農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 58

<<   作成日時 : 2017/03/05 00:09   >>

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(ククククク………)

 仄暗い笑い声が、あたりに響き渡る。それと同時にハヤブサが、刀を一閃させた。
「─────!」
 キキン、と、小さな金属音が響き、何かが床に突き刺さった。

(ほう……。コノ小さな獲物ニ気づくカ………。ナカナカニ感がイイ………)

「誰だ!?」
 刀を構えながら、ハヤブサが叫ぶ。正体不明の声は、また笑い声を響かせてきた。
 嫌な声だと思った。
 人とも、そうでないものとも取れるこの声は、こちらの感覚を逆なでしてくるから。

(ソウ邪険にするナ………。お前たちに代わっテ、『あの男』ヲ『始末』シテヤッタトイウノニ………)

「……………!」
 ハヤブサの眉がピクリ、と動き、シュバルツの顔色が変わる。ナディール姫とシェフは、息をのんでいた。

「…………どういう、ことですか………?」

 震えながらも問いかけるナディール姫。それに対して『声』の主は、嘲るように、「クッ」と笑った。

(南の庭ヲ見てミロ………。お前ニ毒を盛った男ガ、哀レナ死体になって転がっテいるゾ………)

「何ですって!?」

 叫び声を上げるナディール姫に対して、その声は、愉快そうに笑い声を立てていた。

(オヤ………ソコマデ顔色を変えることはナイだろウ? 姫………お前にとっテあの男ハ『害悪』以外ノ何者でもナカッタハズダ………)

 その指摘がある意味正しすぎたから、ナディール姫は、ぐっと唇をかみしめていた。
 確かにそうだ。
 あの男は、人質を取ってシェフを脅した。
 料理を『毒』で汚染して、自分から、シェフの料理を取り上げた。
『給仕』として厨房に入っていた、無抵抗のシュバルツに対する、一方的な暴力────あれすらあの男が日常的に行っていた『行為』だというのなら、自分は、あの男を『許す』ことのほうが、難しいように思う。

 でも
 それでも────

「行き過ぎです! 殺してしまうなんて………!」

(ソウカ? コレハ本来なら、お前がセネバナラヌことだゾ? 害悪は断罪シテ、処罰せねバならヌのに………)

「それは………!」
 ぐっと言葉に詰まるナディール姫。声は、さらに畳みかけてきた。
(マッタク………とんだ『甘ちゃん』ダナ、お前ハ………。オ前みたいな奴ヲ『王』トシテ仰がねばならヌトハ………。コノ国の連中モ、気の毒なコトダ………)

「………………!」

 ハッと、息をのむナディール姫。
 それに対してハヤブサは、『否』の声を上げようとする。
 だがそれよりも先に、廊下にいた兵士たちの方が騒ぎ出していた。どうやら廊下の方にも、この『声』が漏れ聞こえていたらしい。
「なんて失礼な奴だ!!」
「そうだそうだ!!」
「我らの姫様を、悪く言うな!!」
「そうだそうだ!!」

『黙レ!!』

 突如として殺気が爆ぜ、廊下の方で轟音が響き渡る。次いで、兵士たちから悲鳴が聞こえた。

「やめて!! やめてください!!」

 ナディール姫の、悲鳴のような絶叫が響き渡った。

「兵士たちを撃つのは、やめてください!! 貴方の狙いは、この私のはずでしょう!!」

 ナディール姫は立ち上がり、忍者たちの守護よりも前に、その身を進ませていた。

「撃つのなら……この私を撃ってください! 他の人たちを、無闇に巻き込まないで………!」

(…………………)
 姫のその言葉に、声はしばらく沈黙する。
 殺気は充満したままだが、その静寂は長く続いた。
 だがやがて、小さな笑い声が、部屋に響いてきた。

(姫………お前ノ申し出ハ魅力的だガ、今は、ヤメテオコウ………)

「えっ?」

 キョトンとするナディール姫に対して、『声』は、薄ら笑いを含みながら答えた。

(お前ノ後ロに控えテイる奴ヲ………私とシテもこれ以上、刺激しタクナいのでね………)

「………………!」
 その言葉に、ハヤブサはピクリと、眉を吊り上げていた。
 そう。彼は懸命に、『声』の出所を探っていた。
 あと少し。
 あと少しで、その居場所をつかめそうであるのに。
「………………」
 シュバルツは、静かに身構えていた。
 姫に対する攻撃が少しでもあれば、それは自分が身代わりに引き受けるつもりで、彼はそこに立ち続けていた。

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