農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 24

<<   作成日時 : 2017/01/26 13:40   >>

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「カライよ………」

 内大臣に、王が声をかける。
「はっ! 何でしょう、王様」

「あの者に、姫の警護を頼んだのは、お前か……?」

「御意にございます」
 カライ内大臣はそう言ってかしこまる。王は頷くと、言葉をつづけた。

「あの者に、姫の警護に就くように、正式に手配せよ」

「─────!」
「頼んだぞ」
「ははっ!!」
 頭を下げるカライ内大臣に、王は手を上げて答えていた。

「皆の者!! この場はこれで仕舞じゃ!! 皆、それぞれの持ち場に就くように───」

 カライ内大臣の言葉に合わせて、コロッセオに集まっていた兵たちもまた、各々解散するために立ち上がっていた。


「義姉様……大丈夫ですか……?」
 解散のざわめきの中、呆然と座り込んでいるナディール姫に、義弟であるノゾムが声をかけてきた。
「へ、平気よ……。大丈夫……」
 ナディール姫は笑顔を作るが、声が上ずってしまう事を止めることができなかった。
(結局、私のしたことは何だったのだろう)
 彼らの戦いを止めたい。
 その願い一つを持って、駆け出して行ったのに。
 何もできなかった。
 止める間すらなかった。
 何が起きたのか、理解することすらできないままに、ただ、守られてしまっただけと、悟る。
(何て、無力なんだろう)
 あまりにも非力な自分に、姫は少し、自己嫌悪に陥ってしまう。
「義姉様………?」
 ノゾムの、自分を案ずるような声に、彼女ははっと我に返った。
(いけない……! ノゾムを不安にさせてしう……!)
「大丈夫よ。ありがとう」
 姫はそう言って、笑顔で立ち上がっていた。いつまでも座りっぱなしではいけない。ちゃんと、立ち上がらなくては。
 ドレスに付いたほこりを払って、ナディール姫はノゾムににっこり微笑みかける。だが、その姿を見たノゾムの方が、顔色を変えていた。
「義姉様!! 血が────!!」

「えっ?」

 ノゾムに指摘されて、改めてドレスを見てみると、確かに、血飛沫のようなものがドレスに付いていた。
「えっ? 何で? 私は怪我なんてしていな────」
(………………!)

 ここで、ナディール姫は、はっと思い当たっていた。
 あの瞬間、自分を庇ってくれたハヤブサのことを。
 イガールの切っ先の前に、無我夢中で飛び出した自分。
 絶対に────無傷でなど、済むはずもなかったのに。
 なぜ、自分は、けがを負わなかったのか─────
「あ…………!」
 床に、点々と血痕が続いていた。
 それは、正しくハヤブサが歩いた道筋と、一致していた。
「ハヤブサ様………!」
 ナディール姫は弾かれたように、走り出していた。


 ボックス席の外の廊下に出てきたハヤブサは、壁にもたれかかって、思索にふけっていた。
 あれは、いったい何だったのだろう。
 あの殺意は
 あの悪意は─────

 妙にタイミングよく落ちてきた雷も気にかかる。
 まさか、こちらに悪意を向けてきたものは、雷をも操る力を持つ、と、いうことなのだろうか。
(ありえない……と、言いたいところだが、な……)
 自分は、雷をも操る存在と戦うことも間々あるので、完全に否定できない事実に苦笑してしまう。そういう場合は本当に、これ以上ないというぐらいに『俺向きの仕事』に、なってしまうわけだが─────
(アーサーのやつ……! ここまで調べがついていたから、俺に仕事を振ってきたんじゃないだろうな……!)
 彼の爽やかな笑顔を思い出すたびムカついてくる。帰ったら冗談抜きで、割増料金を請求してやろうかと思ったりした。

 それにしても、あの崩れ落ちてきた『像』
 あれは、いったい誰を狙った?

 俺か?
 イガール殿か?
 それとも、まさかあそこに姫が来る、ということを予測したとでも。

(……しかし、何であんなところに姫が来たんだ……)

 自分たちの戦いの方に、ためらうことなく走り寄ってきた姫。その姿を思い出すたびに、ハヤブサは頭が痛むのを抑えることができなくなる。
(あの馬鹿……! 何をしに来たんだ……! 死んだら、どうするつもりだったんだ……!?)
 この世はバカばっかりなのか、と、ハヤブサが深いため息を吐いた時、彼に声をかけてくる者がいた。

「……ハヤブサ殿……」

「…………!」
 それが誰かと気が付いたハヤブサは、壁から身を起こしていた。そこにいたのは、自分が先ほどまで剣を合わせていた、イガールその人であったから。
 自分は先程、イガールを助けるためとはいえ、その腹を思いっきり蹴り飛ばしていた。
 だから、ハヤブサはそれを案じた言葉をかけようとしたのだが、それより先に、イガールの方が、ハヤブサの前に両手をつき、頭を下げていた。

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