農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 92

<<   作成日時 : 2017/04/20 22:52   >>

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(私が、大人しく捕まればいいではないか)
 シュバルツはそう思い立つ。自分がつかまりさえすれば、とりあえず、この場を丸く収めることができる。それに、捕まることで、城の内部深くに入り込むことで─────見えてくることも、あるのではないだろうか。
(捕まろう)
 シュバルツはそう決意して、顔を上げる。立ち上がろうとすると、小さな手が、ぐっと手をつかんできた。
「……………!」
 シュバルツが少し驚いてそちらの方を見ると、必死の形相で縋り付いてきている、ノゾムの姿が見える。
「ノゾム………」
 シュバルツは優しく声をかける。ノゾムを怖がらせたり、不安な思いをさせたりするのは、シュバルツの方としても本意ではなかった。
「離してくれないか?」
「……………っ!」
 ノゾムは、両目いっぱいに涙をたたえながら、必死に首を横に振っていた。母親に、自分を捕まえさせるわけにはいかない、と、思っているのだろう。
(優しい子だな)
 だからこそ、これ以上、彼の心を煩わせるわけにはいかない。
 シュバルツは、強くそう思った。
「大丈夫だから………な?」

「でも………!」

 ノゾムは、懸命にシュバルツを引き留めようとした。
 今、この人を自分の母に捕まえさせることは、絶対にしたらいけないと思った。そうしなければ、後ろの大人たちの『殺気』が、完全に取り返しの付かないところまで膨れあがってしまう。ノゾムはそう感じていたからだ。

 そんなのはだめだ。
 何とかしたい。

 強くそう思うのに、自分は、どうすればいいのか、まるで分らなかった。

 歯がゆい。
 無力な自分が。

「ノゾム! そこから退きなさい!!」

 母から、鋭い声が飛ぶ。だがノゾムは、懸命に首を横に振った。

 聞けない。
 聞きたくない。
 いくら母の『命令』でも。

「ノゾム!! この母の言うことが聞けないの!?」

「……………!」
 ぐっと、歯を食いしばって、シュバルツに縋り付く。「大丈夫だから、離れて」と、シュバルツに優しく言われるが、それにも懸命に首を振った。
(困ったな………)
 シュバルツは途方に暮れてしまう。
 この小さな手を振り払う術を、自分は持ち合わせていないからだ。

「………仕方がないわね………!」

 母の、低い声が響く。
 これは、またいつものように激しく切れて、理不尽に八つ当たられるように怒られる前触れだった。恐怖を感じて、ノゾムは身を固くする。
(あ、駄目だ)
 シュバルツは思った。これ以上この状況を続ければ、この子の心がパンクしてしまう。だから、縋り付いてくるノゾムの手を、何とか身体から離そうとした。
 だが、ノゾムは懸命に抵抗してくる。シュバルツがそれに途方に暮れていると、自分たちを背に庇うように、ハヤブサが王太后の前に、立ちふさがっていた。

「……………」

「……………ッ!」

 王太后とハヤブサの間に、殺気と緊張が膨れ上がる。それが、極限まで達しようとしたとき、突如として、女性の激しい怒声が、その場をつんざくように響き渡っていた。


「いい加減にしてくださいッ!!!」


「!?」
 全員が、ぎょっとなってそちらの方に振り向くと、ナディール姫が、かなり険しい目つきで、ハヤブサと王太后を睨みつけていた。

「お義母様! お気遣いありがとうございます! ですが、ここは引いていただけませんか!?」

「『引け』ですって!? どういうことなのナディール!!」

「文字通りの意味ですわ。お義母様」
 王太后の問い返しを、ナディール姫は、しれっと受け流す。その目つきが完全に据わっていたので、ハヤブサは思わず頬がひきつるのを感じた。
 完全に怒ってしまっている。
 あの温厚な姫が。
「………………」
 ハヤブサは、王太后に対する構えを解いた。二人の『戦い』の行方を、静観することにしたのだ。

「シュバルツ様の検分は、私が致します。ですからどうか、引いていただけませんか!? お義母様」

「んまあ! ナディール!! 貴方みたいな甘い心がけの人間が、相手の正邪を判断することなど─────」


「私はここの責任者です!! お義母様!!」


 ナディール姫の大声が、辺りに響き渡っていた。

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