農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 戦う君に、花束を 99

<<   作成日時 : 2017/05/07 02:03   >>

驚いた ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

 この人は、いったい何者なのだろう。
 本当に、ドモンのお兄さんなのだろうか。

「あの」

 ナディール姫は、意を決してシュバルツに声をかけた。ここで頭を抱えていても、埒が明かないからだ。
「何だ?」
 顔を上げるシュバルツに、ナディール姫は直球をぶつけてみる。

「貴方は本当に、ドモン・カッシュ様の、兄上様なのですか?」

「そうだ」
 それは、れっきとした事実なので、シュバルツは頷くしかない。

「では………それを証明するものは?」

「無いな」
 これも事実なので、シュバルツはそう答えるしかない。
「……………」
 ナディール姫が頭を抱えていると、ノゾムがおずおず、と、口を開いてきた。

「あの………お義姉さま」

「なあに? ノゾム」

「あ………えっと…………」
 少し逡巡していたノゾムだが、やがて、意を決したように顔を上げた。
「シュバルツさんへの質問…………僕が、やってもいいですか?」

「…………………!」

 驚くナディール姫に対して、ノゾムは懸命に訴えかけていた。
「ぼ、僕なら、ドモン・カッシュに詳しいし、この人の真偽を、確かめられると、思います……」

「……………」

 ナディール姫は、しばらく、そんなノゾムの様子を黙ってみていたが、やがて、フッと、その面に笑みを浮かべた。

「いいわ。やってもらいましょう」

「姫様!?」
 隣にいたカライ内大臣が、驚いたような声を上げる。それに対してナディール姫は、屈託のない笑みを見せた。
「だってそうでしょう? 実際、ノゾムの方が私よりも、『ドモン・カッシュ』に詳しいわけだし」
「確かに、そうですが………」
 カライ内大臣は、不安故に眉をひそめる。ただでさえ、引っ込み思案なノゾムが、そんな大役が果たせるだろうかと、考えてしまったからであった。
「大丈夫よ、カライ内大臣」
 対してナディール姫は、明るく笑いながら、カライ内大臣に言葉をかける。
「せっかく、ノゾムがやる気になっているのよ? ここは、彼に任せるべきだわ」
「しかし、ノゾム様にはまだ経験が………」
 まだ、渋い顔を見せるカライ内大臣に、ナディール姫は苦笑していた。

「だから、その経験値を積ませる、良い機会だと思っているの」

 そう。誰だってはじめから、何でも出来るわけではない。
 一つずつ、経験を積んで、それを糧として、成長していくのだ。

(シュバルツ様は、悪人ではない)

 これは、ナディール姫が心の中で持っている、確かな想いだった。
 だからきっと、シュバルツがノゾムに対して、傷つけるようなことは、絶対にしないはずだ、と、ナディール姫は思っている。

「ノゾムだって、何時までも私たちの後ろに隠れているわけにも行かない。そうでしょ? カライ内大臣」

「それはそうかもしれませんが………」

「ノゾムには、いずれこの国を継いでもらう事になるのだから………」

「姫様!?」
「お義姉様!?」
「……………!」

 不意に零されたナディール姫の言葉に、その場にいた全員が驚いていた。さらり、と言われたことだが、この国の根幹に関わる、重要な事案を、彼女はあっさり口にしたことになるのだから。

「そんなに驚くことではないでしょう? これは、前々から考えていたことなの」

 鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている皆に、ナディール姫は苦笑しながら応える。
「今は、こうして『王代理』としての立場をもらっているけど、私はあくまでも、臨時の王のような者……。本当の『王』になるべきは、ノゾム、貴方だと、私は考えているのよ」
「お義姉様………!」
 対してノゾムは、ただただ驚いていた。
 まさか、義姉がそのようなことを考えていただなんて、夢にも思わなかったからだ。

「だから私は、貴方が成人すれば、王位を譲る。それが自然の流れだし、そうするべきだと、私は思うの」

「あ……………」

 対してノゾムは、ひたすら戸惑うしかない。自分はこれからも、母や義姉の後ろに、付いていくものだと、思っていたから。

「勿論、直ぐ、と言うわけでもないし、成人するまでは、私は貴方を全力で護る。それが、私の『役目』だから」
「お義姉様………」
「驚かせてごめんなさいね」
 ナディール姫は義弟に対して、優しい笑みを見せる。
「でも、ノゾム。覚えておいて欲しい……。さっき言った言葉は、間違いなく私の本心だから」

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
驚いた
ナイス
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

戦う君に、花束を 99 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる