農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 66

<<   作成日時 : 2017/03/13 01:01   >>

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「………なぜ、こうも姫様を狙う刺客が、何人も入り込んでくるんだ……。警備は強化しているはずなのに………」
 そう言いながら、頭を抱え込んでしまうイガール。兵士たちもそんな隊長に、声をかけようがなくて、おろおろするしかなくなってしまう。

「た、隊長………」
「あまり思いつめないで………」
「ハヤブサ殿も、姫様のそばにいてくださっていますから………」
「あの方がいらっしゃる限り、姫様は安全ですよ」

「それはそうかもしれないが………」

 兵士たちの言葉に、イガールは軽く笑みを見せる。だが、その表情はすぐに暗く曇ってしまった。

「姫様…………」

 切羽詰まったように落とされる、イガールの言葉。厨房の中に重苦しい空気が立ち込めたが、そこにシェフの料理が、コトン、と、音を立てて、イガールの目の前の、テーブルの上に置かれた。

「どうぞ……。お口に合うかどうかはわかりませんが………」

 丁寧に煮込まれた野菜と肉の匂いが、皆の鼻腔と食欲をくすぐる。
「ありがとう」
 礼を言って、一口目を味わう。
「………………!」
 次の瞬間、イガールの食事の勢いが増した。どうやら、かなりおいしかったらしい。
 勢いの良い食べっぷりに、シェフの表情が優しいものになる。
「皆さんもよろしければ、どうぞ」
 シェフの勧めに、兵士たちから歓声が上がる。そのまま厨房は、しばし夜食タイムになだれ込んでいた。


「そういえば、姫様はどうした? もう部屋で、寝ておられるのか?」

 ある程度食事を終え、落ち着いたのか、だいぶ顔色の良くなったイガールが、顔を上げて兵士たちに問いかける。
「あ………えっと………」
 兵士たちは、互いに顔を見合わせていた。
 どこまでこの隊長に報告をしたらいいのか、皆が、それぞれ図りかねているらしい。
「…………………」
 しばし、奇妙な沈黙が、厨房を支配する。そんな中、シェフが、イガールの方に、一歩、前に進み出ていた。

「…………イガール殿………」

「どうしました?」
 暗く、沈痛な面持ちのシェフを、イガールが怪訝そうに見上げる。しばし、シェフの口元が逡巡するかのように、小さく震えていたが、やがて、意を決したのか、その顔を上げていた。

「…………実は、私は…………」

(………………!)
 ここで、兵士たちははっと気が付いた。
 まさか、シェフは
 イガール隊長に、姫様を毒殺しようとしたことを
 打ち明ける気 なのでは─────!?

 だめだ、と、その場にいた全員が、思った。

 だって、シェフこそが、
 姫様の刺客たちによる、一番の『被害者』なのではないのか。

 だから、兵士の一人がとっさに叫んでいた。

「隊長!! 実はシェフは、人質を取られているようなのです!!」

「人質!?」

 物騒な言葉の響きに、イガール隊長は、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。それに兵士たちは各々「はい」と、頷くと、それぞれに言葉を続けていた。
「奥さんと、娘さんが、姫様を狙う刺客に、人質として取られたらしくて」
「ここに勤めていたコックの一人が、手引きをしていたようであります!」
「その刺客は、『その男は始末した』みたいなことを言っていたな」
「人質の存在を知った姫様が、ハヤブサ殿と一緒に救助に向かわれていて………!」

「姫様が!?」

 さらに、驚くべき単語が兵士の口から出てきたから、イガールの顔色が、さ〜〜〜〜っと、青白くなっていく。

「あああ、隊長!」
「馬鹿ッ! 余計なことを言いやがって! せっかく隊長の顔色がよくなってきていたのに!」
「だ、だってよ……! 姫様のことも、報告しないわけにはいかないだろう……?」
「そ、それはそうかもしれないが………」

「いや、ぜひ報告してくれ。警備隊隊長として、姫様の動向は知っておかねばならぬ。君の判断は正しい………」

 そう言いながら、イガール隊長は、改めて椅子に座りなおす。
「…………で? 姫様がどこへ救助に向かわれたか、分かっているのか?」
「あ…………えっと………」
 兵士たちは、ここでも互いに顔を見合わせていたが、やがて意を決した一人が、口を開いていた。

「姫様は…………地下へ向かわれました」

「地下だと!?」

 そう叫んだイガール隊長の顔色が、青いのを通り越して、真っ白になってしまっていた。


「クシュン!!」

 地下に、ナディール姫のかわいらしいくしゃみが、響き渡る。
「風邪か?」
 そう問うてくるハヤブサに、彼女は首を横に振った。

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