農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 40

<<   作成日時 : 2017/02/11 23:51   >>

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「………………」
「………………」
 シュバルツとキョウジは、しばし互いにじっと見つめ合う。
 そして、先に口を開いたのはやはり、キョウジの方であった。
「もう一度、確認するけど、シュバルツ………」
「ああ」
「シュバルツに、あの『蜘蛛』は、見えていないんだよな………?」
「ああ………」
 シュバルツは淡々と頷く。
「私には、あの姫君は、普通の状態に見えている………」
「……………」
「……………」
 再び部屋に、沈黙が訪れる。

「ちなみに、キョウジ」

「何? シュバルツ」

「『蜘蛛』って……どういう風に、見えているんだ?」

「うん………」
 キョウジは少し考えてから、手元に鉛筆とメモ帳を取り寄せた。
「口で説明するよりも、見てもらった方が分かりやすいと思うから、ここに図を描くね」
 そう言いながら、キョウジはすらすらと女性の身体をメモ用紙に書いていく。さすがに、医療の心得があるだけはあって、その絵はさながらカルテに書かれる人体図のようだ。

「これが、あの映像に映っている彼女の身体だとしたら、その『蜘蛛』は、彼女の身体にこう………」

 そう言って、キョウジはその絵に、大きな蜘蛛を一匹、彼女の背に背負われているように書き込む。

「…………! そんなに大きな蜘蛛がいるのか?」

 驚くシュバルツに、キョウジは頷いた。
「うん。なのに、周りの人たちが、何も反応していないのが不思議で────」
「………………」
「………やっぱり、ハヤブサにも見えていないんだよね……。これは、私の目の方が、おかしいのか………な………?」
「……………!」
(違う。キョウジはこんなことで『噓』を言うような人間ではない)
 実はキョウジは、死んで『霊体』として彷徨ったり、死にかけたりした経験があるせいで、『霊感』のようなものが、変に身についてしまっているようであった。なので時折、常人には見えないものを、見てしまったりするときがある。
 それが、あの姫君の身に起こっている『異常事態』を、『蜘蛛』という形を通して、キョウジに知らせているのだとしたら? そして、ハヤブサが、「それに気づいていない」のだとしたら……?

「キョウジ……」

「何? シュバルツ」

 問い返すキョウジに、シュバルツは、まっすぐ答えた。

「………ユリノスティ王国に、行ってもいいか……?」

「……………!」

「ハヤブサのことを信用していないわけじゃないんだ……! ただ、心配で……」

「シュバルツ………」

 そう。ハヤブサは十分『強い』
 自分の手助けなどなくとも、彼の力量ならば、たいていのことは乗り越えられるということを、シュバルツは知っていた。
 だから、自分の心配は、彼からしてみれば『余計なおせっかい』に当たるのかもしれない。
 蜘蛛のことも、ハヤブサは察知していて、敢えて気づいていないふりをしているだけなのかもしれない。
 『仕事』のこととなると、彼は第三者の介入を嫌がっている。だから、自分がそこへ向かって行って、口を出したら──────最悪、嫌われてしまうかもしれないが……。

(嫌われてもいい。行こう)

 シュバルツは、そう断を下していた。
 嫌われる恐怖よりも、ハヤブサを心配する『ココロ』の方が、彼の中では勝ってしまっていたのだ。

「………………」

 キョウジはシュバルツをじっと見つめる。
 深く、静かなまなざしをしているシュバルツ。彼の決意は固いのだと知る。

「わかった。行っておいで」

 だからキョウジはそう言った。止めても無駄だと悟っていたから。
 それにあの『蜘蛛』からは、かなり不吉なものをキョウジは感じ取っていた。
 それをハヤブサに知らせに行く、ということは、悪いことではないはずなのだから。

「キョウジ………」

 佇むシュバルツに、キョウジはにこっと微笑みかける。

「ついでに、あのノゾム王子様の話も聞いてきてあげなよ。ドモンに会いたいのなら、私たちの方で、それは手配してあげられるかもしれないし」
「……………!」
 キョウジの言葉に、シュバルツははっと気づく。
(そうか………! 口実………!)
 何も、ハヤブサに忠告に行くだけを目的にする必要はない。
『ドモンの兄』として、あの国に入るだけの『口実』を、自分はすでに持っているのだから。

「わかった。ありがとう、キョウジ」

 シュバルツの言葉に、キョウジはうん、と頷く。
 それを見てからシュバルツは、キョウジの眼前からフッと消えた。彼がそのまま、目的地に向かったのだと、キョウジは悟っていた。

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