農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 戦う君に、花束を 87

<<   作成日時 : 2017/04/10 14:31   >>

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0


「どういうことなのです!? これは!!」

 王太后は、辺りをにらみつけるように見渡しながら、さらに声を張り上げていた。

「庭に、我が城のコックと思われる者の遺体が転がっている、と、報告を受けて城に来てみれば、詰所には誰もいないし! イガール!! あなたはこんなところで何をしているのですか!?」

「は、はい………!」

 怒鳴られたイガールは、ただ恐縮してかしこまっている。ハヤブサは、小さく「チッ!」と、舌を打っていた。

 全く余計なタイミングで、この女は出てきてくれたものだ。
 本当にあと少しで、二人の気持ちが確かめ合えたというのに。

「お義母様! イガールを責めないでください!」

 ナディール姫が、イガールをかばうかのように、その前に飛び出してきた。
「イガールは、私たちを守るために─────!」
「『守るため』!? ナディール………! 貴方また、狙われたのですか!?」
「…………!」
 王太后の言葉に、姫はグッと、言葉に詰まる。そんな彼女に、王太后は「うんざりだ」と言わんばかりに、ため息をついていた。

「全く……! 貴方が王の代理を務めるようになってから、本当に、こんなことばっかりだわ!! いったい、どういうことなのかしら!!」

 斬り付けるような王太后の言葉に、ナディール姫は、グ、と、唇をかみしめるしか、対応する術がなかった。
 だって、事実だ。
 今回の騒動も、自分が狙われたせいで、引き起こされたようなものだ。そこに、反論の余地などないのだから。
「………………」
 黙りこくってしまったナディール姫に、王太后は、忌々しそうにため息を吐く。
「この城の中が、不穏な空気に包まれているのも、みんな貴方のせいなのよ!? そのあたり自覚があるの!? どうして黙ってしまうのかしら!?」

「王太后様………」

「イガールは黙っていなさい!!」

 何事か言いかけたイガールを、ぴしゃり、と、押さえつけるように王太后は怒鳴る。
「大体、貴方まだ昨日の分の報告書を、出していないじゃないの!! こんなところで油を売っている場合ではないでしょう!?」
「申し訳ありません!」
 恐縮しながら、頭を下げるイガール。それに、王太后は、ふん、と、鼻を鳴らすと、周りの者たちにも非難するかのように声を張り上げていた。
「貴方たちも! こんなところに集まっていないで、さっさと持ち場に戻りなさい!! こんなに緩み切った警備だから、城の中にいろんなものが入りこんでくるのです!!」
(不穏にしているのはお前じゃないのか?)
 ハヤブサは、かなり苛つきながら、王太后の方を睨みつけていた。
 実際、今現実に、ナディール姫のことを、『疎ましい』と、はっきり思っているのは、ほかならぬこの王太后だ。彼女が姫に対する殺人を企て、刺客を送り込む画策をしていても、おかしくはない。

「ハヤブサ」

 自分のたたずまいから、何かを察したのだろう。シュバルツが声をかけてくる。

「余計なことはするなよ……。今、何かを王太后に仕掛けたら、そのとばっちりは『お前』ではなく、『彼女』に行く」

「……………!」

 痛い『事実』を突き付けられて、ハヤブサもぐっと押し黙るしかない。
 シュバルツの言っていることは、正しい。
 正しいのだが────

 ハヤブサは、つくづく思う。
 自分には、『宮仕え』は決して向いてはいないのだと。

 身分
 権勢
 序列───

 そんなものに気を使い、縛られなければならないなど、何とバカバカしくて厄介なものなのだろう。

「ナディール!! また貴方はそんなみすぼらしい恰好をして!! さっさと着替えてらっしゃい!! 全く、王家の恥さらしもいいところだわ!! イガールは、早急に報告書の提出と、庭の遺体の片づけと犯人捜しを始めなさい!! こんな朝早くからたたき起こされて! 本当に、いい迷惑だわ!!」

 ヒステリックに怒鳴り続ける王太后。ハヤブサがそれに、いい加減ブチ切れそうになっていた時、思わぬところから、救い船のようなものが、そこに駆け込んできた。

「お母さま!! お義姉様!!」

「ノゾム!?」

 義弟の姿に驚いたナディール姫は、思わず素っ頓狂な声を上げる。
 それもそのはずで、今の時刻は朝の4時。少し、夜が白んできているとはいえ、ノゾムのような子供が起きだすには、まだ早すぎる時間だったからだ。
「まあ、どうしたの? ノゾム。そんな恰好で外に出てきては、風邪をひきますよ?」
 王太后が、ナディール姫に対するときとは打って変わって、恐ろしく優しい声音でノゾムに声をかけている。こうもあからさまに人によって態度が違うと、ハヤブサなどは失笑を覚えてしまうのだが、パジャマ姿のノゾムは、そんなことを、気に留める余裕もないのだろう。母の言葉が終わるのももどかしげに、手に持っていたタブレットを母に向かって差し出していた。

「お母さま!! これを!! これを見てください!!」

「どうしたの? ノゾム。そんなに慌てて────」

「ドモン………!」

「えっ?」
 ノゾムの口から出てきた思わぬ単語に、ハヤブサとシュバルツが同時に顔を上げる。

「ドモン・カッシュから、僕宛にメールが来てる!!」

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
驚いた
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

戦う君に、花束を 87 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる