農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 42

<<   作成日時 : 2017/02/14 00:46   >>

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 姫が、言わんとしていることを、咄嗟に測りかねて、ハヤブサは小首をかしげる。ナディール姫の消え入りそうな声は、なおも続いた。

「今までも、ハヤブサ様のような方はいたのです。命を狙われだしてから、私の護衛についてくださった方が、何人か………」

「………………」

「でも…………皆、すぐにいなくなってしまって………」

 そう。
 ハヤブサが来るまでに、姫の『護衛』となった人物が、いないわけではなかった。
(姫様! お守りいたします!)
 そう言って護衛を名乗り出てくれた兵士や戦士たちが、何人かいた。

 だが、それらの人々は皆、急に彼女の前から姿を消した。
 身内に不幸があり、城勤めが困難になったり、突然、理由もなく、職をやめていった者もいた。
 ひどい場合には、行方不明になり、何日か後に、遺体で発見されたこともある。

「……………!」
 息をのむハヤブサの前で、ナディール姫は顔を手で覆っていた。
「………もう、あんなふうに、人がいなくなるのはいや……! 私を護ろうとしてくれたばかりに、誰かが不幸になったり、命を落としてしまったりするのは……!」
「………………」
「お願いです……! 私の前から姿を消さないでください……! 貴方やイガールまで、いなくなってしまったら、私は─────!」
(また、イガール殿の名前が出たな)
 彼女と話していると、時折出てくるイガール将軍の名前。
 たまにしか会う機会がないが、会ったときは穏やかに微笑みあい、そして、去っていくイガールの後姿を、いつまでも目で追っている彼女。
『護衛』として、彼女を四六時中見ているからこそ、気づいてしまう事がある。

 それを彼女に自覚させることが、いいことなのか悪いことなのかは、ハヤブサには分からない。
 彼女の『恋路』に、自分がどれだけ手助けしてやれるかどうかも、分からない。
 だが、問いかけずにはいられなかった。
 それは、自分も同じように、誰かを恋い慕う気持ちを、抱え込んでいるせいであるからかも知れなかった。

「姫………お前は………」

 ハヤブサは一瞬ためらったが、言葉を続けた。

「イガール殿のことが………好きなのか?」

「─────!」
 瞬間、びくっと身をこわばらせ、固まってしまう姫。
 しかし、すぐにその面に、柔らかい笑みを浮かべた。

「ええ。好きですよ」

「………………!」
 あまりにもあっさり認められたことに、ハヤブサの方が逆に驚いてしまう。だが姫は、その柔らかい笑みのまま、言葉を続けた。

「好きだからこそ、彼には幸せになってもらいたい……。そう、願っています……」

 そう言ってほほ笑む姫のまなざしの儚さが─────どこかの誰かを彷彿とさせて、ハヤブサの心を、ザワ、と、波立たせていた。

 ─────ハヤブサ……。私はいつだって願っている……。お前の『幸せ』を………。

 そう言って、優しく微笑むあのヒトも、同じような眼差しをしてはいなかっただろうか。

 ただ、相手の幸せのみを純粋に願うヒト。
 そのヒトは、幸せの『輪』の中に、かたくなに『自分』を入れようとはしなかった。

 ─────私はいいんだ……。私には、その『資格』がないから……。

(『資格がない』ってなんだよ)
 腹が立つから、その身体を何度も乱暴に抱いた。
 俺の『幸せ』には、絶対的にお前が必要なのだと───彼に分かってほしかったから。

 刻み付けるのに
 彼は相変わらず、そんな笑みを浮かべるときがあるから────

 何故だ。
 姫から、彼と同じような匂いを感じる。
 感じるがゆえに、少し苛立った。

「お前は………」

 口を開いてから、ハヤブサは必死に己に自制をかけた。

 馬鹿止めろ
 これ以上口出ししてどうする。
 彼女の人生に、俺は責任をとれないのに────

「………………」

 ハヤブサは大きくため息を吐く。
 そうだ、落ち着け。
 これ以上は、本当に
『余計なおせっかい』になってしまうのだから。

「ハヤブサ様………?」

 沈黙したハヤブサを心配したのか、姫が怪訝そうに声をかけてきた。
「すまん、変なことを聞いた………」
 それに対して、姫はフルフル、と、首を横に振る。
「すみません……。私こそ、変なことを言ってしまって………」
(変なこと?)
 ハヤブサは少し考えてから、姫と直前に交わした会話を思い出す。
「消えないでほしい」と言われた。彼女にしては珍しい、愚痴に近いもの。
(別に変ではないが………)
 彼女だって人間だ。弱音や愚痴の一つや二つ、出ることもあるだろう。

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