農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 33

<<   作成日時 : 2017/02/04 23:46   >>

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「ハヤブサ様……。私はそろそろ、休もうと思っています」
「そうか」
「ですから、ハヤブサ様も、どうかお休みに」
「俺は俺で、勝手に休む。気にするな」
「ですが、きちんとした部屋で、お休みにならないと……」
「……………」
 ハヤブサは、潜んでいた場所から姫の前に姿を現す。
「案ずるな。俺はここの客人ではない」
「ハヤブサ様………」
「俺は、『仕事』をしに来ているだけだ。本来ならば、こうしてお前の前にも、いるはずもない人間だ」
 そう言いながら、闇に溶け込むような色の忍び装束をまとった『忍者』が、目の前に立つ。
 確かにその姿は、西洋の『城』という場所に存在するには、あまりにも異彩を放ちすぎているように、見えた。
「言ったはずだ。お前は、俺のことはいちいち気にしなくていいと」

「そうですか……」

 ハヤブサの言っていることは、理屈ではわかる。彼に、余計な気遣いは不要だ、ということも。
 しかし、ナディール姫は、言いようもないさみしさを感じていた。
 自分は、誰にも必要とされていないような、変な錯覚を覚えてしまう。

(きっと、疲れているのね)

 ナディール姫は、自嘲的に笑う。

 よく眠れていないせいだ。
 よく食べられていないせいだ。

 ああ
 いったいいつまで
 いつまでこんな生活を続ければ─────

「…………!」
 はちきれそうになる心を、彼女は無理やり抑え込んだ。

 しっかりしろ、ナディール。
 お前に、泣く場所などない。

「わかりました………」

 そう言って、ナディール姫は歩き出す。夜の、己の身の安全を、確保するために。
(今夜は、どこで夜を明かそう)
 そう考えながら、2、3歩足を運んだところで、ハヤブサに呼び止められた。

「おい」

「なんですか?」
 ナディール姫は足を止め、振り向きもせずに返事をした。
 彼女にしては、かなり失礼な態度をとっていることになるのだが、彼女はもうそれを改める気にもなれなかった。「気を使うな」と、言ってきたのは、向こうなのだから。

「どこへ行く?」

「どこって………寝る場所へ」
「お前の部屋は、反対方向だろう?」
「……………」
 ふっと、小さく息を吐く。
「………寝るには、部屋は、一番危険ですので」

 自分は、命を狙われているのだ。
 部屋のベッドの上など─────刺客たちがもっとも狙ってくる場所ではないか。

(やはりそうか………)
 自分の読みが当たっていたことに、ハヤブサは苦々しさを覚える。
 彼女は今、食事も睡眠も、取り上げられていた。
 思った通り─────彼女は今、過酷な戦場にいるのだ。

 ならば、俺が取り戻してやる。
 せめて、安らかに眠ることができる場所を。

「………そうだろうな。あれだけ刺客が入り込んでいれば……」

「……………!」
 静かに紡がれたハヤブサの言葉に、ナディール姫は驚きを隠せなかった。思わず、振り向くと、黒の忍者の静かなグリーンの瞳と、視線が合った。
「刺客たちは………どうしたんですか?」
 ナディール姫の問いに、ハヤブサは事もなげに答える。
「全員、始末した」
「──────!」
「……捕らえて、誰の差し金か、拷問にでもかけて、吐かせた方がよかったか?」
 ナディール姫は、勢いよく首を横に振った。ハヤブサは、やれやれ、と、ため息を吐いていた。
「……お前の部屋周りは、入念にチェックしてある。近づいてくる殺気も、今はない。部屋に戻れ。この城の中では、お前の部屋が、おそらく今は一番安全な場所だ」
「ハヤブサ様………!」

「俺の言うことが、信用できないか?」

 呆然と佇む姫に、ハヤブサは問いかける。すると、これにも彼女は勢いよく首を振った。
(それにしても、いつの間に……?)
 魔法のような展開に、彼女はただ、あんぐりと口を開けるほかはなかった。

 全然気が付かなかった。
 この人はいつの間に、そんな戦いをしていた、と、言うのだろう。

「朝まで、お前をちゃんと守ってやる。それが、俺の仕事だから」

「……………!」

「ベッドに入って、しっかり寝ろ。睡眠不足は、いろんなものを狂わせるぞ」

 ハヤブサの言葉に、彼女ははっと、息をのむ。
 確かにそうだ。
 明日もいろいろと激務が待っているのに。
 こんなところで倒れている場合では、ないと思った。

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