農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 戦う君に、花束を 44

<<   作成日時 : 2017/02/17 18:37   >>

驚いた ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0


 その日も朝から多忙を極めた。
 相変わらず、目が回るほどの過密スケジュール。そんな中でも姫の非常食の確保だけは、ハヤブサは何とか成功させていた。
 相変わらず、食事に毒は入れられ続けているし、刺客は引けも切らない。
 大后とその一派と思われる者たちから、嫌味を言われたり、嫌がらせに近い行為をされたもりしている。
(なるほど、並みの神経の者であれば、参ってしまうかもしれんな………)
 そう感じて、ハヤブサは苦笑する。
 しかし、大后やその他の者たちからの嫌味など、ハヤブサからしてみればカエルの鳴き声のようなものなので、特に頓着するものでもない。それよりも気の毒なのは、大后以外の者たちが、自分に嫌味を言いに来るときである。皆、自分に対して気の毒なほど腰が引けているので、失笑を禁じ得ない。
 こういう滑稽な風景も、イガールと一騎打ちをして、こちらの腕を見せつける機会を得た、その賜物だろうか。
(そんなにいやなら、このような命令従わなければいいのに)
  へっぴり腰な者たちに呆れかえるが、これが宮仕えの悲哀という物なのだろうか。
 迎合する気持ちも、胡麻をする気持ちも理解できないから、同情する気にもなれないが。

「ハヤブサ様………大丈夫ですか?」

「平気だ」
 ハヤブサはぶっきらぼうに答える。こんなこと─────姫に気を遣わせるほどのことでもない。
 それよりも、今日も姫を狙う者たちに関する情報の進展がない。こちらの方が大問題だ。
 いつまでも、このままでいいはずはないのだが。


「……………」
 結局、有効な打開策を見出すこともできないままに、その日の夕食を迎えた。
 相変わらず遅くなった夕食の時間。大后とノゾムの姿は既に無く、食堂には、彼女の分の食事だけが並べられていた。その脇では給仕が、礼に則って頭を下げて、姫を迎えている。
(また、給仕の人間が違うな)
 これには、ハヤブサは少し前から気付いていた。
 なんといっても、姫には毒入りの食事が出され続けているのだ。もし、姫の毒殺が成功した場合、真っ先に疑われるのが給仕であるから、尻尾きりの役割が与えられているのだろう。したがって、給仕から毒殺の犯人を探し出そうとしても、それは徒労に終わる、ということになってしまう。
 ハヤブサは、やれやれ、と、ため息を吐く。
 どういうからくりをしているのかは知らないが、よくもまあとっかえひっかえ、次々と給仕の人間を変えられるものだ、と、感心してしまう。
(それにしても、今日の給仕の奴は、やけに背が高いな)
 ハヤブサは、ナディール姫のそばに控える給仕を見ながら、ふっと感慨にふける。

 ちょうど、俺の愛おしいヒトも

 あれぐらいの背の高さで─────

 ………………………………

 ────────!?

 信じがたい思いで、その給仕をまじまじと見つめる。
 2度3度と見つめなおして、ある確信を得たハヤブサは、つかつかとその給仕のそばに歩み寄った。

「おい」

「な、何ですか?」
 いきなり黒の忍者に睨み据えられるように声をかけられた給仕は、かなり驚いたように身を固くしている。それには構わず、ハヤブサはその腕を乱暴につかんだ。
「あっ!」
「は、ハヤブサ様!?」
 ナディール姫もかなり驚いて、二人の様子を見ている。ハヤブサはそれには構わず、給仕の手を逃げられないように、がっちりと捕まえる。そのまま、顎のあたりに手をかけた。

「お前………『シュバルツ』か………?」

 まじまじと、その顔を見つめると、給仕は、ふっと相好を崩したような笑みを見せた。

「や、やあ………。ハヤブサ………」

 そう言いながら、給仕は己の顔の皮をバリバリとはがす。すると下から、ハヤブサにとってはなじみの、黒髪に黒目の、東洋人の顔立ちをした青年が現れた。
「………………!」
 驚くナディール姫とハヤブサに向かって、「シュバルツ」と呼ばれた青年は、人懐こい笑みを見せる。
「なんでばれた? しっかり変装してきたつもりでいたのに………!」

「ばれいでか!!」

 ハヤブサは思わず大声を張り上げていた。

「お前……! 俺をなめているのか!? その程度の変装で、俺の目をごまかせるとでも思っていたのか!!」
「いや、ごまかせるとは思っていなかったけどな……。ちょっとばれるのが早かったなと……」
「何の用だ!? 何しにここに来たんだ!!」
 ハヤブサの殺気立った怒鳴り声に、しかしシュバルツの方も怯むことなくあっけらかんと答える。
「や、ちょっと、短期のバイトをしに」
「バイト?」
 目をぱちくりとさせるハヤブサに、シュバルツは頷いた。
「そうそう、バイト。ここの給仕に雇われたんだ。ちょうど人を募集していたみたいだったから─────」

「バイトって………こんなところにまで、わざわざ出稼ぎにきたのか?」

 しばらく目をしばたたかせていたハヤブサであるが、やがてその面に、ふっと笑みを浮かべた。
「何だ、そんなに食うに困っているなら、お前が働かずとも、俺がお前を隅から隅まで責任をもって養って」

「余計なお世話だ!!」

 シュバルツの背負い投げが、ハヤブサにきれいに決まっていた。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
驚いた 驚いた 驚いた 驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

戦う君に、花束を 44 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる