農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 78

<<   作成日時 : 2017/03/26 00:08   >>

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「我らも行こう!」

 イガールは、周りの兵士たちに声をかけた。
「隊長!」
「姫様も、シェフのご家族も出てくる! 人手は、多い方がいいだろう」
「はっ!」
「了解しました!」
 シュバルツたちの後について、イガールと兵士たちも、そこから走り出していた。


(シュバルツ……! わかってくれたか………?)
 一度強く引かれた後に、パタッと力無く、地に落ちた縄。それは、シュバルツが縄から手を離したことを示していた。
 きっと、シュバルツはこちらの思いをくみ取ってくれている。
 ハヤブサはそう信じて、次の行動に移ることにした。
 もう時間がない。
 ここでの躊躇は、人質と姫の命を奪ってしまう。

「ミレイさん!! ロアンヌさん!!」

 姫の呼びかけに、人質たちは「はい!!」と、返事をしてくる。
 もうかなり近い。
 そして、やはり─────かなり下の方から、その声は聞こえてくる。

 わかる。
 きっとこの壁の向こうに、間違いなく人質たちは居る。

「そこにいる者!! 聞こえるか!?」

「は、はい!!」
「貴方様は……!?」

 ハヤブサの呼びかけに、中から戸惑った声が返ってくる。

「俺は、リュウ・ハヤブサ。ナディール姫の『護衛』をしている者だ!!」

 ハヤブサは、そう説明してから、言葉をさらに続けた。

「今からそこに向かって、『出入り口』を作る!!」

「ええっ!?」
「そんなことができるのですか!?」
 中から帰ってくる、半信半疑な声に、ナディール姫は苦笑していた。
 無理もない。
 自分だって、ハヤブサが、ここまでどうやって到達したのか─────その一部始終を見ていなければ、この龍の忍者の言葉を、とても信じることなど、できなったであろう。

「この人の言うことは、本当よ!!」

 だからナディール姫は、ハヤブサの言葉をフォローするように、彼女たちに声をかけた。

「この人は本当に─────ここの壁に、穴を開けることができるの!!」

 その時、窓からバシャッと、音を立てて、海水が部屋の中に入り込んでくる。潮が満ちて、跳ね上げられた波しぶきが、窓を超え始めたのだ。

「水が─────!」

 ロアンヌが、悲鳴に近い叫び声をあげた。
 一度水が浸入し始めたら、この部屋は、あっという間に海水に満たされてしまうだろう。
 それが分かるが故に、明確な恐怖に彼女たちは襲われていた。
「いいか!? 落ち着いてよく聞いてくれ!! 今から俺は、この壁をぶち抜く!! だから、自分たちの頭を守りながら、できるだけこの声から、離れた場所に移動してくれ!!」
「お願い!! ハヤブサ様の言うとおりにして!!」
 ナディール姫も、懸命に声を張り上げて呼びかけた。

「必ず、助けます!! だからお願い!! 私たちを信じて!!」

「……………!」
 ミレイとロアンヌは、言われたとおりの行動をする。窓からは、バシャッ! パシャッ! と、激しい音を立てながら、水が、もうひっきりなしに部屋に入り込んでくるようになっていた。
 ハヤブサは、床に垂れている縄を手繰り寄せ、適当な長さを確保してから、手近にあった石の柱に、その縄を手早く括り付けていた。
「縄を頼む!」
 姫に短くそういうと、ハヤブサは、静かに息を吐く。
 目の前の壁を見つめながら、己の丹田と拳に、『気』を極限まで集中させた。

「覇あああああああッ!!」

 ドゴォッ!! と、轟音をとどろかせて、打ち込まれる拳。
 咲かれた空気が、粉塵を巻き上げ、ナディール姫の鼓膜を揺らす。
「……………!」
 耳を覆い、目を閉じ、歯を食いしばって、その衝撃に耐える。
 やがて、静寂が訪れ、新しい空気を頬に感じた。
 瞳を開けると、大きな穴の開いた壁の前にたたずむ、ハヤブサの姿がある。
「ハヤブサ様」
 ナディール姫が声をかけると、一瞬振り返ったハヤブサが、小さくうなずく。彼はそのまま、壁の向こうに飛び込んでいた。

「あ……………!」

 椅子やら机の天板などを使って、頭を覆っていた二人が、物音に気付いて顔を上げる。見慣れぬ黒装束を身にまとった一人の男が、部屋に飛び込んできていた。
「二人とも、こちらへ!!」
 男は叫びながら走り寄り、こちらに向かって、手を差し伸べてくる。
「は、はい!」
 二人は、ハヤブサに向かって、手を伸ばそうとする。
 その刹那、部屋に入り込んでくる水の量が増した。ついに海面が、窓を越え始めたのだ。

「キャ…………!」

 その水量の激しさゆえに、ミレイとロアンヌは固まってしまう。
「ちいいいいいっ!」
 ハヤブサは大きく舌打ちをすると、二人の身体を強引に抱え上げる。流れ込む水に逆らいながら、壁に向かって走り始めた。

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