農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 59

<<   作成日時 : 2017/03/06 01:50   >>

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(今日ハ………この辺りデ、私も引き上げルコトにしヨウ……。だが、引き上げル前に………姫、お前に一つ、教えてオイテヤル……)

「何ですか?」

 怖じることなく、問い返すナディール姫。『声』は低く笑うと、愉快そうに言葉を続けた。

(殺シテおいタあの男ダガ………実は、あイツは、『シェフの監視』以外にモ、『ある役目』を背負ってイタ………)

「役目………?」

(アノ男は、ある時間にナルト、ある場所ノ『門』を、閉めニ行ってイタ………。それが、ドウイウ役割ヲ果たしていたカ、分カルか………?)

「………………?」
 小首をかしげるナディール姫を、『声』は、嘲るように低く笑った。

(そノ門は……『人質』ヲ監禁してイル場所ニ、『水』が流れ込むノを防グ役割を果たシテいタノだ………)

「な─────!」
「何ですと!?」
「嘘でしょ………!?」
「……………!」

 その言葉に、四人の顔色が、さっと変わる。『声』は、満足そうに笑い声を立てていた。

「クククク………! アノ男が死んでシマッタかラ、もう、ソノ門を閉メル者は誰もイナい。ソレが何を意味スルか………お前たチハ、もう、分カルな?」

「そんな………!」

 シェフが、小さな悲鳴を上げながら、座り込んでしまう。
「シェフ………!」
 ナディール姫がそばに駆け寄り、助け起こそうとするが、シェフはただ、小さく身体を震わせながら、うずくまるばかりであった。

(時間にしテ、人質たチノ命は、あト3時間、と、言っタトコろだな……。シェフ………! お前は我ラヲ裏切っテ、秘密をばラシタのだ………。だかラ、『報い』を受けテモらうぞ………!)

「ああ…………!」

 震えるシェフの体に寄り添いながら、ナディール姫はきっと、顔を上げた。

「なんてことを……! 人質となっている方たちに『罪』は無いでしょう! それなのに────!」

(アア………。そうダな………。『人質』たチニ、『罪』はナい………)

『声』は、ククククッと、仄暗く笑った。

(『罪』がアルのは、『お前』ダ、姫───!)

「─────ッ!」
 ガツン! と、何かに殴られたような衝撃を、姫は受ける。『声』は、無情にも、尚も続いた。

(分かラナイのか………? 今回の事態ハ、『お前』ガ招いタノダ………! お前が、さっさと毒ヲ食ラッテ死なナイから………! 少し、オ前は自覚ヲシタ方がいいゾ? お前は生きてイルダけで────)

「そこだっ!!」

 裂帛の気合とともに、ハヤブサはくないを投げる。くないは壁に居た何かに突き刺さって、そのまま床に落ちた。

(………生きテイルだけデ………大勢の人間に迷惑を、カケテイル………。ソレを、忘れルな…………)

 嫌な残響を残して、その声は、消えた。

「………………」

 呆然と、たたずむしかないナディール姫。ハヤブサはそれを見やりながらも、自分が投げたくないが、何を捉えたのかを確認しに行った。床に転がったくないのそばに歩を進めると、その先には、小さな『蜘蛛』が突き刺さっていた。
(蜘蛛か………)
 ハヤブサは、それを手に取ってじっと見つめる。
 その蜘蛛は、どこにでもいるような、何の変哲もない物のように、ハヤブサの目には映っていた。そこに、特に仕掛けがあるわけでもない。
(妙だな……。あの『声』はいったい………)
 ハヤブサは、思索にふけりかけるが、首を横に振って、我に返った。

 これの詮索も大事だが、今は、それどころではない。
 他に、やるべきことがあるからだ。

「………………」
(生きているだけで、迷惑をかけている、だなんて………そんなこと、分かってる………!) 
 ナディール姫は、唇をぎゅっと、かみしめていた。

 わかっている。
 今の自分の『立場』は、とても微妙で、自分の存在を歓迎している人たちばかりではない、ということを、ナディール姫はとっくに自覚していた。
 冗談抜きで、自分の存在が『目の上のたん瘤』になっている人たちは、数多く存在していいることだろう。

 どうすればいいの
 どうすればいい、というのだろう

 その人たちの望み通り、自分が死ねば、すべてが丸く収まる、とでも、言うのだろうか。

(違う)

 ナディール姫は、首を横に振る。

 その人たちの望み通り、自分は死んでもいい。
 だけどそれは『今』ではない。
『今』ではないのだ。

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