農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 61

<<   作成日時 : 2017/03/08 00:07   >>

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(助けられる………?)

 目の前に現れた、小さな希望の光。
 あとはそれを、つかむか否かだ。

 リスクはある。
 今は夜。昼でさえ暗い地下など、ふつうは、誰も入っていかない。複雑に入り組んだその水路は、不用意に入り込んだ者を、容赦なく暗黒の深淵へと、飲み込んでいってしまうだろう。
 それに、先日、自分たちを襲ってきたモンスターの存在も気がかりだった。
 あれにまた襲われたら─────

(怖い…………!)

 恐怖に胸が詰まる。
 だけど────

「………………」

 ナディール姫は、すがるように見つめてきている、シェフの顔を見る。
 自分を、まっすぐ見つめている、ハヤブサの顔を見る。

(行こう)

 恐れる必要も、迷うこともない、と、思った。
 皆を『守る』のが、自分の役目であるし
 自分には、『最強の護衛』が、ついてくれているのだから。

「分かりました………。行きます」

 頷いたナディール姫に、周りから、おお、と、ため息のような歓声が上がった。

「姫さま!」
「姫さま! 我らもお供いたします!」

 共に行くことを志願した兵士たちに、しかし、ナディール姫は、首を横に振った。

「いいえ、大丈夫です。それよりも貴方たちは、仲間の手当てと、城のことを………シェフを、頼みます」

「姫様………!」
「あなた方は、大丈夫ですか………?」
 姫はそう言いながら、倒れている兵士たちのそばに駆け寄る。
「わ……! 我らは、大丈夫であります!」
「かすり傷なので………!」
「そう………。よかった………」
 負傷した兵士たちだが、みなそういって元気に答えていた。死人が出なかったのが、不幸中の幸いだったと、ナディール姫は、ほっと、胸をなでおろしていた。

「シェフ………」

 ナディール姫は立ち上がり、シェフの方を見つめる。
「姫様………」
「………………」
(この人を本当に、ひどい目に遭わせてしまった………)
 そう感じたナディール姫は、いつしか唇を強くかみしめていた。
 彼のみならず、その家族までも、命の危険にさらしている。
 自分が生きているだけで迷惑をかけてしまった、まさにその典型だと、思った。

 彼に泣いて謝りたい。
 死ぬほど、自分を責め抜きたい。
 でも、今はまだ、それをするべきではないと、感じる。

 彼に、彼の家族を返さなくては。
 すべては、それをしてからだ。

 そう強く決意して、それから彼女は、ハヤブサの方に振り返った。

「ハヤブサ様、行きましょう」

 ハヤブサはうなずく、姫を連れて部屋から出ていこうとする。それを、「待ってください!」と、兵士たちが呼び止めた。
「貴方たち………連れて行くわけには───」
 少し困ったように立ち止まるナディール姫に、兵士たちは「違います!」と、首を振りながらも、次々と声をかけてきた。
「姫さま! 地下に潜るのならば、きちんと準備をしていった方がいいです!」
「このライトをお持ちください!」
「手袋も!」
「ロープもありったけあったほうがよろしいのでは!?」
「そうだな、ロープはあった方が助かる」
 その提案にハヤブサがうなずくと、兵士の一人が「分かりました!」と、走り出す。
「俺は、イガール隊長に、報告してくるよ」
「イガール隊長はどこにいるんだ? 宿舎か?」
 傷ついた仲間の手当てをしながら問いかけてくる兵士に、隊長の方に行きかけた兵士は苦笑しながら答えた。
「いや、執務室に居たと思うよ。あの人、相変わらずいろんな用事に振り回されていたから、仕事が終わってないみたいなんだ。確か報告書を書くとか何とか言って、執務室に行くとか言っていたから……」
「隊長、執務室で寝ているんじゃないのか?」
「あり得るな……。いくら城の警備を強化しても、次々と入り込んでくる姫様に対する刺客に、隊長、だいぶ悩んでいたから………」
(イガール………!)
 兵士たちの会話に出てくるその名前に、ナディール姫の心はざわめき、自分のことで、彼の心を煩わせてしまっている事実に、心を痛める。

 でも、ほんの少し

「うれしい」と、感じてしまうのはなぜだろう。

 自分のために、彼が心を砕いてくれている事実が『嬉しい』

 不謹慎だ。

 彼はそのせいで、深く悩んでしまっている、というのに。

「ナディール、どうした?」

「………………!」
 ハヤブサに声をかけられ、ナディール姫ははっと我に返っていた。

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