、兵士たちから嘲笑が漏れた。
「見ろよ!! こいつ、まだ戦う気でいるぜ!!」
「この距離で、これだけの銃を構えた俺たちを相手に、逃げ切れるとでも思っているのか!?」
「刃向かって来るのなら丁度いい!! 生まれてきたことを後悔するぐらい―――――なぶり殺しの目に遭わせてやる!!」
 残虐性を隠しもしない、下卑た笑いが辺りを包む。ハヤブサはそれには頓着せず、ただ―――――己に『気合』を入れた。

「叭ああああああああっ!!」

「…………!」
 瞬間、ハヤブサの気迫に圧される兵士たち。だがそこは歴戦の猛者――――すぐに、己のやるべきことを思い出していた。
「撃てっ!!」
 兵士たちは皆、迷わず引き金(トリガー)を引く。その刹那、ハヤブサの姿が視界から、消えた。
「――――!? ギャッ!!」
 あっという間に二人の兵士が、龍剣で喉を切り裂かれて倒れる。その間を、黒い影が走り抜けていた。
「おのれ!! 逃がすな!! 追えっ!! 追え―――――ッ!!」
 追い始める兵士たちに、更なる声が追いかけてきた。
「あいつの身体の部位には、賞金をつけてやるぞ!! 指一本、目玉一つで報奨は思いのままだ!!」
 その言葉に、兵士たちから「うおおおおおっ!!」と、地響きのような歓声が上がる。兵士たちは皆、血相を変えてハヤブサを追いかけ始めた。
「こちらの兵士や戦車を駄目にしてくれた上に、人質まで奪い返されたんだ……。あの男は目の前で八つ裂きにしても、足りんぐらいだがな………」
 隊長格の男は、鋭い眼光をぎらつかせながら、舌なめずりをしていた。
「それに、この街は俺たちの『庭』のようなものだ。ここで、俺たちから逃げられるわけもない……。住人達も、俺たちの味方だしな………!」
 フフフフ、と、口の中で笑う隊長の目の前で、町の一角から爆発による煙が、立ち上がっていた。

「く………!」

 狭い路地を、ハヤブサは走り続ける。
 肩から流れ続ける血は、左腕をすでに赤く染め上げていた。そして、身体に取り込んでいた『毒素』も相俟って、ハヤブサの体力は、徐々にだが奪われていきつつあった。
 眩暈に襲われる回数が、頻回になってくる。それでもハヤブサは、襲い来る兵士たちを何とか撃退していた。だが欲に眩んだ兵士たちは、あきらめずにハヤブサを猛追してくる。執拗に攻撃を加え、身体の一部でももぎ取ろうと手を伸ばしてきていた。
「う………!」
 よろめいたハヤブサの身体が、路地の塀に当たる。そこに、複数の兵士たちが容赦なく殺到してきた。

「報奨金!! もらったああああ!!」
「死ねえええい!!」

 喜々とした殺意―――――ハヤブサは一瞬、対応が遅れた。
(しまった―――――!)
 せめて急所は、足は庇おうと、ハヤブサは咄嗟に体を捻る。だが、いくつかの攻撃が、自分の身体に当たることは避けられないと悟った。
「――――ッ!」
 ハヤブサは歯を食いしばり、来るべき衝撃に備える。
 しかし、それらの攻撃がハヤブサの身体に当たることは、無かった。
 何故なら―――――

 信じられぬことだが、『それ』は自分の『影』から出てきた。

 ガキガキガキッ!! と、派手な金属音と火花を散らしながら、『それ』は、自分に向かってきた攻撃をすべて防ぎきる。
「な……………!」
 息を呑む自分の目の前で、翻る革のロングコート。
(嘘………だろう……!?)
 ハヤブサは、心臓が止まるかというほどに驚いていた。

 何故なら、自分を庇うように立つ、その後ろ姿は
 自分が死ぬほど愛おしいと、会いたいと願っていた『そのヒト』であったのだから。

「シュバルツ!?」

 知らず、素っ頓狂な声を上げるハヤブサに対して、しかしシュバルツは振り向きもしなかった。

「ハヤブサ(ご主人様)を、守る。それが―――――私の役目!!」

 彼は一声、そう吠えると、ハヤブサに向かって殺到して来る兵士たちに向かって、立ち向かっていっていた。

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