農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 70

<<   作成日時 : 2017/03/17 15:19   >>

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「よし」
 ハヤブサは頷くと、静かに歩き出す。ナディール姫も、その後ろを、静かについていった。

 しばらく歩くと、ハヤブサが手を出して、ナディール姫に、それ以上前に進むな、と、合図を送る。ナディール姫も、はっと身を固くして、息をひそめた。

「ナディール、そこに隠れていろ」

 ハヤブサは、ナディール姫を、岩陰へと導く。
「ハヤブサ様?」
「この先に、強い殺気を感じるんだ」
「─────!」
 身をこわばらせるナディール姫の肩を、ハヤブサは優しくポン、と、たたいた。
「案ずるな。俺は簡単にやられる気はない。息をひそめて、何があっても声を立てるな。気配を消して、潜んでいるんだ」
「はい、わかりました」
 ナディール姫は、静かにうなずく。
「そして、万が一、俺がやられた場合────」

「ハヤブサ様………!」

 表情を硬くするナディール姫に、ハヤブサは苦笑する。
「そんなに強く案じなくていい。あくまでも、『万が一』の処置だ」
「でも…………」

「事態は常に『最悪』を、想定しておいた方がいい」

「────!」
 ハヤブサの言葉に、ナディール姫は、はっと、目を見開く。

 最悪の事態を想定しろ。
 そうだ、これは
 父からも、よく言われていた言葉ではなかったか───

「分かるか? ナディール」

 ハヤブサからの問いかけに、ナディール姫も「はい」と頷く。
 本当は、こんな想定はしたくない。
 したくはないが─────
「よし」
 姫が頷いたのを確認してから、ハヤブサは言葉をつづけた。
「万が一、俺がやられてしまったら、お前は速やかにこのロープを伝って脱出し、シュバルツにすべての事情を話して、彼に頼れ」
「シュバルツ様に?」
 きょとん、と、しながら問い返してくるナディール姫に、ハヤブサは軽く微笑んだ。

「あいつも、俺と同じくらい腕が立つ『忍者』だ」

「…………………!」
 ハヤブサの言葉に、ナディール姫は驚きを隠せなかった。
 なんということだろう。
 ハヤブサほどの剣の腕が立つ人間が、もう一人、この世に存在するなんて。

「それに、義理堅い男だ。あいつなら、頼るお前をぞんざいにはねのけることは、絶対にしないだろう………」

 姫にそう話しながら、ハヤブサは、(すまない、シュバルツ……)と、心の中で謝った。
 完全に、巻き込んでしまった。彼を。
 本来ならば、この事件には全く関係のない、『第3者』であったのに────

「分かりました。ハヤブサ様」
 姫は力強くうなずいたが、こう続けた。
「でも、あくまで私の『護衛』は、ハヤブサ様、貴方です。それを、簡単に変える気はありませんから───」
「姫…………」

「ですから、絶対に、戻ってきてください」

 姫の言葉に、ハヤブサははっと、息をのむ。

「貴方ならば、『人質の救出』というミッションを、無事に達成できる………私は、そう信じていますから」
 姫の言葉に、ハヤブサはその面に、軽い笑みを浮かべる。
「そうだな………。任せておけ」
「はい!」
 力強い姫の返事に頷くと、ハヤブサは静かに彼女のそばから離れていった。

「…………………」
 そのまま、龍の忍者は、道の中央を歩いた。
 一人で。
 堂々と。
 身を隠すことすらせずに、ゆっくりと、その足を進めた。
(さあ、ここに侵入してきたのは『俺独り』だ)
 通路の向こうに灯る光を睨みつけながら、ハヤブサは歩き続けた。

 敵をすべて、自分に引き付ける───
 姫を守りながら敵中を突破するには、これしかない。

 さあ来い。
 俺にかかってこい。
 一人残らず─────確実に斬り捨ててやるから。

 しばらく歩くと、空気の流れが変わった。
 ウウ、と、低い、不吉な呻り声が響いてくる。
(来た…………)
 ある意味、懐かしい響きに、ハヤブサは身を引き締める。

 やはり────この国は確実に、妖の物を『飼っている』
 誰の仕業かは知らないが、この国に居座る『暗黒』が、一筋縄ではいかない物である、と、言うことは、もう明白のようだった。

「さあ、来い……!」

 龍の忍者は静かに龍剣を抜刀しながら、その身から殺気を迸らせていた。


「キャ…………!」
 ミレイは小さな悲鳴を上げながら、壁から滑り落ちていた。その体が、ベッドの上に落ちて、小さく跳ねる。

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