農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 戦う君に、花束を 53

<<   作成日時 : 2017/02/27 23:37   >>

ナイス ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0


「何を抱えているのかは知らないが、死ぬのはよくない」

「…………………」
 シュバルツの言葉に、シェフははっと息をのむ。

「ここでのあなたの軽率な『死』は、敵にメリットを与えるだけで、状況は何も変化しない。それどころか、あなたが本当に『守りたい』と願っている人たちを、ひどく傷つけることに、なってしまうだろう………」

「……………!」

「それでも、どうしても死にたいというのなら……こちらとしても、もう止めようがないが……………せめて、死ぬ前に足掻いてみないか………?」

「あ………………!」

「ちゃんと戦って……それから死んでも、遅くはないと、思う」

 シュバルツの言葉に、シェフはこぶしを握り締める。そんな彼に、ハヤブサが改めて声をかけた。

「シェフ…………お前にとって、目の前にいる姫は、頼るに値しない存在か……?」

「─────!」
「助けを求めることも、出来ない相手か?」
「それは…………!」
 シェフは改めて、姫を見つめる。
 ナディール姫の藍色の大きな瞳が、食い入るようにこちらを見つめていた。
 涙をたたえたその瞳────だが彼女は、涙をこぼしてはいなかった。

「シェフ…………」

 身体の前で組み合わせれている華奢な手の形が、祈りをささげているようにも、見えた。

 シェフは、思う。
 自分が一番信頼しているのは、がエリアル王。それは、間違いないし、揺るぎようもない。
 自分は王と、その家族のために、ひたすら料理の腕を振るってきた。だから当然、姫も幼いころから知っている。
 父王と王妃の愛情を、一身に受けて育って行く姫。

「多少やんちゃなところもあるが、自慢の娘だ」

 王がうれしそうに話していた姿を、シェフは昨日のことのように、思い出すことができた。
しかし、レアメタルの鉱脈の発見によって、国の情勢が不穏化し、王も病気で倒れてしまう。
 独り、国を支えようと奔走する姫。
 自分は、それを支えよう、と、願っていたのに─────

 自分の、シテシマッタ コト ハ

「あ…………! あ…………!」

 ずるずると、崩れるように座り込むシェフ。
「シェフ………!」
 姫は、その傍に走り寄っていた。
「姫様…………!」
 顔を上げるシェフ。姫は、その手を取ろうとする。
「シェフ……! 大丈夫ですか………?」
 しかしシェフは、その手を払いのけるように、さらに地面に這いつくばるように頭を下げていた。
「申し訳ございません………! 姫様………! 私は、何ということを………!」
「シェフ………!」

「いくら『人質』を、取られていたとはいえ………! 私は………っ!」

 シェフのその言葉に、その場にいた全員の、顔色が変わる。そう、イワンコフでさえも。

「人質!?」
「な─────!」
「………………!」

「お、おい……! シェフ……! お前、裏切るのか!?」
 イワンコフの言葉に、シェフは顔を上げた。

「もうだめだ!! 私はもう何も隠し通せない!! たとえそれで、自分が死んでも………! 人質となっている妻や子が、殺されてしまっても────!!」

「そんな…………!」
 シェフの衝撃的な叫びに、茫然としてしまう姫。そんな彼女の目の前で、シェフははらはらと涙を落とし続けていた。

「申し訳ございません!! 姫様………!! 私のやったことは、許されることではない………!! 命乞いも、言い訳も致しません!! どうか、存分に裁いてください……!!」

「冗談じゃねぇ!! シェフの自殺に巻き込まれてたまるか!!」
 対してイワンコフは、声を荒らげていた。
「俺は、頼まれてこいつの監視をしていただけだ!! 俺は裏切っていないぞ!! 俺は何も悪くない!!」
 縛られたイワンコフが、じたばたと暴れだす。彼はそのまま、ナディール姫をにらみつけていた。
「だいたいだな……! そこにいる女が、何もかも悪い!!」

「え……………」
 突然の怒りの矛先が自分に向けられたことに、ナディール姫は戸惑ってしまう。イワンコフは、さらに畳みかけてきた。

「お前が毒を喰らってさっさとくたばらないからだ!! わからないのか!? お前は生きているだけで、大勢の人間に迷惑をかけているんだぞ!! お前が─────!!」
「黙れッ!!」
 ダンッ!! と、激しい音を立てて、ハヤブサがイワンコフの頭を踏みつける。イワンコフは「ぐえっ!!」と、カエルが潰れたような声を上げるしかなかった。

「これ以上……姫に対して何かを言ってみろ………! 俺はこのまま、貴様の頭を踏み潰す!!」

「ひっ!?」
 間抜けな悲鳴を上げるしかない、イワンコフ。そこにシュバルツが、「ハヤブサ」と、声をかけてきた。
 

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
ナイス ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

戦う君に、花束を 53 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる