農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 60

<<   作成日時 : 2017/03/07 00:35   >>

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(でも…………)

 姫は、うずくまって小さく震えている、シェフの姿を見る。
 この人が、ここまで追い込まれてしまったのは、間違いなく『自分』のせいだ。

 どうすれば、いい?
 どうすれば、いいのだろう
 やはり、私は─────

「ナディール!!」

 ハヤブサの叫び声に、彼女ははっと、顔を上げる。すると、真剣にこちらを見つめている、『龍の忍者』の姿が、そこにはあった。
「ハヤブサ様………」

「人質を助けに行きたい!! 力を貸してくれ!!」

「え…………?」
 ハヤブサの申し出に、ナディール姫はかなり戸惑ってしまう。
 人質を助け出せるのなら、もちろん自分はそうしたいし、その行為に反対する理由もない。
 しかし、「力を貸してくれ」とは、どういうことなのだろう。
 自分が、何かの役に立てるとは、到底思えないのだが─────

「わからないのか!? ナディール!!」

 自分の申し出に、瞳をぱちくりとさせているナディール姫に向かって、ハヤブサはもう一度叫んでいた。

「今の話で、人質の居場所の検討がある程度ついている! だが、早急に救出に行くには、俺一人では無理だ!! お前の力が、必要なんだ!!」

「え………? 私の力が、ですか………?」
 戸惑うばかりのナディール姫に、ハヤブサの言葉の補足説明をするべく、シュバルツが一歩、前に進み出た。
「あの『声』は、人質たちの居場所に関して、結構な手掛かりを残してくれた……。だから、迅速に対応できれば、十分に救出は可能だと思う」

「本当ですか!? それは!!」

 シュバルツの言葉に、シェフはがばっと顔を上げた。シュバルツは、静かにうなずいていた。
「まず一つ。人質たちがいる場所には、水が流れ込む、と、あの声は言っていた。水は高いところから低いところに流れ込むのが常だ。だから、かなりの高確率で、人質たちは地下に居る、と推測ができる」

「地下………!」

 ナディール姫は、はっと息をのむ。
 脳裏に、この町全体に張り巡らされている、複雑な地下水路の景色が浮かんだ。

「二つ。あの声は、ある門を閉めなければ、人質たちがいる場所に、3時間ほどで水が流れ込む、と、言っていた。と、言うことは、流れ込む水の取水口は、水の中に沈んでいる場合と、そうではない状態の時がある、と、言うことになる」

「………! と、言うことは、水は海から流れ込む、ということですか?」

 シェフの問いに、シュバルツはうなずく。
「その可能性が高いな。潮の満ち引きが確認できれば、もっと確証が得られるのだが………」
 そう言いながら、シュバルツは厨房の入り口付近で、倒れた仲間を手当てしている兵士たちに、視線を走らせる。
「誰かこの中で、今日の干潮と満潮の時刻を分かる者はいないか?」

「俺が分かります!」

 兵士の一人が手を上げた。
「お前、そんなものをチェックしているのか?」
 同じく倒れた兵士を手当てしていた同僚に、問いかけられたその兵士は、「俺の祖父ちゃんが漁師なんだよ」と、多少苦笑気味に答えていた。
「漁師にとって、潮の流れを把握するのは、必要不可欠なことだからな……。祖父ちゃんがしょっちゅう潮の満ち引きを確認してくるから、俺もチェックする習慣がついちゃって………」
 そう言いながら、その兵士は、懐から取り出した携帯端末を、素早く操作する。彼がその時刻を把握するまで、30秒とかからなかった。

「午前2時35分! 満潮! 今から約、3時間後であります!」

 その答えに、周りの兵士たちからも、おお、と、声が上がる。シュバルツも、「やはり、そうか」と、頷いた。

「そして3つ目。人質たちが監禁されている場所は、おそらく、ここからそんなに離れてはいない……」

「なぜ、そんなことが分かるんです?」

 眼をしばたたかせながら問いかけてくるシェフに、シュバルツは微笑みかけた。

「シェフ、貴方の料理が、人質たちに届けられていたからだ」

「─────!」
 その言葉に、一同ははっと息をのむ。

「ここからかなり離れているのなら、そんなことは不可能なはずだろう。実際、貴方の料理が届いているのなら、それが可能な距離に、人質たちは居る─────と、言うことになる」

「あ…………!」
「分かるか? 姫……」
 呆然とたたずむナディール姫に、ハヤブサは改めて声をかけてきた。
「ハヤブサ様………!」
「地下。海から流れ込む取水口とつながっていて、この近辺─────ここまで、人質たちの場所の見当はついているんだ。姫、心当たりはないか? 人目につかず、人質を監禁可能な空間がある、この近くの地下の場所を────」
「………………!」
 ハヤブサの言葉に、ナディール姫の頭の中に、いくつかの場所が思い浮かぶ。ナディール姫は、ぎゅっと、こぶしを握り締めていた。

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