農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 戦う君に、花束を 76

<<   作成日時 : 2017/03/24 01:45   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

 ガラガラと、周囲の岩が崩れる音。
 粉塵が舞い、息苦しさに襲われる。
 だがすぐに、新鮮な空気の流れを感じて、ナディール姫は顔を上げた。

「怪我はないか?」

 見ると、龍の忍者がこちらを振り返り、手を差し伸べている。
「……………!」
 信じられぬことだが、ハヤブサの前には巨大な穴が開き、その向こうに新たな道が見えていた。
 ハヤブサが、目の前の岩壁を、その拳で打ち抜いたのだと、知れた。
「声は、この向こうからだったな?」
「は、はい………」
 ハヤブサに助け起こされながら、ナディール姫は何とか返事をするが、声が上ずることを、押さえることができなかった。
 改めて、ハヤブサの強さの一端を思い知る。
 信じられない。
 あの岩壁を、拳一つで打ち抜くだなんて。

「時間がない、ナディール。『最短距離』を進むぞ」

「ハヤブサ様……!」
 ハヤブサに返事をしながら、ナディール姫は息をのむ。
『最短距離』って、何だろう。
 まさか─────

「覇あああああああっ!!」

 ドゴォッ!!

 バコォッ!!

 それから二人の道行きは、まさしく『直線』だった。
 龍の忍者は躊躇うことなく前へ進み、自分たちの『障害』となり得る壁は、容赦なく破壊していった。
(い、岩って………こんなに簡単に打ち抜ける物だったかしら………)
 ナディール姫は、そんなハヤブサの後ろ姿を見ながら、自分の『常識』が揺らぐのを感じる。ハヤブサの膂力の前には、総ての障壁が、意味を成してはいなかった。

「姫様!! 姫様!!」

「ロアンヌさん!! ミレイさん!!」

 声を頼りに、二人はひたすら、前に進む。
 そしてついに────ハヤブサたちは、人質がその向こうにいる、と、思われる壁の前まで到達していた。

「ロアンヌさん!! ミレイさん!! 返事をして!!」

「姫様!!」
「姫様!! 私たちはここにいます!!」

 返ってくる声の反響を聞いて、龍の忍者は、あることに気がついた。

(かなり下の方にいる?)

 二人の声が、自分たちの足下から聞こえてくる感覚を得る。だが、この岩壁一枚隔てた向こう側に、人質たちの存在があることは、もう、疑いようもなかった。
「──────」
 だからハヤブサは、印を結び、『真言』を唱えながら、自身に結びつけている縄を、思いっきり波立たせていた。

「波─────ッ!!」

 ハヤブサの『気』を乗せた縄の『しなり』は、違うことなく、シュバルツの手元へと、送り届けられていた。


「………………!」

 ロープを握る手に、ハヤブサからの『合図』を感じ取ったシュバルツは、はっと顔を上げる。
「どうされました?」
 彼の異変に気がついたモガールが、縄を継ぎ足す作業の手を止めて、シュバルツに問いかけてくる。

「………ハヤブサからの『合図』だ」

「ええっ!?」
 シュバルツから、ぽつりと落とされた言葉に、周囲の空気が、ざわ、と、揺らめく。
「姫様に、何かあったのでしょうか!?」
「まさか、地下で何か、悪いことが………!」

「いや、ハヤブサからの『気』は、そんなに悪い印象は受けなかった………」

 兵士たちに応えながら、シュバルツは、己が手に受けた、ハヤブサからの『気』の感触を確かめる。
 これは、『非常事態』を告げるモノではない。
 どちらかと言えば────

「………これは、推測だが………おそらく、人質を『発見』したのではないのか………?」

 シュバルツのその言葉に、周囲の兵士たちから、おお、と、歓声が上がった。
「我々も、このロープを伝って、現場に向かった方が良いのでしょうか!?」
「何か、手伝えることがあるなら────」
 色めきだつ兵士たちを、シュバルツは、まあ待て、と、制した。

「ハヤブサから、脱出する手段について、もう一度連絡があるはずだ。それを、確認してからにしよう」

 シュバルツはそう言うと、ロープをたぐり寄せはじめる。
「何をなさっているのですか?」
 兵士の問いかけに、シュバルツは手を動かしながら応えた。
「ロープを、少し張っておこうと、思って………」
「ロープをですか?」
 聞き返す兵士に、シュバルツは「ああ」と、頷いた。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

戦う君に、花束を 76 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる