農家の嫁の日記

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zoom RSS マリオネット狂想曲 29

<<   作成日時 : 2016/05/28 23:54   >>

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 シュバルツはおよそ、慈悲の塊のような男だった。戦う相手には、必ず敬意を払った。
 その刀を振り下ろす瞬間すら、相手を思いやっていた。
 こんな風に―――――

「うおおおおおおっ!!」

 目の前に来た兵士の首を一瞬にして刎ね飛ばす。
 首を失ってよろめく遺骸を、突き飛ばして前に進む。
 敵を邪魔な『障害物』程度にしか見ていない―――――そんな戦い方をする男ではなかったのに。

 駄目だ。
 いくら『術』によって操られているとはいえ
 シュバルツにこれ以上、こんな戦い方をさせてはいけない――――!

「ハヤブサ(ご主人様)!!」

 シュバルツは自分の身が傷つくのもかまわずに、こちらを庇うことを最優先にする。
 彼の身体は、既に傷だらけだった。普通ならば、こんな風に走ったり戦ったりすることすら、もう困難になるほどに。
 それなのにシュバルツは、まるでそんなことには頓着もしない風に戦っている。
 きっとこれも術のせいだ。
 術をかけられた者は、きっと、術者の安全を最優先にしてしまうのだろう。
 そして、身も心も消費され切った傀儡が死んでしまえば、術者はまた、次の犠牲者を探して―――――

 まるで、道具か何かのように。

(くそ………ッ!)

 腹の底からふつふつと、御しがたい怒りが湧き上がってくる。
 シュバルツは、消費される『モノ』などではない。
 俺の得難い、この世に二人といない、『大切なヒト』だ。

 それを―――――

 その時、道を走る二人の前方に、何者かが飛び出してくる。シュバルツはまたそれを、無造作に斬って捨てようとした。
 だが『それ』が何かということに気が付いた瞬間、ハヤブサは思わず大声で叫んでいた。

「待てっ!! シュバルツ!! 『それ』は斬るな!!」

「―――――!」
 自分の声がシュバルツに届いたのか、彼の身体がビクッ! と反応する。
 対象に向かって振り下ろされようとしていた刀は軌道を変え、それを掠めて止まった。風圧で対象者の身体を覆っていたブーケが捲れ、まだあどけなさを残した少女の顔が、その姿を現す。

「あ…………?」

「……………」

 少女とシュバルツが、しばし無言で見つめあう。奇妙な沈黙が、その場を支配した。
「シュバルツ……! 分かるか……? それは、斬るな……!」
 ハヤブサは、シュバルツに余計な刺激を与えぬよう細心の注意を払いながら、そろそろと声をかける。
 斬らせては駄目だと思った。
 例え『術』に操られた状態であったとしても、シュバルツに女、子供を斬らせては駄目だと、強く思った。
 そんなことをさせてしまったら、たとえ正気に戻った後でも、彼のヒトが深く傷つくのがハヤブサには分かってしまうから。
 だから、絶対に許してはいけないと思った。
 何が何でも、止めねばならないのだ。

「あ…………!」

 対してシュバルツは、少女と己が手にしている刀を見比べながら、茫然としている。
「シュバルツ?」
 ハヤブサは、軽く違和感を覚えながらもシュバルツに声をかけていた。

 シュバルツの様子がおかしい。
 まさか―――――

「シュバルツ? 大丈夫か?」

「ハヤブサ……!」

「……………!」
 愛おしいヒトが振り返って、自分の名を呼ぶ。
 その響きが『ご主人様』と同じではないと気付いて、ハヤブサは息を呑んでいた。

 その瞳には、『生気』が宿っている。
 ガラス玉ではない、『生気』の光が―――――

「シュバルツ……!」
 まさか、と、思いながらも、もう一度、ハヤブサはシュバルツに声をかける。
「シュバルツ……。わかるか……? 『俺』が分かるか……?」
「ハヤブサ……!」
 呆然としている、愛おしいヒト。刀を持つその手が、小さく震えていた。

「私は………何を、していた……? 何を、しようと、していた………?」

「シュバルツ! 大丈夫だ!!」
 ハヤブサは咄嗟に叫んでいた。
「落ち着け、シュバルツ! お前は『まだ』何もしていない!! 何もしていないんだ!!」
 そう。
 シュバルツが今まで斬り捨てていたのは、武器を持ってこちらを倒そうとしていた戦闘員だけ。非戦闘員には、断じて害を及ぼしてなどいなかった。
 だからこそ、悟らせてはいけない、と、思った。
 シュバルツが今―――――目の前の少女を、斬ろうとしていたなどと言うことを。
「しかし………!」
 シュバルツはまだ尚も、茫然と自分の手に持つ刀と少女とを見比べている。その時、それまで沈黙を守っていた少女が、ピクリ、と、動いた。

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