農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 39

<<   作成日時 : 2017/02/11 00:48   >>

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 その取材映像は、すぐに編集されて、日本の夕方のニュースで紹介された。
 ノゾムの「ドモン・カッシュのファンだ」と言う映像は、ニュース番組とは別に、動画投稿サイトに公開されていた。

 これは、まったくその取材スタッフの好意からであった。

 ノゾムの愛らしさと、忍者が映りこんでいるという、映像的には非常においしい出来だったのだが、ニュース映像としては、残念ながら使いにくい。
 そこでスタッフは、姫とノゾムに動画投稿サイトにこの映像を上げることを、提案していた。

「うまくいけば、ドモンさん本人が、映像を見てくれるかもしれませんよ」

 その言葉に、ノゾム本人が動画をネットに挙げることを強く望んだ。
 王后にも許可を取りに行くと、意外にも許可は、あっさりと下りた。

「ノゾムの顔と名前が世界に広く知られることは、我が国にとってもいいことです。ノゾムは将来、何といっても『王』になる身なのですから───」

 こうして、その映像はネットに乗ったのである。

 格闘家であるドモンの名と、『忍者』が映りこんだ映像は、日本でちょっとした拡散力を伴っていた。
 そしてそれが─────たまたまネットサーフィンをしていた、ドモンの兄であるキョウジ・カッシュの目に留まったのである。


「あれ、これ、ハヤブサじゃない?」

 日本の東京で、論文の合間の息抜きをしていたキョウジが、その映像に思わず声を上げていた。
「何っ!?」
 それまで、窓際で黄昏ていたシュバルツが、勢いよくキョウジのそばに寄ってくる。
「ほら、これ。ちょっと映像を戻すから、よく見てて」
 キョウジが手元のマウスを操作して、シュバルツにその映像を見せる。
 王子と姫の後ろに控えていた黒い忍者は、確かに、紛うことなき『リュウ・ハヤブサ』その人の姿であった。
「どこの国の映像なんだ? これは……」
「話から察するに、『ユリノスティ王国』の、王子様とお姫様が映っているみたいだね」
 シュバルツの問いに、キョウジが答える。
「ここの王子様が、どうやらドモンのファンみたいで………」
「そうか………。ドモンの………」
 ここで兄二人は、しみじみと感慨に浸る。
 世界中にドモンのファンがいることは、情報として知っていたが、こうして改めてそのファンの存在に触れると、なんともうれしい気持ちになるものだ。

「それにしてもハヤブサ……。そんなところにいたのか………」

 ぽつりとつぶやくシュバルツの言葉に、キョウジが反応する。
「やっぱりハヤブサは……『仕事』に行っているの?」
「ああ……。『しばらく日本を離れる』と、言っていたから………」
「そして、例によって例のごとく、『行先』は聞いていない?」
「そうだ……。『仕事に関係のない第三者は巻き込まない』それが、彼の流儀だからな……」
 少し、シュバルツの声のトーンが落ちる。キョウジは思わず、そちらの方を振り向いていた。

「………心配?」

「……………!」
 シュバルツは少し、驚いたようにキョウジの方を見たが、すぐに頭を振った。

「いいや………。心配はしていない。ハヤブサは十分『強い』から………」

 ただ少し、淋しい、と、シュバルツは感じていた。

 そう。
 ハヤブサの言い分はわかる。
『プロとして、第三者は巻き込まない』という、その姿勢にも共感できるし、納得もできる。
 ただ少し、『淋しい』と、思った。
 どんな時でも、『仕事』の時は、こちらを頼りにしてはくれないんて─────

(そんなに、私は頼りない存在なのだろうか……)

 違う。
 ハヤブサは、決してそんなことは思ってはいない。
 ちゃんと頼ってくれている。
 必要としてくれている。

 でも────

(………まったく、ぜいたくな物思いだよなぁ……。『恋人』として、これ以上ないくらい愛されているのに、まだ、彼に必要とされたがっているだなんて………)

 いつの間に、こんな欲張りになってしまっているのだろう、と、シュバルツは軽く自己嫌悪に陥る。その横で、キョウジは映像を見ながら、しきりに首をひねっていた。
「あれ………? 変だな………? 何か………」
「どうした? キョウジ」
 シュバルツが問いかけると、キョウジは映像から目を離さずに、答えてきた。

「シュバルツは、この映像の中の『蜘蛛』………見える?」

「蜘蛛?」
 素っ頓狂に問い返すシュバルツに、キョウジは頷いていた。
「うん。蜘蛛。女の子の方の肩に………」
「………………」
 シュバルツは、キョウジに言われるままに目を凝らして映像を見るが、蜘蛛を見つけることはできなかった。
「………何もいないぞ?」
「ええっ!? そんなはずは………!」
 びっくりするキョウジに、シュバルツはやれやれ、と、ため息を吐いた。
「『蜘蛛』など────どこにでもいる生き物だし、そんなに大騒ぎするほどの物でもないだろう、キョウジ。肩に乗った蜘蛛ぐらい、ハヤブサが何とかするだろうし……」
「そんな生易しいものじゃないんだよ! シュバルツ!! ものすごく大きい蜘蛛が────!」
 そこまで叫んだキョウジが、ここではっ、と気がついた。

「………あれ? もしかして、この『蜘蛛』が見えているのって、私だけ………?」

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