農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 23

<<   作成日時 : 2017/01/25 15:49   >>

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「え…………? え…………?」

 兵士たちの誰一人として、そこで何が起きたのか、正確に把握出来た者は皆無であった。
 闘技場にいたはずの黒の忍者が、なぜ、あのようなところにいるのだろうか?
 ナディール姫は
 イガール隊長は

 どうやって、助かったというのだろう

「……………」

 落ちてくる剣と腕。
 突進してくるイガール。
 それよりも早く、自分たちの間に入ろうと、飛び込んでくるナディール姫。

 その瞬間、ハヤブサの『龍の忍者』としての集中力が、極限にまで高まる。
 すべての音が消え去り、無音になる。
 周りの動きが、すべて、緩慢なものとなった。

 コロッセオの中の、一人ひとりの息遣いが、手に取るようにわかる。

 その中で、判断する。

 今ここで、何が起きているか。
 どういう状況か。
 どこに何が来るか。
 何が自分にとって危険で、どう動けば避けられるか。

 そして、見極めた。

 皆を守るために、自分がとるべき行動は─────

 飛び込んできたナディール姫を抱き込み、イガールの突きをかわす。
 そのまま彼の腰のあたりを、思いっきり蹴り飛ばす。
 そして自分は、姫を抱きかかえたまま、落ちてくる瓦礫を利用しながらボックス席へと跳躍した。

 ハヤブサがここに来たわけは、二つある。
 一つは、姫の安全確保のため。
 そして、もう一つは────

 黒の忍者が引き起こした『奇跡』とも言っていい状況に、場内は、シン、と、水を打ったかのように静まり返る。

 そんな中、やはりというべきか────真っ先に我に返り、口を開いたのは大后であった。

「そこの者!! 無礼ですよ!! 王の御前で、そのような態度は────!」

「………………」
 ハヤブサは黙して答えない。
 ただ、振り向きもせず、抜刀したまま、テーブルの上に立ち続けていた。

「降りなさい!!」

 威圧的な声に、やっとハヤブサは、ちらっと目線を大后に走らせる。しかし。

「断る。それはできない」

 大后の物言いを、一刀両断にした。
「な………! な…………!」
 はっきりと拒絶された格好になった大后が、わなわなと震えている。
(おのれ……! 無礼な……! こうなったら、力づくで────!)
 強引な命を下すべく、大后が息を吸い込む。
 だが、彼女が言葉を発するよりも先に、テーブルの上で立ち続ける、黒の忍者が叫んだ。

「右斜め前方!! ここを狙っている者がいるぞ!!」

「─────!」
 その声に、皆が一斉に、黒の忍者が刀で指示した方向を見る。
 すると、一人の兵士が無言でコロッセオから逃げ出していた。
「侵入者ぞ!! 追えっ!! 追え────ッ!!」
 カライ内大臣の叫び声に、周りの兵士たちが一斉に動き出していた。
「……………」
 そんな中、ハヤブサはもう一度、周りに『気』を張り巡らせる。
 コロッセオの中の気配を探るが、こちらに向かって射るような殺気を向けてくる者は、もうこの中には存在しなかった。
(もう、大丈夫か……)
 ハヤブサは無言で、龍剣を鞘にしまうと、ようやく、そのテーブルから降りていた。
「……………」
 ちらり、と、大后に視線を走らせると、彼女は「う………!」と、小さく呻いて後ずさっていた。声をかける気にもなれなかったので、ハヤブサはそのまま、すたすたとその横を歩いて通り抜けていく。
 ガエリアル王は、その姿を無言で見送っていたが、やがて、大きく息を一つ吐いた。
 自分たちは、あの黒の忍者に守られたのだと、彼はすでに悟っていた。
「……………」
 呆然と座り込んでいるナディール姫のそばに、ハヤブサは歩み寄っていく。

「怪我はないか?」

 ハヤブサがそう声をかけると、ナディール姫は、はっと我に返ったように、顔を上げた。
「あ…………」
 そこにあったのは、ハヤブサの静かな視線。自分に怪我はなかったので、ナディール姫は「はい」と、頷いた。

「そうか」

 ハヤブサは短くそういうと、すたすたと歩きだしていた。
 ここには、警備の兵もいる。自分が、彼女のそばにべったりとついていなくても大丈夫だろう─────彼はそう判断した故であった。
(ツ………!)
 背中と肩に、焼けつくような痛みが走る。姫を庇ったときに、イガールの剣と瓦礫によって、ハヤブサは傷を負っていたのだ。あの状況───やはり、無傷で切り抜けるのは、至難の業であった。

 しかし、ここで倒れるわけにはいかない。
 弱みを見せるわけにもいかない。
 周りに『味方』などいないのだから。

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