農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 38

<<   作成日時 : 2017/02/09 23:20   >>

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 それは、日本のマスコミの取材が、ほぼ終わるときにおこった。

「最後に、お姫様や王子様の方から、何か我々に質問はありませんか?」

 それまで、ナディール姫と、ノゾム王子に質問をしながら話を進めていたコメンテーターが、笑顔とでそう聞いてきた。
「何でもいいですよ? 我々の仕事のことでも、日本のことで、何か知りたいことでも………」
「…………………」
 それまで、ナディール姫の横で、おとなしく座っていたノゾムが、もじもじとしながらであるが、口を開いた。

「あの…………」

「どうしました? ノゾム王子」

 穏やかに問うてくる、男性のコメンテーターの態度に安心したのか、ノゾムはおずおずと口を開いた。

「………この中で、どなたか『ドモン・カッシュ』と、会ったことがある方は……いらっしゃいませんか……?」

「ドモン・カッシュ!?」

 少し驚いたような声をコメンテーターがあげると同時に、少し離れたところで、誰かが「ブ─────ッ!!」と、何かを吹き出すような音を上げた。

「!?」

 全員が驚いてそちらの方に顔を向けると、覆面を少しずらして、口元をぬぐっている黒い忍者の姿がある。
「……………!」
 あまりにも意想外のものを見てしまって、固まるテレビ局のスタッフの面々。
「は、ハヤブサ様……? どうされたんですか……?」

「や……俺のことは、気にしないでくれ………」

 そう言って、ハヤブサの姿がすっと消える。

「え………? え………? 姫様………? 今の………?」
「忍者っぽい人が、いたような………?」

「ええ。『忍者様』ですわ」

 ナディール姫は、にこやかに答える。
「今のは護衛の方です。故あって、ああいう格好をしてもらっています」
「ああ…………」
 姫の言葉に、テレビ局の面々は納得していた。
(『日本のマスコミ』が来るから、サービスしてくれていたんだな……)
(『忍者のコスプレ』かぁ……。よくできていたなぁ……)
 各々が、各々の中に、勝手に理由を結論付けて、自己完結してしまったのである。
 よくよく考えれば、惜しいことを彼らはしていた。
『龍の忍者』のスクープ映像をとらえる、いい機会であったのに。

「ノゾムは、ドモン・カッシュ様が好きなのよね?」

 姫の言葉に、全員が、はっと我に返っていた。黒髪の王子が、はにかみながらもこくん、と頷く。その可愛らしいさまに、テレビ局のスタッフの目は、ノゾムにくぎ付けになっていた。

(やれやれ………)

 ハヤブサは物陰で、ほっと胸をなでおろしていた。しかし、いったん動揺してしまった心は、なかなか平静には戻ってはくれなかった。
(しかし……ドモン……。『ドモン・カッシュ』だって?)
 思いもかけぬ『知人』の名前─────だが、よくよく考えてみれば、ドモンは結構名の通った「格闘家」である。世界中に『ファン』がいたとしても、別におかしな話ではない。
 しかし────
 本当に─────

(シュバルツに連絡したい………ッ!)

 この衝動を堪えるのに、ハヤブサは必死にならなければならなかった。
 弟想いな彼のことだ。
 弟の『ファン』がいると聞けば、どれほど喜ぶことだろう。
 そして、ノゾムも、ドモンに会えれば喜ぶのは、目に見えてはいるが………

(弟の方には連絡を取りたくない……! 俺が来てほしいのはシュバルツの方なんだ………っ!)

 ハヤブサは座り込んで、しくしくと泣き出してしまっていた。

 会いたい。
 シュバルツに会いたい。

 阿呆か、俺は。
 彼に会えなくなって────

 それほど日が経っているわけでもないのに。

(………何をやっているんだ? あいつは……)
 そんなハヤブサの様子を、姫をつけ狙う刺客の一団が見ていた。
(座り込んで泣いているぞ)
(隙だらけだ)
(チャンスだ……! やっちまえ!)

 だが当然、泣いていても『龍の忍者』なハヤブサに、刺客たちが敵うはずもなく。

 ドンガラガッシャ───ン!!

 ハヤブサの機嫌が悪かったがゆえに、その刺客の一団は、かなり乱暴に撃退される羽目に、なってしまったのだった。

「いや〜、おかげさまで、いい映像が撮れました。編集して、日本で放送させていただきますね」
「この後の、交換留学生との食事会の様子も、取材させていただきます! よろしくお願いいたします!」
 カメラマンの言葉に、ナディール姫は「はい」と頷く。最初からその予定であったので、特に問題もなかった。
 

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