農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 81

<<   作成日時 : 2017/03/30 01:22   >>

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「波ああああああ………!」

 ハヤブサが、己の拳に静かに『気』を集中させていく。それが、極限まで練り上げられ、研ぎ澄まされたとき─────龍の忍者は、迷わず気弾をその手から放った。

「覇──────ッ!!」

 ドゴォッ!! 

 雷鳴のような轟音とともに、打ち抜かれる岩壁。

(シュバルツ………! どうか、気づいてくれ………!)

 ハヤブサは祈るような思いで、崩れる岩壁を見つめ続けていた。


「……………」
 城から、少し離れた海沿いの崖のうえで、シュバルツは目を閉じて佇み続ける。『音』を拾い続けるためだ。
 ハヤブサは、必ず出てくる。
 皆を連れて。
 そう『約束』を、交わしたのだから─────

 ドゴォッ!!

 その時、少し離れた場所で響いた轟音を、シュバルツの耳は捉えた。

「ハヤブサ!!」

 そう確信したシュバルツは、弾かれたように走り出していた。
「我らも行こう!!」
 当然のごとく、イガールと兵士たちも、そのあとに続いた。


「………………!」
「あ………………!」

 ミレイとロアンヌは、目の前に起こった、奇跡のような出来事に、ただただ呆然とするしかない。

 なんということだろう。
 目の前のこの人は
 この場所から、あの壁を、『撃ち抜いた』と、言うのだろうか。

「ハヤブサ様」

 一方、ナディール姫の方は、もう特段驚くこともなくなっていた。
 この人なら、これができて当たり前─────そんな心情ですらあった。
 もしかしたら、自分の『常識』の崩壊が、どこかで始まってしまっているのかも、知れないが。

 姫の呼びかけにハヤブサが振り向くと、まっすぐにこちらに視線を投げかけている、彼女の視線がある。

「皆を頼む」

 ハヤブサがそう言うと、ナディール姫は、力強くうなずいていた。それを確認したハヤブサは、頷き返すと、そこから一人、岩肌を登り始めていた。

 するすると、崖を登っていく龍の忍者の姿を、ロアンヌとミレイは、ぽかん、と、口を開けて見守るしかない。
「に………人間、って………あんな風に器用に、身体を動かして………壁を登っていけるものなのね………」
「そうね………」
 娘の独り言に、ロアンヌはそう答えると、フ、と、小さく笑った。
「貴方の登っている姿は、あんな感じじゃなかったものね。もう本当に、危なっかしくて───」
「もう! 母さんったら! そんなこといちいち思い出さなくていいのに────!」
 むくれるミレイを見ながら、ロアンヌは笑いをこらえきれないでいる。
 それは、どこにでもある母娘の、心の底からの平和な光景。

 よかった、と、心の底からナディール姫は、思う。

 できればこの先も、ずっとこんな景色が続いてくれたらいい、と、願った。

 不思議だ。
 海水の流入は止まらず、下からの水かさは増す一方。自分たちはまだ、完全に危地を脱しているわけではないのに。
 なぜこうも、自分たちは、元の日常に『戻れる』気で、いられるのだろう。

 上方に引っ掛けた縄を回収したハヤブサは、自身が穿った出入り口へと、身を運んでいく。
 そこから外に顔を出した、刹那。

「ハヤブサ!!」

 自分の穿った穴のすぐ上にいて、こちらをのぞき込んでいる、愛おしいヒトの顔。

「シュバルツ………!」

 知らず、心底ほっとしたように、表情を緩める龍の忍者。
「……………!」
 それに気づいたシュバルツも、彼とともに気が抜けかけそうになるが、すぐに首を振って、「馬鹿」と、ハヤブサを軽く小突いた。

「気を抜くのはまだ早いだろう? まだ、助かっているわけじゃない」

「ああ。そうだな」
 シュバルツの言葉に、ハヤブサも、すぐに正気に返る。シュバルツは、一本のロープを伝ってここまで下りてきてくれていて、その上では複数の兵士たちが、そのロープを支えてくれているようだった。

「シュバルツ殿! ハヤブサ殿や姫様はいらっしゃいましたか!?」

 崖の上から、兵士たちが心配そうにのぞき込んでいる姿が見える。
「ハヤブサ、姫と人質になっていた人たちは?」
 シュバルツの問いに、ハヤブサは、穴の方を指し示していた。

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