農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 86

<<   作成日時 : 2017/04/08 02:37   >>

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(イガール………!)

 今すぐ、この腕の中から離れなければならない、と、ナディール姫も、理性では分かっている。
 しかしどうしたことか、身体はそこから一歩も動いてはくれなかった。
 いや、動くことが出来なかった。

 ナディール姫にとって、イガールとは。
 子どもの頃は、単純に憧れていた存在。
 それが、何時しか恋心に変わっていたのだと、自覚したのは、一体何時のことだっただろうか。

 その人に今、自分は抱きしめられているのだ。
 年頃の女性としての、気持ちが震えてしまうことに、どうして歯止めをかけることが出来るだろうか。

(でも違う)

『王族』として、王位を継ぐ覚悟を固めている『ナディール姫』が、懸命に頭を振る。

 ちがう、ダメだ。
 これ以上、彼に抱きしめられていてはいけない。

 自分が望むのは、彼の平穏、彼の幸せ────

 それは、自分の隣にいたのでは、彼は決して、実現できないのだ、と言うことを、姫はとっくに気づいてしまっていた。

 だから、離れなければならない。
 早く
 早く────

(………とか、考えていそうだな……。あのお姫様は………)

 ハヤブサはそう感じて、ため息を吐く。
 ナディール姫都、ともに過ごすようになってから、彼女の思考回路がある程度読めてきたハヤブサ。妙にまじめなところ、自分を顧みない具合などは、愛おしいヒトと重なるところもある。
 誰よりも、他人の幸せを願う彼女だからこそ、幸せになってほしい、と、ハヤブサは願った。
 そして、彼女を幸せにできる存在は、すぐそこにいるイガールなのだが─────

 行け。
 少しでも、彼女のことを『好き』と、感じているのなら、抱きしめてやれ。

 ハヤブサは少々、イガールをにらみつけるように見つめる。

 イガールの方に、少しでも姫を『女性として好きだ』と、思っている、というのなら、迷うことなどないはずだ。この二人の間に横たわる問題など─────乗り越えられない物では、ないのだから。

(隊長………!)

 兵士たちも、想いは同じようだ。
 皆、二人から視線はそらしているが、必死に、彼らのことを、応援しているように見える。

 行け。
 二人とも
 互いの『想い』を、
 確かめ合ってくれ

「イガール………!」

 彼の腕の中にいるナディール姫が、小さく身じろぎをした。
 どうやら彼女は、彼の腕の中から、脱出する心づもりであるらしい。

「そ、その……! そろそろ………」

「………………!」

 しかし、その動きを、ほかの誰あろう、イガールが阻止していた。彼は、明らかにナディール姫を、腕の中に引き留めていた。

「え…………!」

(おっ?)

 その場にいた全員の視線が、イガールの挙動にくぎ付けになる。

「姫様………!」

(おおっ!?)
(行けっ! 隊長!!)
(姫様も、しっかり……!)

 全員が固唾を飲んで、そのさまを見守ったがゆえに、その場の空気には、何とも言えない緊張感が張り詰める。だが、兵士たちは皆─────二人のことを、応援しているようであった。それぞれがこぶしを握り締め、「行け、行け」と、小さな声で繰り返している。

「イガール………?」

 おずおずと、問いかけるナディール姫。それにイガールが、何事か、口を開きかけた時。

「一体、何をしているのです!? これは!!」

 いきなり、甲高い女性の声が、その場に響き渡った。
 その声を聴いたナディール姫は、慌ててイガールの腕の中から飛びのき、イガールもあわててかしこまる。
 兵士たちも、各々隊を組みなおして、整然と整列し、怒鳴りつけてきた女性に向かって最敬礼をした。
 ハヤブサは、口の中で小さく舌打ちをする。
 何故ならそこには。
 ナディール姫にとっては、ほぼ『天敵』と化している、『王太后』の姿が、あったからだ。

「お義母様………!」

 驚いたように見つめてくるナディール姫を、大后は、険しい目つきでにらみつけていた。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ハヤブサさんの妄想かーい!
と突っ込みましたw
てつ@サトウテツロー
2017/04/09 21:57
てつさん、コメントありがとうございます
妄想、というか、ナディール姫の心情をハヤブサさんが読み切っている、と、表現したかったのですが、半分寝ながら書いているときもあるので、言葉足らずだったかな〜と、反省しきりです(^^;
でも、コメントと気持ち球を、ありがとうございました🙌
また、これで頑張れそうです
農家の嫁
2017/04/10 14:33

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