農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS マリオネット狂想曲 47

<<   作成日時 : 2016/06/20 13:41   >>

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「キョウジ………」
「こうしてシュバルツを無事、返してくれた……。私はそれで、十分だ」
 そう言って、シュバルツをまたギュッと、抱きしめるキョウジ。それにシュバルツはキョウジの背中を優しく撫でることで応え、ハヤブサは、小さくため息を吐いた。

「じゃあキョウジ、シュバルツ。俺は、ここで」

 そう言ってハヤブサはそこで別れようとする。キョウジはびっくりして顔を上げた。
「もう帰るのか? お茶でも……!」
「いや、それには及ばない。俺は取り急ぎ、里へ任務の報告をせねばならん」
 キョウジの誘いを、ハヤブサは苦笑しながらやんわりと断る。
「ハヤブサ………」
「だからキョウジ……。お前は、シュバルツと積もる話があるだろう。二人でゆっくり過ごしてくれ」
「う…………」
 キョウジが少し赤面するのを、ハヤブサは微笑ましく見つめていた。

 こういう時のキョウジの顔は、本当に、愛おしいヒトとそっくりだ。
 だが、ある意味当たり前の話だ。
 シュバルツはキョウジの人格を基にした、その分身のようなものなのだから。

 それでは、と、踵を返そうとするハヤブサを、シュバルツが呼び止めた。

「ハヤブサ……! また、会えるよな?」

「ああ。近いうちにな」
 ハヤブサはそう言いながら、手を上げて答えた。
(だが……しばらく大変なのは、シュバルツの方だろうなぁ。キョウジもドモンも、シュバルツと触れ合えないことに、だいぶ『来て』いたから……)

 自分はいいのだ。
 ここに来る前に、シュバルツと深く触れ合っているから。
 今は、自分は身を引くべきなのだ。
 自分まで駄々をこねて、愛おしいヒトに迷惑をかけるわけにはいかないのだから―――――

(しかし、シュバルツは愛されているよなぁ)
 そう感じて、ハヤブサは何故か嬉しくなってしまう。
 愛おしいヒトが愛されるべき人に愛されて、幸せそうにしている姿を見るのは大好きだ。
 こちらも、幸せな気持ちになれるから。

 だが、近いうちに、必ずシュバルツの顔を見に来よう。

 ハヤブサはそう決意をして、歩き出していた。


 そうして、シュバルツは無事に家に帰りついたのだが。

「よかった……! シュバルツ……! 帰ってきてくれて本当に良かった……!」
 家に帰るなり、キョウジはそう言って部屋の方へとすたすたと歩いていく。
「ああ、すまなかったな、キョウジ……。心配を―――――」
 そう言いかけたシュバルツの前に、キョウジが書類やらファイルやらの束の山を持って、ドンッ! と、勢い良く積み上げる。置いた拍子に、机の上から埃が舞い上がっていた。
「な、なんだぁ!?」
 呆然とするシュバルツの前で、キョウジがパンパンと、手をたたきながら埃を払っている。

「じゃあシュバルツ。早速で悪いんだけど、この書類の整理をしてくれる?」

「えっ?」

「それが終わったら、夕飯の買い出しとアカサカ教授の実験の手伝いをして――――」

「へっ?」

「あ、その前にコーヒー淹れて、肩揉んでくれたら嬉しいなぁ」

「お、おい!? キョウジ――――!!」

 早速自分をこき使う気満々のキョウジに、シュバルツがたまらず待ったをかける。
「何? シュバルツ」
「確かに私は数日家を空けていた形になってはいたが…………ど、どうしてこんなに仕事が溜まっているんだ?」
「当たり前でしょう? 今まで私とシュバルツ、二人で結構手一杯の仕事量を回してきていたんだ。それが片方の手が止まって、それでも振られてくる仕事量が変わらなければどうなるか―――――それは、自明の理だと思うけど?」
「そ、それはそうかもしれないが―――――」
「おまけに事あるごとにアカサカ教授に呼び出されて雑用は増えるし、ドモンは頻繁に訪ねてくるし―――――私は全部、それらを一人で対処していたんだ!」
「う…………!」
「私だっていい加減ちょっとぐらい休みたい! シュバルツ!! 今すぐコーヒー淹れて!! シュバルツが淹れてくれたコーヒーが飲みたい!! 淹れてくれなきゃ死ぬ―――――ッ!!」
 そう言いながらキョウジが床に寝っ転がってじたばたしだしている。
(うわ〜〜〜〜………何だ、この駄々っ子………)
 久しぶりに見るキョウジの甘えっ子ぶりに、さすがのシュバルツもちょっと引き気味だ。
 目の前のキョウジの態度にどう対処しようかとシュバルツが思案していたところに、ドモンが勢いよく部屋に飛び込んできた。

「兄さん!!」

「ド、ドモン!?」

 兄二人が自分の方に振り返ったのを見て、ドモン安堵の混じったため息を漏らす。
「よかった………! シュバルツが部屋に入っていくのが見えたから―――――」
「ドモン………」
 心配かけたな、と、シュバルツが言うより先に、ドモンがつかつかと歩み寄ってきて、シュバルツの手をギュっ、と握る。
「兄さん……!」
「ドモン? どうした?」

「兄さん頼む! 今すぐ俺と手合わせをしてくれ!!」

「へっ?」

「兄さんと手合わせできなくなって半月―――――俺はもう、限界だ!!」

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