農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 50

<<   作成日時 : 2017/02/24 13:09   >>

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「『全てのことに、偏見を持って接してはならない』……これは、シャハディ家に伝わる『家訓』です。その………ハヤブサ様と、シュバルツ様が『恋人同士』という事実には、びっくりしましたが………」
 ナディール姫は、うん、と、頷いて顔を上げる。
「それだけで、ハヤブサ様やシュバルツ様を、奇異な目で見る必要は、ないと思います。特にハヤブサ様は………十分に信頼に足るだけのことを、今まで私にしてくださっているのですから………」

「そうか………」

 穏やかに返事をするシュバルツに、ナディール姫もにっこりと、微笑みかけた。その時物陰からは、まだハヤブサがイワンコフを『尋問』する音が響き渡っていた。
 
「も、もう話します話します!! だから助けて!!」

「は? 何を言っているんだ? お前」

「えっ?」
 涙目で目をしばたたかせるイワンコフに、ハヤブサはにやりと微笑みかけた。

「お前がシュバルツに振るった暴力が、この程度で許される、とでも、思っているのか?」

「えええええええ!?」

「さあ、続きをするぞ!! もう少し、耐えられそうだな!!」

「ひっ! ひいいいいいいいいいい!! お助け〜〜〜〜〜〜〜!!」

 イワンコフの間抜けな悲鳴が響き渡る。これにはナディール姫もシュバルツも、さすがに彼が気の毒なような気がしてきた。

「……本当に、ハヤブサの奴は『信頼に足る』ことを、今までしてきているのか……?」

「だ、大丈夫です……。たぶん………」

 シュバルツの問いかけに、ナディール姫も、顔を引きつらせながら苦笑するしかなかった。

 それからハヤブサが、イワンコフの『尋問』を終えるまで、もう少しの時を要した。物陰からハヤブサが、縛り上げたイワンコフをずるずると引きずって出てくる。
「間違いなく、すべてを話すんだな?」
「は、はいいいい!」
「よし」
 ドサッ! と、音を立てて、イワンコフの身体が姫の前に投げ出された。
「………………!」
 それを、硬い表情で見やるナディール姫。イワンコフはそんな姫と一瞬、視線を合わせると、「へっ!」と、悪態をつきながら、顔をそらした。

「…………で? 実際とのところどうなんだ? お前は姫の料理に誰が『毒』を盛っているのか、知っているのか?」

 ハヤブサがかがみこんで、イワンコフの顔を覗き込むようにしながら問いただす。「ひええええええっ!!」と、イワンコフは悲鳴を上げると、勢い良くしゃべり始めた。

「たたた、確かに、『毒』を姫の料理に入れていたのは俺だよ!! これでいいんだろう!?」

「誰の指示で、毒を入れた?」
 ハヤブサの問いに、イワンコフは声を張り上げた。

「ここの料理長である、シェフだよ!!」

「……………!」
「うそ………!」
 イワンコフのその言葉に、ナディール姫とシュバルツの顔色が、同時に変わる。ハヤブサは、イワンコフの胸倉を乱暴につかんだ。

「本当か!? その言葉に──────噓偽りはないだろうな………!」

「ぐ、ぐえ……っ! う、嘘じゃない!! 本当だって………ッ!!」

「……………ッ!」
 ハヤブサは、ぎり、と、唇をかみしめながら、イワンコフから手を離す。床に放り出されるように尻もちをついたイワンコフは、気道と肺に大量に流れ込んできた空気に、激しく咽せていた。

「………何なら、シェフに直接確かめてもらってもいいぜ……。俺は、あいつの指示であんたの料理に毒を入れていたんだから………!」

「そんな………!」

 知らず、よろり、と、ふらついてしまうナディール姫。それを、シュバルツがそっと支えた。
「大丈夫か?」
 こちらを案ずるようなまなざしを、シュバルツにむけられる。それを見て、姫もハッと、われに返った。
「だ……大丈夫です……。ありがとう………」
 小さく礼を言って、彼の腕から静かに離れた。
(しっかりしなさい……! ナディール……! ちゃんと真実と向き合わなければ………!)
 そう自分に言い聞かせながら、強く拳を握り締める。

 倒れている場合ではない。
 逃げている場合ではない。
 このような悪意など────
 ずっと向かい合ってきたものじゃないか。

「………シェフはたぶん………明日のスープの仕込みをするために、厨房に、まだ居ると思う………」

 シュバルツが、ぽつりと言葉を落とす。ナディール姫は、はっと顔を上げた。

「姫、どうする?」

 ハヤブサが、まっすぐな視線をこちらに向けてくる。
(迷うことはない)
 姫は覚悟を決めた。

 恐れてはならない。
 真実を知ることを。

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