農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 45

<<   作成日時 : 2017/02/18 23:03   >>

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「どうしたんですか!? 怒鳴り声が────!」
 あまりの大音に、警備兵が駆け込んでくる。
「何でもない! 大丈夫だ!」
 ハヤブサは憮然と答え、シュバルツはいつの間にか、元の給仕の格好に戻っている。ものすごい早業だ。
「……また刺客ですか?」
 呆れたように言う警備兵に、ハヤブサは「そんなところだ」と、返す。警備兵はやれやれ、と、深い溜息を吐いた。
「何か我々に出来ることがあれば、遠慮なく仰ってください!」
兵士はそう言って敬礼して持ち場に戻る。場が落ち着いたのを確認してから、ナディール姫は口を開いた。

「あ、あの………こちらの方は…………?」

そう言って姫は、ハヤブサの方に振り向く。
「ああ………こいつは『シュバルツ・ブルーダー』と言って、俺のこいび」
バキャッ! と、シュバルツがハヤブサを殴り倒した。
「………友人です。ハヤブサと同じ、忍者をやってます」
「痛い!!」
 がばっと跳ね起きるハヤブサを、シュバルツはジト目でにらみつける。
「阿呆なことをお前が言うからだろうが! 自業自得だ!」
「うううう………。シュバルツが冷たい…………」
「え…………えっと…………」
 ナディール姫は、かなり戸惑い気味になってしまう。何故なら、ハヤブサの様子が、いつもと全然違うからだ。
「忍者様………ですか。ハヤブサ様のご友人………ですか?」
 目をしばたたかせるナディール姫に、シュバルツはにこっと微笑みかけた。

(毒は入っていないよ)

「……………!」
 シュバルツは小声でそう言って、給仕の仕事に戻っていく。これにはナディール姫も、ハヤブサも驚いた。
「……………」
 半信半疑で、ナディール姫は、銀スプーンをスープにつけてみる。スプーンの色は、変色しなかった。
「………………!」
 姫は、恐る恐るスープを口に含む。
(美味しい………!)

 懐かしい味がした。
 シェフのスープの味。
 本当に、久しぶりだと、思った。

「おい、お前、どういうつもりだ? いったいどうしてここに来た?」

 給仕として、壁際に控えるシュバルツのそばに歩み寄って、ハヤブサは小声で話しかける。シュバルツは軽く笑うと、同じく小声で話し出した。
「ああ………。ここの王子の『ドモンに会いたい』って言っていた動画を、キョウジが見つけて………」
「─────!」
「あれにお前も一瞬映っただろう? それで、お前がここにいるってわかって………」
「俺を追ってきてくれたのか!?」
 ハヤブサの顔が、ぱっと輝く。シュバルツは苦笑した。
「追ってきた、と、言うか………伝言がある、というか………」
「何だ。淋しいなら淋しいと言ってくれればすぐにでも────いてっ!!」
 シュバルツに思いっきり足を踏みつけられて、ハヤブサは小さく悲鳴を上げた。
「人の話を聞け!! 仕事中だろうが!!」
「そうでした………」
 涙目になるハヤブサをしり目に、シュバルツは姫に次の食事を勧める。ナディール姫は、少し銀スプーンをつけると、また、食べ始めた。

「そうだ、シュバルツ」

 再び壁際に来たシュバルツに、ハヤブサは声をかけた。

「お前………姫の料理の『毒』に気が付いたのか?」

「………! やっぱり常習的に『毒』が入れられていたのか?」

 シュバルツにそう問い返されたことに、ハヤブサは少し驚く。だが、気を取り直して頷いた。
「ああ。姫は命を狙われている。俺は、姫の『ボディーガード』として、ここに雇われたんだ」
(そうか………! それが今回のハヤブサの『仕事』………!)
 シュバルツはここで初めて、ハヤブサのミッションを理解する。
 ハヤブサからしてみれば、一番の機密事項をあっさりシュバルツにしゃべっていることになるのだが、そんなことにも気づかずに、シュバルツの話に食いついていた。姫の『毒殺』をもくろむ者の手掛かりが掴めるかもしれないのだ。なりふりを構ってなどいられなかった。

「どうして────『毒』に気が付いたんだ?」

「いや、話せば長いような、短いような話になるんだけどな?」
 シュバルツは、少し苦笑しながら話し出す。

 あの動画から、ハヤブサがユリノスティ王国の城にいる、と、判明してから、その王国に向かったシュバルツ。
(普通に姿を消して潜入してもいいが、何か城に、探りを入れる方法はないものか……)
 そう思案しながら歩いていたシュバルツの目に、『給仕募集中』の張り紙が飛び込んできた。
「城の隅っこで、皿洗いでもさせてもらいながら、城内を探ってもいいか、と、考えて面接に行ったら、すぐに採用されて────」

 割り当てられた仕事が、皿洗いでも掃除でもなく、いきなり『ナディール姫の給仕』だった。

「……………!」

「こんなのすぐに、『おかしい』って思うだろう? ぺーぺーの新人が、唐突に『王女様の給仕』だなんて………! ふつうは王族に失礼がないように、ベテランの給仕を使うものではないのか?」
「確かに………」
 ハヤブサは苦い顔をする。
 だが、毒殺を目論んでいる者たちからしてみれば、ベテランの給仕や、自分たちの縁故の者など使いにくいだろう。どのようにでも扱える、『新入り』にやらせるには、確かにうってつけの『仕事』だ。
「厨房の雰囲気も、何かおかしかったな……。私にこの仕事が振り分けられたと皆が知ると、『今度のは何日持つかな?』とか、『せいぜいがんばれよ!』とか、何か変な言葉をかけられたりしたし───」

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