農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 11

<<   作成日時 : 2017/01/14 23:57   >>

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 警戒を強めるハヤブサたち。
 そこに、唸り声が聞こえてくる。
「何!? 何なの!?」
「ひ、姫様!!」
「どうか、我らのそばを離れずに!!」
 じりじりと固まる3人を背に守るように、ハヤブサが立つ。
 唸り声は徐々に大きくなり、辺りの壁に反響し、包み込まれるかのような錯覚を覚えた。
 やがて、闇からのそりと巨大な獣のような物が、姿を現した。
 4つ足歩行で、一見オオカミのように見えたが、そう呼ぶにはその身体はあまりにも巨大すぎた。
 異形の生き物────ハヤブサがそう判断するまでに、時間はかからなかった。
「お前の国は、モンスターも飼っているのか?」
「そ、そんなはずないわ!!」
 ハヤブサの皮肉ともいえる物言いに、ナディール姫は懸命に首を振る。
「さんざん地下を歩き回ってきたけど、あんなのに遭ったことない! 絶対に、今までいなかった物よ!!」
「ひ、姫様!!」
 トマスが悲鳴のような叫び声をあげる。見ると、オオカミのようなモンスターが、その数を増やしていた。
「うそでしょ……!」
 ナディール姫が、絶望に染まった小さな悲鳴を上げる。
 モンスターたちは四方から、ハヤブサたちを囲むように迫ってきた。
「ひ、姫様……! 我らが、命に代えてもお守りします……!」
「わ、我らがあのモンスターを引き留めているうちに……! 逃げてください……!」
 槍を構えたトマスとモガールの顔色は、もはや蒼白になっている。
 それでも二人は、懸命に姫を守ろうとしていた。
「そ、そんな!! 駄目よ!!」
 ナディール姫が、はじかれたように叫び声をあげる。
「あなたたち二人を置いて逃げるなどできない!! 皆で生き延びなければ────!」

(4体か……)

 背に互いを庇いあう主従を感じながら。ハヤブサは、ふっと小さく息を吐いた。

 ────この仕事は、実にお前向きだと思うぞ、リュウ。

(ああ、確かにそうだな)
 アーサーの言葉に、ハヤブサはもう苦笑するしかない。

 ああ、確かにこれは、
 これ以上ないくらい────『俺向きの』仕事だ。

 グルルルルルルル………

 灰色の長い毛に、金色に光る鋭い目。大きな牙は不吉に光り、口からはよだれが垂れ続けている。自分たちよりもはるかに上背のある、モンスターの巨体。獣臭と殺気が、辺りに充満していた。
「……………」
 トマスとモガールは、今、走馬灯のようなものを見ていた。
 無理だ。
 如何に目の前で自分たちを守るように立つ男が『強い』とはいっても─────

 これだけ巨大なモンスター4体を相手に、勝ち目があるわけがない。

 自分たちはどうなってもいい。
 だが姫様は。
 姫様だけは、守りたい。

 ああ
 どうか

 神様─────!

 グオオオオッ!!

 獣の咆哮が響き渡る。
 誰もが己の死を意識した刹那。
 男のトレンチコートが、宙を舞った。

 それと同時に、飛び出してくる黒い影。

「覇──────ッ!!」

 響き渡る、裂帛の気合。
 一瞬光を放った白銀の煌めきは、あっという間に一体めのモンスターを屠っていた。ドオッ! と、大きな音を立てて、モンスターの巨体が頽れる。

「え………?」

 呆然としている間に、黒い影はもう次のモンスターに襲いかかっていた。

 その俊敏にして苛烈な動きを、何と表現すればよいだろう。

 信じられぬことだが、モンスターたちは攻撃らしい攻撃もできないままに。
 あっという間に黒い影に倒されてしまっていたのである。
 最後のモンスターが断末魔を上げるのを、ナディール姫たちは、ただ茫然と聞いていた。

 しばしの沈黙が、訪れる。
 ブンッ! と、刀を大きく一振りすると、黒装束を身にまとった男は、その刀を背中の鞘の中に納めていた。

「怪我はないか?」

 振り向いた男は、その面まで黒い覆面で覆っていた。覆面の間から僅かにのぞく色素の薄いグリーンの瞳が、鋭い光を放っている。
 だが、ナディール姫は直感的に『理解』していた。
 この姿こそが──────自分たちを守ってくれていた男の、本来の姿なのだと。

 だから、ナディール姫は問いかけていた。

「貴方は─────?」

 あなたは。
 あなたはいったい何者なのですか?

「俺の名前は、リュウ・ハヤブサ」

 黒装束の男は答えた。

「見ての通り────『忍者』を生業とする者だ」

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