農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 31

<<   作成日時 : 2017/02/03 01:00   >>

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「………………!」
 ハヤブサは、ぎり、と、歯を食いしばっていた。
 彼女は自分が安住できる『城』という居住地にいながら、そこにはいない。食料を安心してとることができない状況など─────過酷な戦場にいることと、同義ではないか。

「……明日も早いわ。もう、寝なくちゃ……」

 そう言って、彼女は前を向いて、もう、歩き出している。

 ずっと、戦ってきたのか。
 そうやって、独りで。

 これだけのものを背負って
 街で、ああやって笑っていたというのなら────

(『食べられない』ということは、『寝られない』のではないのか?)

 ハヤブサはふと、思い当たる。
 ここを『戦場』と考えるのならば、彼女に平穏な眠りなど、保証されてはいないだろう。
「……………」
 周りの気配を探ってみる。すると、案の定、『刺客』と思われる殺気を感知していた。しかも、それは複数に及んでいる。
(………警備を強化してくれ、と、言ったのに、これでは意味がない……)
 そこまで考えてから、ハヤブサははっと気づいた。

 違う。
「警備を強化していない」のではない。
「手引きをしている者がいる」のだ。
 姫の暗殺を企む者が
 刺客たちを呼び込んでいるのだと─────

 あのカライ内大臣が、自分の忠告を聞き入れなかった、とは考えにくい。
 彼の警備強化の裏をかいて、何者かが姫の元へ刺客を送り込んでいる。
 そう考えた方が、はるかに自然だった。

 誰だ?
 誰が一体、そんなことを────!

 絶対に、犯人を捕まえなければならない。
 だがそれよりも今は、早急にやらねばならないことがある。
「…………!」
 ハヤブサは、ぐっとこぶしを握り締めていた。


「ロゼッタ、ありがとう」
 ゆったりとした部屋着に着替えて、ナディール姫はにこりと笑う。
「今日はもう大丈夫だから……あなたももう下がって、休んで?」
「姫様………」
「ね………」
 ロゼッタは案ずるようにナディール姫を見つめていたが、やがて、渋々頷いていた。

「何かありましたら、お呼びくださいませね」

 そう言って、彼女はドアの向こうに消えていた。それを見送ったナディール姫は、ほっと溜息を吐いていた。
(きっと……今日も、部屋で寝ない方が、安全なんだろうな……)
 ここのところ、ナディール姫にとっては、城の中にいる方が、かなり身の危険を感じるようになっていた。いきなり目の前にナイフが落ちてきたり、バルコニーから突き落とされそうになったり。
 ハヤブサがそばについてくれている今のところは、そんな攻撃は止んでいるが。まだ油断はできない。今晩も、絶対に、何かを仕掛けてくるはずだ。

 そして、あいかわらず、食事には毒を入れられ続けている。

 安心できない。
 何もかもが。
 
 城の人たちは、何を考えているのだろう。
 私など、もういなくなってしまえばいいとでも、願われているのだろうか。
「………………」
 しばらくベッドに座り込んで、じっと一点を見つめていたナディール姫であるが、やがて、ブン! と、大きく頭を振った。
(しっかりしなさい……! ナディール……! 私が死んでしまったら、誰がノゾムを護るというの………!)
 王となるには、まだ幼すぎる義弟。
 やはりだめだ。
 彼にすべてを押し付けて、死ぬことなどできないと思った。

 まだ、生きなければ
 せめて、ノゾムが一人前になる、その日まで。

 顔を上げる。
(そういえば、ハヤブサ様は……?)
 着替えるから今は、姿が見えなくても仕方がないと思うが、少し前から、その姿を見ていないような気もする。

(俺のことなど気にするな……)

 あの人はそう言ってくれたが、ナディール姫は自分のうかつさを痛感した。
 何ということだろう。彼に、『休む場所』を、まだ提供していない。
 どこで休めばいいかわからなくて、途方に暮れさせてはいないだろうか。

 不意に。

 部屋のドアがコン、コン、と、ノックされる。

「─────!」
 一瞬、身体をこわばらせるナディール姫だが、彼女はすぐに平静を取り戻した。
「はい」
 枕元に置いてある短剣を手に、立ち上がる。何が起きても対処できるように、油断なく身構えた。
 カチャ……と、ドアが開いて姿を見せたのは、ノゾム付きの召使だった。
「姫様………申し訳ありません………」
「どうしたの?」
 問いかけてくるナディール姫に、そのメイドは申し訳なさそうに頭を下げた。
「ノゾム様がまた………。姫様がそばにいないと、眠れない、と、仰って……」

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