農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 62

<<   作成日時 : 2017/03/09 02:26   >>

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「いえ、何でもありません。行きましょう、ハヤブサ様」
 そう言って、ナディール姫は厨房から出ていく。ハヤブサも、あとについて、出て行った。

「…………姫様………!」

 その後ろ姿を見送ったシェフが、頽れるようにうずくまっている。そこにシュバルツが歩み寄り、そのそばに膝をついていた。

「……ハヤブサは、『助ける』といえば、必ずそれを成し遂げる男です。ですからシェフも、絶望に早まらず、信じて待っていただけませんか?」

「君は………!」

 シュバルツの顔を見て、シェフははっと息をのんだ。
「………今日採用した、新人の『給仕』だね……。すまない………。私は君が、理不尽に八つ当たられたり、暴力を振るわれたりしているのを、見て見ぬふりをしていたのに………」

「や、私は平気なんで、どうか、お気になさらずに」
 シュバルツは苦笑しながら、首を横に振る。
 あれは、相手の油断を誘うために、わざと受けていたようなものであるから、自分としては、痛くもかゆくもないのだが。
(やはり、周りにいらない気を遣わせるのが、この手法の欠点だな……。もう少し改善の余地はあるか…………)
 シュバルツがそう考え込んでいたところに、ロープを持った兵士が、厨房に走りこんできた。
「ロープを持ってきた! 姫様は!?」
「さっき、ここから出て行ったぞ」
「そうなのか? どっちへ行ったんだろう………!」
 ロープを持ったまま、途方に暮れる兵士だが、思わぬところから助け舟が入った。

「地下への入り口なら、俺、分かるぞ」

「本当か!? モガール!」
 名乗り出てきた同僚に、驚く兵士たち。モガールは頷いた。
「お前、どうして地下への入り口なんて、知っているんだ?」
「あははは……ちょっと、いろいろあって………」
 同僚の疑問を、モガールは苦笑いでかわす。まさか、ナディール姫本人と、心ならずも地下を探検してしまったこと、言えるわけもない。
「ま、まあ、とにかく急ごう。事態は一刻を争うんだ。場所が分かるなら案内してくれ」
「OK ‼ 任せてくれ!」

「私も行こう」

 走り出そうとした兵士たちに、シュバルツが声をかける。
「貴方は?」
 問うてくる兵士に、シュバルツは軽く笑って答えた。
「怪しい者じゃない。ハヤブサの『友人』だ」
 その言葉に、周りの兵士たちから、「おお」と、どよめきが上がる。
「やはり、お強いんですか?」
「『忍者』なのですか?」
 興味津々な眼差しと質問の数々に、シュバルツは苦笑するしかない。
(おいおい………。ハヤブサの奴、何をやらかしているんだ………!)
 ハヤブサが何か、兵士たちの尊敬を浴びるような行為をしたのは一目瞭然だが、どうしてこんな風に変に『忍者』に興味を持たれているのだろう。

「その質問には、追々答える。だが今は、一刻を争う事態なのだろう? 先を急ごう」

「そうですね!」
「急ぎましょう!」
 ロープを抱えた兵士とシュバルツは、モガールを先頭に、厨房から走り出していた。


 ナディール姫とハヤブサには、すぐに追いつくことができた。ナディール姫が一度部屋に寄り、身軽な格好に着替えていたため、まだ地下の入り口まで行っていなかったのだ。
「姫さま!」
「ハヤブサ殿! ロープをお持ちしました!」
 兵士から渡されたロープを、ハヤブサは受け取る。その後ろにシュバルツがいるのを見て取ると、ハヤブサは、彼に声をかけていた。
「シュバルツ、入り口まで、ついてきてくれるか?」
「それはお安い御用だが………中まで入らなくて、いいのか?」
 問い返してくるシュバルツに、ハヤブサは頷く。

「ああ……。お前には、『命綱』を託したい」

「……………!」
 少し驚くシュバルツに、ハヤブサは軽く笑った。
「俺は夜目も利くから、闇を恐れるものではないが………地下の通路は入り組んでいて、構造も複雑だ。どこを通ってきたか確認する意味と、脱出をたやすくするために、俺はこうして、ロープを身体に巻き付けて、地下に入るから────」
 そう言いながら、龍の忍者は己が体にロープの端を括り付ける。それを終えてから、ハヤブサはシュバルツに、ロープを託した。

「シュバルツ。それを持って、ここで待っていてくれるか? 何かあれば、合図をよこす」

「分かった」
 シュバルツが頷き、ロープを手に取ったのを確認してから、ハヤブサは踵を返す。ナディール姫とともに、地下への入り口に入ろうとしたとき、兵士たちが、姫に呼び掛けた。

「姫さま!」

「何?」

 振り向くナディール姫に、兵士たちは明るく笑いかける。
「姫さま! 頑張ってください!」
「応援してます!」
「俺たちはいつだって、あなたの味方ですから!」

「ありがとう」

 ナディール姫が微笑むのを見て、兵士たちも嬉しそうに笑った。

「では、行ってきます。後を、頼みます」

 そう言って、姫とハヤブサは、地下へ続く通路の中へと入っていく。兵士たちは、そんな彼女たちを、「頑張ってください!」と、大きく手を振りながら見送っていた。

 

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