農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 戦う君に、花束を 101

<<   作成日時 : 2017/05/12 14:53   >>

面白い ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

「ハヤブサ様」
 顔を上げたナディール姫が、もう一度「ぐう」と、大きなお腹の音を鳴らす。それを聞いたカライ内大臣の面に、失笑に近い笑みが浮かんだ。

「……仕方がありませんな。少し、休憩にしましょう。これ誰か! 姫様に茶をお持ちしろ!」

「かしこまりました」
 部屋の隅に控えていた侍従が、頭を下げて退出していく。

「私も、しばし下がらせてもらいましょう」

「内大臣」
 少し驚いたように見上げるナディール姫に、カライ内大臣は、珍しく優しい笑みを姫に向けた。
「近くの控室にいます。執務に戻られるときに、声をかけてください」
「ありがとう……」
 少し戸惑いながら礼を言うナディール姫に、カライ内大臣は一礼をすると、執務室を退出していった。

「ほら、買って来たぞ? ちゃんと食べておけ」

「ありがとうございます………!」
 ナディール姫は、ハヤブサからいそいそと食材を受け取る。
「ほら、ノゾムも」
 姫からフランクフルトを差し出され、ノゾムも嬉しそうに受け取っていた。
 そのまましばし、姉と弟の和やかな食事風景となる。忍者二人は、それを邪魔してはならぬ、と、そっと、部屋の端に身をよけて、それを見守っていた。

「本当に、仲がいい姉弟だな……」
 シュバルツがそっという言葉に、ハヤブサも軽く微笑む。
「そうだな……。血は半分しかつながっていない、義理の姉弟だが………」
「そうなのか?」
 少し驚いたように振り向くシュバルツに、ハヤブサは頷いていた。

「姫の本当の母親は、彼女が幼少の時に、亡くなったらしい。王は後妻をめとり、生まれたのが、ノゾム王子、というわけだ」
 ハヤブサは姫の護衛をしながら、彼女に関して調べた情報を、シュバルツに渡す。些細なことかもしれないが、こういう情報の共有も大事なことだ、と、ハヤブサは思っている。
「ノゾムとナディール姫、姉弟にしては、容姿が全然違うだろう?」
「確かに、そうだな……」
 ハヤブサの指摘に、シュバルツも頷かざるを得ない。ナディール姫は、流れるような金の髪だが、ノゾムは髪も黒く、どことなく東洋系を思わせる顔立ちをしていた。
 二人で仲睦まじく食事をしていた姉弟であるが、しばらくすると、ノゾムがクルリ、と、忍者たちの方に振り返り、2人のそばに歩み寄ってきた。

「あの………どうぞ」

 手に持っていたフランクフルトを、おずおずと差し出す。
「いや、俺はいい」
 ハヤブサは当然のごとく遠慮した。自分はもう、食材を買い出しに行くついでに、朝食は手短に済ませていたからだ。
「でも…………」
 それを聞いたノゾムが、少し寂しそうな顔をする。その表情を見たシュバルツが、優しく微笑みながら、ノゾムに声をかけていた。

「そうだな……。せっかくだから、いただこうか」

「おい、シュバルツ!?」
 ハヤブサは、少し驚いたように、シュバルツを見た。
 シュバルツは、DG細胞でその身体を構成されている、不死のアンドロイドだ。その動力源は『ヒトのココロ』であるがゆえに、彼は固形の燃料を積極的に摂取する必要がない。そういう存在であるのに。
 しかし、ハヤブサの愛おしいヒトは、その面に屈託のない笑みを浮かべた。

「いいじゃないか。せっかくこちらのことを思いやって、こう言ってくれているのだから」

 そう言って、シュバルツは「ありがとう」と、ノゾムからフランクフルトを優しく受け取る。その時ハヤブサは、(ああ………)と、なぜか一人で合点していた。

 シュバルツの動力源は、『ヒトのココロ』だ。ノゾムのこういった、『純粋に、他者を思いやるココロ』と、言うものは、シュバルツにとっては、最高の『食事』になるのではあるまいか。
(可愛らしいなぁ……。本当に………)
 知らず、萌えてしまって、自身も幸せな気持ちのままに、シュバルツから渡されたフランクフルトにかじりつく。そのまま何気なくシュバルツの方に顔を向けて─────ハヤブサは、そのままの姿勢で固まってしまっていた。

 長い、肌色のある程度の太さのモノに、かぶりつくシュバルツの横顔。

(エ………! エロい…………!)

 わかっている。シュバルツがかじりついているのはフランクフルトだ。
 なのに何故だろう。
 ハヤブサには、どうしてもフランクフルトが、別の何かに見えてしまう。

 ああ、シュバルツ。
 どうせかじりつくなら、俺のものを口に含んでほしい。

「ん…………!」

 涙目になりながら、苦しそうに息をするシュバルツの口内に、思いっきり─────

「ごちそうさま」

 その声に、はっと我に返るハヤブサ。見ると、フランクフルトを完食したシュバルツが、優しく微笑みながら、そばにいたノゾムにそう声をかけている。まだなんとなく熱を抑えきれないハヤブサは、知らず、ノゾムに声をかけていた。

「ノゾム」

「はい? なんでしょう、ハヤブサ様」
 振り返ってくるノゾムに、ハヤブサは言葉をつづける。
「今度は、シュバルツにバナナを食べさせてくれ」
「えっ? バナナをですか?」
「そう、バナナを。皮をむくところから────」

「何くだらん妄想をしているんだ!? お前は!!」

 ここで、ハヤブサの意図を正確に察したシュバルツから、鉄拳制裁が飛んでいた。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
面白い 面白い
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

戦う君に、花束を 101 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる