農家の嫁の日記

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zoom RSS マリオネット狂想曲 40

<<   作成日時 : 2016/06/13 00:20   >>

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 しかし、身を起こそうとして、自分の身体に誰かの手が触れているのに気づく。振り返ってそこにハヤブサの姿を見た時、シュバルツはほっと安堵の吐息を漏らしていた。
(そうだった……。私はハヤブサに……)
 先程まで自分は、ハヤブサに激しく抱かれていたことを思い出す。

「もし……誰かに支配されるというのなら…………私はその相手に、お前を選ぶ……! ハヤブサ……! 私はお前がいいんだ……!」

 思えば、かなりむちゃくちゃなことをハヤブサに要求してしまったような気がする。それなのに、彼はずっと、正気を失った私のそばにいて、そして、守ってくれていたのだと悟る。
(ハヤブサ……)
 本当に、彼には返しても返しきれない『恩』を作ってしまったような気がする。

 どうしてだろう。
 どうしてハヤブサは、私にこんなに愛情を注いでくれるのだろう。

 私は、何も持っていない。
 自分の命すら持っていない、いわば『空の器』も同然だ。
 私からハヤブサに、返せる『物』など、何もないというのに―――――

(ハヤブサ……)
 シュバルツは、想いを込めてハヤブサの髪にそっと触れる。
 絹のように細い髪と、意外に長い睫毛が、とても綺麗だと思った。

 暫く、ハヤブサの穏やかな寝息と、さらさらとした髪の感触を楽しむ。
 彼の寝顔を見るのは好きだ。
 彼が自分の傍では「安心してくれている」と、感じることができるから。

 何も返せない存在であるなら、せめて、彼の穏やかな眠りを守れる存在でありたい。
 せめて、自分の傍にいるひと時だけでも、彼に安らかな時間を感じさせてあげたい。
 心の底から、そう―――――願う。

 シュバルツがそう思いながらハヤブサの髪をなでていると、ハヤブサがふっと瞳を開けた。

「あ………。起こしてしまったか?」
 そう言って、手を引っ込めようとするシュバルツ。その手を、ハヤブサが素早く取った。そのまま、「俺から手を引くことは許さない」と、言わんばかりに自分の方へと引き寄せる。
「シュバルツ……」
「ハヤブサ……」
 ハヤブサは、シュバルツの瞳に『生気』が宿っているのを確認してから、口を開いた。

「シュバルツ……。俺が、わかるか……?」

 シュバルツはハヤブサの質問の意図が瞬間分からず、少し首をかしげる。しかし、素直に「ああ」と頷いていた。
「私の目の前にいるのは、『リュウ・ハヤブサ』――――『龍の忍者』……だろう?」

「シュバルツ……!」

 シュバルツの身体から、完全に呪いが消え去ったのだと悟ったハヤブサは、嬉しさを隠すことができない。そのままシュバルツの身体を自分の方に強引に引き寄せると、彼を強く抱きしめていた。
「あ………!?」
 腕の中でシュバルツが小さく身じろぎをする。その反応すら、ハヤブサは嬉しかった。
 今まで、人形のようだった愛おしいヒト。こんな反応すら、彼はしてはくれなかったのだから。
「シュバルツ……! シュバルツ……!」
「ハヤブサ……?」

「会いたかった……! シュバルツ……!」

 その言葉に、シュバルツははっと息を呑み、ハヤブサはさらに強く、シュバルツの身体を抱きしめていた。

「会いたかったんだ……! シュバルツ……!」

「ハヤブサ……」

 シュバルツを抱きしめながら、ハヤブサの身体が小さく震えている。
「……………」
 シュバルツはそっとハヤブサを抱きしめ返すと、その背中を優しく撫で始めた。
「すまない……。ハヤブサ……。迷惑をかけてしまったな……」
「迷惑なものか! 元はと言えば、俺が狙われていたんだ! お前はそれに、巻き込まれたに過ぎないのに――――」
「しかし、罠にはまって捕まったのは、私の責任だ。私が――――」
 ここまで言葉を紡いでいたシュバルツの唇を、ハヤブサの人差し指が抑える。
「それ以上は言うな、シュバルツ」
「ハヤブサ……! しかし―――――」

「駄目だ。キスをしたくなるから」

「―――――!」
 ハヤブサの言葉に、はっとなるシュバルツ。
 やはり、ハヤブサの方に、キスをしてこない『理由』があった。
「何故だ? ハヤブサ……」
 その答えが知りたくて、シュバルツは思わず問いかけていた。
「シュバルツ?」
「そ、その………お前が、キスをしたいのなら…………」
 ここでシュバルツは、瞬間我に返った。自分が、とんでもないことを口走ろうとしているのに気づいてしまって、顔が真っ赤になってしまう。
 しかし、もう遅い。
 一度踏み出してしまった問いかけならば、最後まで言い切らねばと思った。
 それに、この疑問をうやむやなままにしてしまうのは、きっと、よくない。
 そんな予感がするから。

「わ………私の方は、そうしてくれても、一向に、構わない………!」

「シュバルツ……!」

「それなのに、何故だ……?」
「えっ?」
「何故………口づけをして、くれないんだ………?」
「……………!」
 顔を真っ赤にしながらも疑問を口にして、潤んだ瞳でこちらを見つめてくる愛おしいヒト。この、夢のような状況に、ハヤブサの中で理性がいろいろな方向に飛び散りそうになってしまう。

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