農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 刹那の中の永遠 4

<<   作成日時 : 2016/09/19 00:22   >>

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逃がさない。
絶対に捕まえてみせる。
俺の────愛おしい、ヒト。


(くそっ! 靴が……!)
 女性になってしまったが故に足が小さくなり、ロングブーツがぶかぶかになってしまっている。ズボンも、ウエストの辺りがだぶついて、油断したらずり落ちそうになってしまう。
 ブーツを脱ぎ捨てたいとシュバルツは願う。だが、今は駄目だ。脱ぐために足を止めたら、ハヤブサに追いつかれてしまう。
「チッ!」
 舌打ちしながらベルトを強引に結びつけ、ズボンがずり落ちることだけは防ぐ。
 他にも────走るたびに胸が揺れて、それが痛くて仕方がない。
 本気で、世の女性たちを尊敬する。
 胸にこんな邪魔な物を二つも抱えて、よく身軽に動けているものだ。
(そうか……。だから、さらしやブラジャーが要るんだな……)
 シュバルツはため息交じりに思う。とにかく、この揺れる胸を押さえたい。ハヤブサと戦うために、身支度を調えたい。今のままハヤブサと相対するには、自分があまりにも不利すぎた。
「──────!」
 ぶかぶかの靴が、シュバルツの足をもつれさせ、バランスを崩させる。
「シュバルツ!!」
 ハヤブサの腕が伸び、シュバルツを捕まえようとした、刹那。

 シャッ! と、音を立てて、白刃が煌めく。それは、伸ばしたハヤブサの手のひらを傷つけた。

「……………!」
 痛みに、思わず手を引っ込めるハヤブサの目の前で、短刀を構える愛おしいヒトが、険しい目つきでこちらを睨んでいた。
「シュバルツ………」
「ハヤブサ……何故、追ってくる?」
「何故って………」
 下手なごまかしは通用しないと感じたハヤブサは、自分の気持ちを正直に伝えることを選択していた。
「決まっている。お前に触れたいからだ」
「私は今『女』だぞ!? それでもか!?」
 その言葉にハヤブサは、フッと柔らかい笑みを、その面に浮かべる。
「愚問だ。俺は『お前』だから触れたいと思っている。お前が男だろうが女だろうが────それは関係ない」
 静かに紡がれるハヤブサの言葉に、シュバルツはぐっと歯を食いしばってしまう。

 理解不能。
 理解不能だ。

 どうして────こいつは私なんぞにそこまで惚れ込めるのだろうか。

「馬鹿ッ!! 冷静に考えろハヤブサ!! 私の身体が『女』であることの意味を考えろ!! 男の時みたいに、お前に容易く身体を許すわけにはいかん!!」

「何故だ?」
 静かに問い返してくるハヤブサに、シュバルツは知らず声を張り上げていた。

「子どもが出来るかもしれないんだ!!」

「──────!」
 驚き、息をのむハヤブサに、シュバルツはさらに訴えかけた。自分から産まれる子どもには、どんな宿命が降りかかってしまうのか────それをハヤブサに分かって欲しくて。
「知ってのとおり、私の身体はDG細胞で出来ている!! そんな『モノ』が子どもを身籠もってみろ! 産まれてくる子どもだって────!」

「お前、子を身籠もれるのか?」

 ハヤブサの酷く冷静な響きを持った声に、シュバルツの叫びは中断させられる。はっ、と、息をのむシュバルツに対して、龍の忍者はさらに、一歩踏み出した。

「シュバルツ、もう一度聞く。お前は、子を身籠もれるのか?」

 問いかけてくるハヤブサの雰囲気が、先程とはがらりと変わっている。シュバルツは悟らざるを得なかった。自分は、ハヤブサに最も渡してはいけない情報を、渡してしまったのだと。
(しまった────!)
 シュバルツは、自分のうかつさを悔やむ。だが、もう遅い。
「わ、分からないが……可能性は、零ではない」
 素直に、すべての情報を明け渡す。今更隠し立てしようとしても、無駄だと知れた。
「もしかしたら、外見だけが『女性』になっていて、生殖機能が備わっているわけではないかもしれない。だが、男の私には、生殖機能があったから………」
「お前の腹の中に、『子宮』や『卵子』が、あるかもしれないと言うことか?」
「キョウジに調べてもらわないと、断言は出来ないがな」
 ハヤブサに答えながら、シュバルツは油断なく身構えていた。
 とにかく、守らなければならないと、強く思った。
 ハヤブサとの交わりで子が出来てしまう可能性が零ではない以上、自分の『闇』に、ハヤブサとその子どもを、巻き込んでしまうわけにはいかないのだから。

 分かってくれ、ハヤブサ。
 お前の子を孕んで良いのは私ではない。
 私がお前の子を産んでも、お前もその子どもも、不幸になるだけだ。

「……………」
 ハヤブサは短刀を構え続けるシュバルツを、少し切なそうに見つめていたが、やがてその面に、フッと、小さな笑みを浮かべた。
「お前……俺を殺す気無いだろう」
「!!」
「良いか……? 俺は、本気でお前を奪いにいく。だから、お前もそれが嫌なら、本気で俺を殺しに来い」
「な─────!」
 あまりのハヤブサの言い分に、絶句するシュバルツ。
「そうしなければ、俺はお前を孕ませるぞ。俺はお前に産んでもらいたい。俺の子を────」
 その言葉が終わると同時に、一気に膨れあがっていく、ハヤブサの殺気。
「そんな………!」
 シュバルツはただ呆然とするしかなかった。
 自分は、ハヤブサには幸せになってもらいたいと願っている。決して、彼の死を願っているわけではないのだ。
 それなのに「殺せ」とは────本末転倒ではないか。

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