農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 刹那の中の永遠 2

<<   作成日時 : 2016/09/15 01:14   >>

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 そう言って膝を抱え込み、床に「の」の字を書くハヤブサ。
 そんな、小さく落ち込んでいる姿を見ると、彼がつい、『神』と呼ばれる存在の物をすら討滅してしまう、伝説の『龍の忍者』であることを、キョウジはうっかり忘れそうになってしまう。
 それほどまでに────キョウジにとってハヤブサという存在は、なじみの深い者になっていたのだ。
「あははは……でも、しょうが無いよ。一度、『約束の日だけに会う』って言う約束を無くして、自由に会いに行けるようにしたんだろう? そしたらシュバルツが、生活に支障を来すレベルでくっつかれたから怒ったって………」
「そうなんだよなぁ……」
 そう言いながらリュウ・ハヤブサは頭を抱えている。
 会いに行ったその日は、たまたまシュバルツはキョウジの代わりに大学の講師の仕事をしていた。
 白衣を着て、学生の前で講義をするシュバルツの姿にしばらく見惚れていたが、同じように学生たちがシュバルツの方を熱心に見つめているのに気がついたら、居てもたっても居られなくなってしまって────

「俺は単に、シュバルツは俺の物だと主張したかっただけなんだ……。ちょっと講義しているシュバルツの一番近い席を陣取って座ったり、休み時間のたびに、傍にくっついていただけなのに……!」

「それで、質問に来た学生まで追い払っちゃったら………怒られても仕方が無いでしょ」
「うぐっ……!」
 キョウジに諭されて、ぐうの音も出ないハヤブサ。彼は深いため息を吐くと、近くにあったパイプ椅子に、重たそうに腰を下ろした。
「はあ〜〜〜〜〜………シュバルツに、会いたい………」
「仕方が無いよ。『約束の日』まで待てば────」

「昨日も、里の者からやんわりと言われたよ。『リュウ様は、血統をどうお考えなのか』って………」

「血統?」
 きょとんとするキョウジに、ハヤブサは苦笑する。
「龍剣を使える、『龍の忍者』の『血筋』を、次代に繋げって事なんだろう? 平たく言えば、『嫁をもらって子を作れ』って言うことだ」
「……………!」
「里の統制の安泰のためには、長である俺に子どもをもうけて欲しいと願う、長たちの気持ちも分かる……。『龍剣』と言う妖刀を封印しておくためにも、俺の中に流れる『龍の血』を絶やすわけにはいかない、と、思っても居るのだろう」
「ハヤブサ………」

「だから、俺はいずれ里の者が選んだ女性と結婚をして────なんとなく家庭を築く物だと思っていたよ………。シュバルツと会うまでは」

 その言葉にキョウジは、はっと息をのむ。ハヤブサは、少し切なそうに笑っていた。

「きっと俺は、シュバルツが男だろうと女だろうと、人間であろうが無かろうが関係なく惹かれて────恋に落ちてしまったのだろう。理屈じゃ無いんだ。俺は、シュバルツしか欲しくないんだ……」

「……………!」
「強いて言うなら………シュバルツが『女性』であったなら、それこそ最高だったのだが────」
「ちょ、ちょっと待ってよ! ハヤブサ!」
 ハヤブサのその言葉には、さすがにキョウジも待ったをかけた。
「シュバルツが『女性』だったらって……! まさか、シュバルツとの間に子どもを持ちたいの!?」
 キョウジの言葉に、ハヤブサは真顔で頷く。
「ああ。シュバルツとの間に子が出来るのなら、それこそ何人でも持ちたい」
「いやだってシュバルツは────」

「『DG細胞』で出来たアンドロイドだよな? よく、分かっているさ」

 ハヤブサの言葉に、キョウジは瞬間絶句する。
 しかしすぐに気を取り直して、言葉を紡いだ。ハヤブサが危険すぎる物思いをしていると感じたからだ。
「じゃ、じゃあ、『DG細胞』の特性も………」

「言ったはずだキョウジ。シュバルツに惹かれるのは理屈じゃ無いのだと」
「……………!」
 キョウジの顔色が蒼白になる。それを見たハヤブサは、面に優しい笑みを浮かべた。
「だから、ある意味シュバルツが男でよかったと思っている」
「ど、どうして?」
 問いかけるキョウジに、ハヤブサは苦笑気味の笑顔を見せた。
「俺が、シュバルツとの子どもを欲しがっても、シュバルツの方が、それを拒絶するだろう? あいつは自分の身体を構成する『DG細胞』の歪さ、危険さをよく分かっているから────」
「あ………!」
「絶対に、俺をその闇に巻き込みたくないから、俺と関係を持つことを断固拒否するだろう。そんなの、俺が耐えられない。目の前にシュバルツが居るのに、それに触れられないなんて………」
 そう言いながらハヤブサは、膝を抱えてしくしくと泣き出してしまっている。キョウジはひたすら呆れかえるよりほかなかった。
「だから、シュバルツは男で良いんだ。今のままなら、一週間に1度でも、触れることを許してくれるから────」
「そ、そんな物なのかな………」
 苦笑するキョウジに、ハヤブサは涙目を向けながら頷く。そこで────この話題は終わった。少なくとも、キョウジはそう感じていたのだが。

 もしも、あの場所で、ハヤブサが『シュバルツが女性であれば良いのに』と、強く願い続けていたのだとしたら。

 あの場所にはシュバルツをメンテナンスするための道具がいっぱいあった。
 そして、シュバルツのDG細胞の検体を培養した物も。

 DG細胞は、『人のココロ』に感応する細胞だ。それが、ハヤブサの願いに強く感応してしまっていて。
 その状態の細胞の一部を、シュバルツに昨日定着させたりしちゃった物だから。
 DG細胞がハヤブサのココロに、応えてしまったのかもしれない。
 シュバルツを
 女性にと────


「な─────!」
「あくまでも仮説だけどね」
 肩をすくめるキョウジに、シュバルツは呆然とするしか無かった。

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