農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS マリオネット狂想曲 10

<<   作成日時 : 2016/05/07 01:59   >>

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「とにかく、シュバルツのその術の紋様を見せてもらってもいいかな?」
「分かった」
 キョウジの言葉に頷いて、ハヤブサはシュバルツに余計な刺激を与えないよう、慎重に服を脱がしていく。やがて、シュバルツの上半身が露わになり、キョウジの視界に、シュバルツの肌に施された術の紋様が映りこんだ。

「……何とも不思議な紋様だね……。これは……『墨』?」

 キョウジはそう言いながら、その紋様をしげしげと見つめている。
「ああそうだ。あの男は何か特殊な方法で調合した『墨』を使って、シュバルツの身体に術をかけたらしい」
「ふ〜ん………」
 キョウジはハヤブサの話を聞きながら、シュバルツの肌にそっと触れる。その途端、シュバルツの身体がびくっと跳ねた。
「う………!」
 小さく呻く声が漏れ、身体が小刻みに震えだす。
(まずい! この刺激だけでも、感じさせられてしまうのか!?)
 ハヤブサは慌ててシュバルツの顔を覗き込む。しかし、彼の様子がおかしいことにすぐに気づいた。その表情には苦悶の色がにじみ、顔色が、見る間に悪くなっていく。
「シュバルツ!? どうした!?」
「えっ?」
 驚いたキョウジが顔を上げる。シュバルツに触れていた手を離すと、シュバルツの身体がぐらりと傾ぐ。そのまま椅子から転げ落ちそうになっていた。
「シュバルツ!!」
 慌ててハヤブサは、シュバルツの身体を支える。ハヤブサの腕に支えられたシュバルツは、「あ………」と、小さく吐息を漏らした。
「どうした? シュバルツ」
 腕の中で小さく震え、まだ顔色の悪いシュバルツに、ハヤブサは問いただした。
「ハヤブサ……」
「俺に隠し事は許さん。素直に言え」
 ハヤブサは、あえて強めの口調でシュバルツに言った。シュバルツの状態を正確に把握するために、これは必要な『命令』だと感じていた。あまり気は進まなかったが。
「どうした? 何があった?」
 ハヤブサに逆らえないシュバルツは、問われるままに口を開く。
「すみません……。ハヤブサ……。痛くて……」
「痛い?」
 怪訝そうに眉を顰めるハヤブサに対して、キョウジはピンと来るものがあった。それを確かめるべく、手を動かす。

「痛いって………まさか、これ?」

 そっと、キョウジの手が、シュバルツの肌に触れる。その瞬間。

「うわあああああっ!!」

 シュバルツの身体が絶叫とともに跳ねる。
「シュバルツ!」
 ハヤブサはとっさにシュバルツの身体を抱きしめ、キョウジは慌てて手を引っ込めた。
「ご、ごめん!」
 呆然と謝るキョウジに、ハヤブサはフルフルと首を横に振る。
 謝らなければならないのはこちらだ。俺が狙われてしまったばかりに、シュバルツは――――

「でも……ハヤブサに触れていると、痛みが引きます……」

 そう言いながらシュバルツが、縋るように身を摺り寄せてくる。
「シュバルツ……!」
 呆然とするしかないハヤブサに対して、キョウジは少し困った顔をしながらポリポリと頭を掻いていた。
「参ったな……。と、言うことは、私はシュバルツには触れられないってこと?」
 キョウジの言葉に、ハヤブサははっと我に返る。何故かキョウジに対して、深い罪悪感に襲われていた。
「本当にすまん! 俺が――――」
「違うよ。ハヤブサが悪いわけじゃない」
 謝ろうとするハヤブサを、キョウジがやんわりと止める。
「悪いのはその『術』であって、その『術』を邪な目的でシュバルツに使おうとした人間であって、ハヤブサが悪いわけじゃないんだ。そこを、はき違えてはいけないよ」
「そうかもしれないが………」
 キョウジは優しくそう言ってくれたが、ハヤブサはやはり、納得できなかった。
 狙われたのは自分で、シュバルツはそれに純粋に巻き込まれたから、こうなってしまったのに。やはり、すべての元凶は―――――
「うう〜〜ん………。やっぱり、『術』がどういった類の物なのか、調べる必要はあるよね……。ハヤブサ、この『術』をシュバルツにかけようとしていた人間は――――」
「俺が斬って捨てた」
 ハヤブサはぶっきらぼうに言い放つ。
「この俺が、シュバルツをこんな目に合わせた人間を、そのまま放っておくとでも思っているのか?」
「そうでした……」
 ハヤブサの言葉に、キョウジはもう苦笑するしかない。龍の忍者にとって、このシュバルツという存在は、間違いなく『逆鱗』に当たる。リュウ・ハヤブサという人間を攻撃しようと意図するとき――――絶対に触ってはいけない存在だった。迂闊に触ったが最後、激怒した龍の忍者によって、攻撃を画策した組織や存在は、壊滅的な返り討ちを受けてしまうだろう。
 おまけにシュバルツ自身も不死に近い存在。
 故に、彼の『命』を盾にしての恫喝は、まったく無意味なものとなる。
 本当にハヤブサは――――ある意味、最強の恋人を手に入れたともいえるのだ。

「しかし参ったなぁ……。『術者』が死んでも、その『術』が解けないとなると――――」

「今………シュバルツに術をかけてしまっているのは俺だ………」
 ハヤブサは険しい表情で言葉を紡ぐ。
「俺が死ねば、もしかしたら―――――」

「それは絶対にダメだよ、ハヤブサ」

 ハヤブサの言葉に、キョウジがぴしゃりと釘を刺す。
「そんなことをしてシュバルツが正気に戻ったとしても、私もシュバルツも、絶対に喜ばない。特にシュバルツがどれだけ悲しんで泣くか――――貴方は分かっているのか?」
「……………!」
「おそらく、『術』の魔力はその『墨』自体が持っていて、『術者』の生死は関係ないんじゃないかな。詳しく調べてみないとわからないけど……」
(そうかもしれないな)
 キョウジの話を聞きながら、ハヤブサもまた男が死ぬ間際の言葉を思い出していた。
 
「無駄じゃ……。このわしを殺したところで、その術は解けはせん」

 あれはつまり、こういうことを示唆していたのではなかったか――――

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