農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 77

<<   作成日時 : 2017/03/25 00:35   >>

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「ハヤブサが、連絡する手段として、このロープを使ってくる可能性が高い。だから、その合図を聞き取りやすくするために、な」
「了解しました!」
「我らも手伝います!」
「頼む」
 モガールとヤッセの申し出を、シュバルツも受ける。3人は急いでロープを手繰り寄せ始めた。

「失礼だが、そちらの方は?」

 シュバルツの存在に気づいたイガールが、周りの兵士に問いかける。
「あ、えっと…………」
「我々も、よくわからないのですが………」
 周りの兵士たちも首をひねった。しかし、それは無理からぬ話であった。シュバルツは今日、『給仕』として、この城に雇われたばかりの存在。そんな人間を、誰が詳しく知っている、と、言うのだろう。
 しかし、その場にいた兵士たちは、誰一人としてシュバルツを『敵対的な存在』とは認識してはいなかった。
 何故なら、厨房で『未知の存在』から襲撃を受けた時、懸命に姫やシェフを、ハヤブサと共に護っていたシュバルツの姿を、彼らは覚えていたからだ。
 だから彼らは、この言葉を選択していた。
「隊長! あの方は、少なくとも我らの『敵』ではありません!」
「どうやら、ハヤブサ殿の知り合いの様であります!」

「ハヤブサ殿の?」

 イガールは、驚いたように顔を上げる。
「ハヤブサ殿の………」
 イガールは、しばらくシュバルツの横顔を、じっと見つめていたが、やがて立ち上がり、その近くに歩み寄っていた。

「誠に申し訳ない。貴殿は、ハヤブサ殿の知り合いか?」

「……………!」
 縄を手繰り寄せていたシュバルツは、手を止めて、イガールの方に振り返った。
「ああ。私はシュバルツ・ブルーダー。ハヤブサとは、知り合いだ」
「シュバルツ殿か………」
 イガールは、しばらくフム、と顎に手を当てながら頷いていたが、やがて顔を上げ、シュバルツの方に右手を差し出した。

「私の名は、イガール・ジェスティ。この城の警備隊長をしている。城の者が、貴殿に世話になったようだな、礼を言わせてもらう」

「いや…………」
 シュバルツも右手を差し出し、イガールと握手を交わした。
 切れ長の瞳をした、金髪の青年。彼の手のひらには、剣を振り込んでいるが故にできる、硬いタコができていた。
 彼は、シュバルツの瞳をまっすぐ見つめながら、握手をしている。
 実直そうな青年。だが、その顔色が少し青白いのが、シュバルツは気になった。

「シュバルツ殿! もっと縄を引きますか?」

 はっと、シュバルツが振り返ると、ハヤブサとつながっている縄が、地面に垂れない程度に張っているのが分かる。
「いや、これで十分だ。ありがとう」
 シュバルツは礼を言って、その縄をモガールたちから受け取った。


「……………………!」

 今まで、自分とつかず離れずで、余裕を持ってついてきた縄が、ピン、と、張られたことに、ハヤブサは気づいた。
(シュバルツ……! 合図に気づいてくれたんだな………)
 流石だ、と、ハヤブサはほっと、胸をなでおろす。彼は素早く周りを見回して、今の状況を把握すると、縄を細かく指で弾き出した。
(頼む………! シュバルツに、伝わってくれ………!)
 龍の忍者は、祈りにも似た思いで、縄を指でたたき続けていた。


「…………………!」

 縄から伝わってくる感触に、シュバルツは、はっと、息をのむ。ハヤブサからの『伝言』だと、悟った。
「シュバルツ殿……?」
 シュバルツの周囲の空気が、急に張り詰めたことに気づき、怪訝に思ったヤッセが、彼の顔を心配そうにのぞき込んでくる。
(少し、静かにしていてくれ)
 シュバルツは手を上げて、ヤッセにそう合図を送ると、縄から伝わってくる感触に、集中しだした。
(………モールス信号………!)
 その暗号に気づいたシュバルツは、しばらく目を閉じて、龍の忍者からのメッセージに集中する。

(なるほど………心得た!)

 シュバルツは、一度だけ強く、その縄を引く。それをしてから、彼は縄から手を放した。もう、この縄は、必要のないものだからだ。
「シュバルツ殿!?」
 その行動に驚くヤッセたちの方に、シュバルツは振り返ると、こう叫んだ。

「この城から一番近い、海側に切り立った崖は、どっちの方向だ!?」

「崖でありますか?」
「東側にあるな」
「しかし、シュバルツ殿……その崖が、どうかされましたか?」

「そこから、ハヤブサが出てくるんだ。人質を連れて────」

 問いかけてくる兵士たちに、シュバルツは明確に答えを返す。彼の言葉に、兵士たちは、「おお!」と、ざわめいた。

「その崖はどこだ? 案内してくれ! おそらく、救助には手助けが必要になる………!」

「了解しました!」
 シュバルツの言葉に、ヤッセとモガールは敬礼を返す。
「こちらへ! 我らが案内いたします!」
「ありがとう」
 シュバルツは礼を言うと、走り出したヤッセとモガールの後をついて、走り出していた。

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