農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 戦う君に、花束を 48

<<   作成日時 : 2017/02/21 23:10   >>

面白い ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0


「ここはな……調理道具を置いてある倉庫だ。鍵も、俺が預かっている」

 そう言いながら、イワニコフが、勝ち誇ったようにシュバルツに迫ってくる。

「ここに人はめったに来ない……。防音も無駄に効いててな。ここで泣こうが喚こうが、外には聞こえない寸法ってわけだ」

「はあ」

 それに対してシュバルツは、やけに気の抜けた返事をする。イワニコフは一瞬「ん?」と、なったが、シュバルツの態度を勝手に解釈していた。
(どうせ、恐怖で顔の表情をなくしてしまっているのだろう)
 人間というのは面白いもので、真に恐怖を感じると、表情をなくして固まったように、身動きが取れなくなってしまうものである。それを一方的に嬲るのもいいが、どうせなら、「すみません!! ごめんなさい!! 助けてください!!」と、泣きわめかせてみたかった。
 だから、もう少し恐怖を与えてやるか、と、イワニコフは、わざと足音を大きく響かせながら、シュバルツに向かって一歩、踏み込んだ。

「調理器具があるってことはな………。わかるか? お前を七面鳥みたいに、捌くことも可能というわけだ」

「はあ」

「俺が、血を見るのを怖がっている、と、思うなよ? 俺はコックだ。その気になれば、お前を三枚におろすことなど、朝飯前なのだからな!」

「はあ」

「……………!」
 散々脅しているのに、気の抜けた返事をするばかりのシュバルツ。こうも同じ返事をされると、怖がっている、というよりも『馬鹿にされている』と、感じられるのは気のせいなのだろうか。
「お前!! ふざけているのか!?」
 怒鳴りながらシュバルツの前の床に、大きな鉈のような包丁を、ダンッ!! と、突き立てる。

「そういえば、お前は俺の料理を捨てた理由を、何か言っていたな……。何を言っていた?」

「…………!」
 ピクリ、と、シュバルツの眉が動く。それを、シュバルツの動揺の表れと見て取ったイワンコフは、彼の襟首をつかむと、強引に引き寄せた。
「あっ!」

「………お前、何を知っている?」

「………………」
 沈黙を返すシュバルツ。イワンコフはその襟首をぐっと締め上げた。
「うっ!」

「………吐いてもらうぞ。お前の正体、情報、すべてをな……」

「……………」

「黙ろうとしたって無駄だ………。人間には耐えられない苦痛っていうのが、いくつもあるんだよ。まず、そのきれいな顔を、ぐちゃぐちゃに切り刻んでやろうか………」
 そう言って、イワンコフは床に突き立てた包丁を引き抜く。そのままシュバルツの頬に、ぴたりとあてがおうとしたとき、彼から声をかけられた。

「あの」

「何だ? 話す気になったのか?」
「いえ、そうではなくて」
 イワンコフの言葉に、シュバルツはフルフルと首を振る。

「そろそろ─────私から、手を放した方がいいですよ」

「は?」
 シュバルツが何を言っているのか分からず、イワンコフは目をしばたたかせる。
「何を言っているんだ? お前は……。ふざけているのか?」
 イワンコフからしてみれば、圧倒的優位を保っているこの状況。そこで「手を離せ」とか言われても、意味が分からないし、理解不能だった。しかし、目の前にいるシュバルツの表情は、真剣そのものだ。
「いえ、ふざけているわけではなく」
 真顔で、彼は首を横に振っている。
「本当に────手を放した方が、いいんだけど………」
「命乞いなら、素直にそう言え!」
「いや、命乞いとかじゃなくて」
 シュバルツは真顔のまま、話し続けた。
「手を離さないと、あなたが危ない」
「は? 危ないだと? 脅しているつもりか?」
「いや、脅しとかじゃなく」
「お前……! いい加減にしろよ! 恐怖のあまり、気がふれたか?」
「いえ、本当に────」
 パラ、と、天井から小さな礫が降ってくる。
「手を放した方が………」
 その礫が落ちてくる量は、だんだんと、増えていって─────

 ドカン!!

 派手な音を立てて、上から黒い物体が降ってくる。それはイワンコフに正確にヒットすると、そのままのしかかってきた。

「いいですよ〜〜〜と、忠告したんだけどなぁ………。遅いか」

 やれやれとため息を吐くシュバルツの前で、イワンコフが体勢を立て直そうと足掻いていた。
「な、なんだぁ!? ぐえっ!!」
 イワンコフの上に降ってきたのは、リュウ・ハヤブサだった。彼はものすごくいい笑顔でイワンコフの襟首を捕まえると、自分の方に引き寄せた。

「尋問部屋までの、案内ご苦労」

「いっ!?」

「聞いたぞ? ここは防音がしっかりしていて、どんなに泣こうが喚こうが、決して外には聞こえないんだってな」

「ひっ!?」

「おまけにここは、立派な調理器具がそろっている……。俺はお前を、捌き放題、と、言うわけだ」

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
面白い 面白い
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

戦う君に、花束を 48 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる