農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 8

<<   作成日時 : 2017/01/11 16:02   >>

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「きゃ───っ!?」
「ひ、姫様!! 我らの後ろへ!!」
「お、おい! 貴様!! 何者だ!! ひ、姫様に無礼を働いたら、承知しないぞ!!」
 トマスとモガールが、ナディール姫をその背後に庇い、おっかなびっくりといった風情で、槍をハヤブサに向けてくる。
「………………」
 しばらくそれを無言で見つめていたハヤブサであったが、やがて、はあ、と、大きくため息を吐いた。
「勘違いするな。俺は、お前たちの味方だ」

「信じられるか!!」

 トマスの、悲鳴のような声が斬りかかってくる。
「お、お前が、俺たちの味方だという、証拠はあるのか!?」
「証拠と言われてもな」
 ハヤブサは、この任務に忠実な兵たちの態度に苦笑しつつも、もう一度、溜息を吐いた。
 この極限の状況────実は、信じることの方が疑うことよりも100倍難しい。それをハヤブサは、知っている。
 兵たちの自分に対する対処は、実に正しいのだ。
「………明確なものはない。信じてもらうしかない」
(あ………!)
 ナディール姫は、ここで気づいた。
 目の前の、このトレンチコート姿の人は、先程私たちを、助けてくれた人ではないのかと。

「狙われているぞ!! 気づいてないのか!?」

 そう怒鳴りながら、襲ってきた人を投げ飛ばしたあの人が、確かこのトレンチコートを着てはいなかっただろうか────
 だが、味方のふりをして近づいてくる暗殺者も、よくいるし、よくある話だ。ナディール姫は、沈黙することを選択していた。

 そして、無言で問いかける。
 あなたは、誰ですか?
 敵?
 それとも、味方────?

「そ、そんな言葉だけで、信用できるか!」
「み、味方だというのなら────もっと姫から離れてもらおう!」

「断る。それはできない」

 兵士二人の言葉を一刀両断にしたハヤブサの態度に、その場の空気が凍り付く。
 ハヤブサからしてみれば、これ以上姫から離れたら、守ることが困難になるが故に、そう言ったのだが。
 自分たちの要求が言下に否定された者たちからしてみれば、そういう風には解釈できない。ただ、自分たちの要求をはねのけた『敵』としての認識を、強くしてしまう。

「こ、断ると、言うのなら………ッ!」

 トマスが、目に涙を浮かべながらも一歩、踏み出し、震える槍先をハヤブサに向けてくる。
「……………」
 しばらくそれを無言で見つめていたハヤブサであったが、やがて、ふっと、溜息を吐いた。

「……もう少し、腰を入れろ。そんなへっぴり腰では、俺を倒すことなどできんぞ」

「…………!」
(さて、どうしたものか)
 正直ハヤブサは、目の前の状況に辟易してしまっていた。
 姫たちの信用を得るどころか、不信を募らせているこの状況。
 口下手な自分を、少し恨む。
 どうして自分はこういう時に
 もっとうまく、立ち回ることができないのだろうか。

 しかし、落ち込んでいても仕方がない。
 このままでは、お互いに進むことも引くこともできないのだから。

(怖い……!)

 トマスは目の前の男に槍を向けながら、恐怖を拭い去ることができずにいた。

 何故だろう、怖い。
 武器を持っているのは自分で────相手の男は身構えてすらいないのに。
 何故か自分は、決して打ち壊すことのできない巨大な壁に向かって、槍を向けている。そんな心持がしてならなかった。

 できれば逃げ出したい。
 今すぐにでも。
 だが─────自分のすぐ後ろには、姫様がいる。

 姫様を置いて逃げるなど─────兵のすることではないのだ。
 その信念だけを支えに、トマスは槍を構え続けていた。

「……………」
 しばし、沈黙が続く。
 そのまま、膠着状態に陥るかと思われたとき─────ハヤブサが、動いた。
 ダッ!! と、力強く地面をけって、猛然とこちらに向かって突っ込んでくる。
「ヒ………!」
 トマスは正直、「死んだ」と、思った。
 だが、動いた男は、こちらを攻撃しては来なかった。
 自分を通り抜け、姫と、モガールのそばも通り抜けて────

 ガンッ!!

 自分たちに迫っていた討ち手の攻撃を、体を張って防いでいた。太刀を受け止めた腕は、袖が破れ、下から黒い籠手のような物が、顔をのぞかせていた。
「槍を貸せ!!」
 討ち手の太刀と自身の籠手で、つばぜり合いをしながら、ハヤブサが叫ぶ。
「うわ、はいっ!!」
 その気迫に押されるように、モガールが槍を差し出す。ハヤブサは片手でそれをつかみ取ると、あっという間に討ち手を撃退してしまっていた。その間、わずか0.5秒あるかないか。あまりにも鮮やかすぎて、まるで手品か何かを見ているような心持になってしまう。

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