農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 戦う君に、花束を 7

<<   作成日時 : 2017/01/10 22:25   >>

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 だから頼む。どうかそれまでは、何事も起きないでほしい。
 相手の信用を得られない状態で、相手を『守護する』ということは、非常に難しいことであるのだから。
 祈るような気持ちで、ハヤブサは姫たちの後ろをついて行っていたのだが。

 事態は、悪い風にしか転がらないもので。

 「それ」は音もなく飛来してきた。
 ハヤブサは、持っていたペンで、叩き落すことを選択する。
 ストン、と、音を立てて、それは地面に刺さった。
 小さな、吹き矢のような得物─────それと同時に、ナディール姫に向かって、四方より『殺気』が迫ってくる。
(狙われているぞ! 気づいているのか!?)
 ハヤブサが前方に視線を走らせてみても、姫と兵士たちは、相変わらず楽しそうに談笑をしているだけだ。
「ちぃっ!」
 ハヤブサは小さく舌打ちをする。それと同時に、地面を強く蹴った。殺気よりも早く、自分はナディール姫のそばに行かねばならぬのだ。
 走る道すがら、姫に向かって吹き矢を構えている者を見つける。延髄を打って昏倒させた。だが────これで終わりではない。明確な殺気は、まだ姫の周りに存在している。
 龍の忍者は、さらなる加速を足に命じた。
 かすかに聞こえる、矢羽の音。

 冗談ではない。
 俺の目の前で
 ガードしようとしている対象者を
 傷つけさせて、たまるか─────!

 その矢が姫の身体に到達するよりも先に、ハヤブサは間一髪、その間に体を入れていた。
 矢を叩き落そうと腕を振った瞬間、その腕は屋台の果物の山に、勢いよく当たる。
 バンッ!!
 派手な音がして、果物が辺りに飛び散った。
 それと同時に、ハヤブサは姫に向かって飛んできた二本の矢を、見事防ぎきることに成功していた。

「きゃっ!!」

「うわっ!? な、なんだぁ!?」

 突然、自分たちのそばに乱入してきたトレンチコートの男に、ナディール姫と兵たちは、素っ頓狂な悲鳴を上げる。ハヤブサはそれを背に庇いながら、振り向きざまに叫んでいた。

「狙われているぞ!! 気づいてないのか!?」

「ええっ!?」
 姫が驚きの声を上げると同時に、雑踏の中から男が一人、はじかれたように走り寄ってくる。
 手にコートをかけて、手元を隠しているが────その下に、白銀の刃が殺気を伴って煌めいているのを、ハヤブサは見逃さなかった。
「─────ッ!」

 ダンッ!!

 攻撃してきた腕をとって、地面に叩きつけるように投げ飛ばす。その後ろから、さらなるうち手が姫に襲い掛かろうとしてきた。
「借りるぞ!!」
 ハヤブサはとっさに、近くの屋台のガス台の上に乗っていた中華鍋を手にとって、応戦する。討ち手の鉤爪と中華鍋がぶつかり、ガキン!! と、派手な金属音と火花が、辺りに飛び散った。
「何事だ!?」
「きゃ─────ッ!!」
「わしの鍋〜〜〜〜!?」
 突如として沸き起こった騒乱に、その周辺はたちまちのうちにパニックに襲われる。そんな中、ナディール姫は、己が取るべき行動を悟り、迅速にそれを実行に移していた。
「トマス!! モガール!!」
「は、はいっ!!」
「なんでしょう!! 姫様!!」
 弾かれたように振り向く兵たち二人に、姫は真剣な表情で呼びかけた。

「走るわよ!! ついてきて!!」

 言うや否や、ナディール姫は脱兎のごとく走り出す。
「えっ!? ち、ちょっと!!」
「お待ちください!! 姫様〜〜〜〜!」
 それを見たトマスとモガールも、慌てて後を追っていた。
「……………!」
 それを見たハヤブサも、姫の後を早急に追わねばならぬと、悟る。
「死ねい!!」
 そう言いながら、武器を振りかぶってきた討ち手に向かってハヤブサは────

 無言で、熱々に熱されていた中華鍋の底を、その身体に押し付けていた。

「ぎゃあああああああっ!?」

 ジュッ! と、音がして、香ばしい匂いがする。
 討ち手が悲鳴を上げてひるんだ隙に、ハヤブサは、その顔面に思いっきり拳を叩き込んでいた。
「すまん! 世話になった!」
 ハヤブサは手短に礼を言うと、少し引っ込んだ中華鍋を、律義にガス台の上に返す。そのまま彼もまた、ナディール姫の後を追って、走り出していったのだった。


「姫様!? お待ちください!!」
「いったいどこへ行こうというのですか!?」
 声をかけてくるトマスとモガールに、ナディール姫は足も止めずに口を開いた。

「とにかく走って!! 人のいない方に逃げるの!!」

「えっ!?」
「な、何故ですか!?」
 姫の言葉に二人はさらにびっくりする。
 普通、自分の身の安全を考えるのなら、こういう場合は人ごみの中に紛れ込むのが常識だろうと思ったからだ。
 しかし、ナディール姫はそれに頭を振る。
「だめよ! 狙われているのは私だから─────人ごみの中ににいたら、皆が襲撃に巻き込まれてしまう!」
「────!」
「それよりも、追っ手をできるだけ皆から引き離して、なおかつ可能ならば倒しながら、振り払うべきだと思うの! 大丈夫! ここは私にとっては庭みたいなものよ! 逃げる手段など、いくらでも────」

「おい」

 その時前方に、いきなり人影が飛び出してきたものだから、3人ともが死ぬほど驚いて、その足を止めてしまっていた。

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