農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 132

<<   作成日時 : 2017/08/04 15:46   >>

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「そこにいたのか、ハヤブサ」

 ナディール姫の食事に付き添っているハヤブサのもとに、シュバルツがやってきた。
「話したいことがあるんだ。少し、いいか?」
 ハヤブサは、ちらりとナディール姫の方に、視線を走らせる。食事をしていた姫の手が、止まった。
「改まったお話であれば、別室でお伺いを」
 そう言って立ち上がろうとする姫を、シュバルツは手で制した。
「ああ、大丈夫だ。大した話ではないから」
 そう言うとシュバルツは、続けて口を開いた。
「実は、ドモンが………しばらく、ノゾム王子の傍に、滞在したい、と、言っているのだが………」

「まあ、ドモン様が?」

 ナディール姫が、少し意外そうな顔をする。
 ドモン・カッシュは、名の知られた格闘家。それであるが故に、ここでの滞在など、望むべくもない、と、思っていたが。
「もしかして、ノゾムが何か、ドモン様に無理を言ったのではないでしょうか?」
 少しそう思ってしまったナディール姫は、思わずシュバルツに問いかけてしまう。それに対してシュバルツは、苦笑しながら頭を振った。
「そうではない。この滞在は、ドモンの方が、強く望んだんだ」

「まあ………!」
「……………!」

 シュバルツのその言葉に、ナディール姫は素直に感嘆の声を上げ、ハヤブサは、少し複雑な表情を、その面に浮かべていた。
 ドモン・カッシュの力を借りられるのは嬉しい。嬉しいことの筈なのだが────
 素直に喜べないのは、何故なのだろう。

「構わないだろうか」

 問うてくるシュバルツに、「私は、構いません」と、ナディール姫は即答していた。
「良かった」
 シュバルツはにこっと、笑顔をナディール姫に向けると、ハヤブサの方に向き直った。

「ハヤブサ、少しいいか? 話があるのだが」

「ああ、いいぞ。話とは何だ?」
 ハヤブサがシュバルツの方に向き直ると、「ちょっと………」と、シュバルツが手で(部屋の外に出ないか?)と、合図を送ってくる。
「……………」
 ハヤブサは、無言で周りに『殺気』や『悪意』がないか探る。今なら、少しくらい姫の傍から座を外しても、とくに問題はなさそうだった。

「直ぐ近くにいる」

 ハヤブサは姫にそう言い置くと、シュバルツと共に部屋から出て行った。


「で、何だ? シュバルツ、話とは………」

 ハヤブサがシュバルツに問いかけると、彼は懐から、握り飯を取り出した。
「厨房で握ってきた。昼食まだだろう?」
「お、ありがとう」
 シュバルツから受け取り、早速ほおばる。塩加減が絶妙だった。
(どうせなら、梅干しも欲しいな……)
 ハヤブサがそう日本に想いを馳せていると、シュバルツが「話してもいいか?」と、切り出してきた。
「ああ、いいぞ」
 ハヤブサが頷くと、シュバルツは話を始めた。ノゾムの部屋で聞いた、メリルの話を────


「……………!」

 ハヤブサはただただ、絶句するしかない。
 何ということだ。
 姫を取り巻く環境も、相当ひどいと思っていたが─────

「ハヤブサ。私は王太后の周囲を、少し探ってみようと思う」

 ハヤブサは、少し驚いて、その面を上げる。
「………危険だぞ?」
 心配そうに眉を顰めるハヤブサに、シュバルツはにこり、と、微笑みかけた。
「案ずるな。私がそう簡単に死なないこと、お前も知っているだろう」
「それはそうかもしれないが………」
 ハヤブサにしてみれば、シュバルツが怪我をする、と、想像しただけで、もういたたまれない気持ちになるのに。
 目の前で穏やかに笑うこのヒトは、自身の身の安全に、あまり頓着してくれないから本当に困る。
 どう言えば伝わるのだろうか。
 お前は俺にとって、誰よりもかけがえのない、大切な存在だ、と、言うことを。

「キョウジも心配していたし、乗り掛かった舟だ。それに、実際私も………ドモンと同じ気持ちだし」

「………………!」

 はっと、ハヤブサは息をのんだ。
 確かにそうだ。
 互いに、憎みあう必要もないのに、周りの理不尽によって仲たがいさせられる兄弟の悲劇など────誰が好んで見たい、と、思うだろうか。

「分かった……」

 ハヤブサも、これ以上シュバルツの行動を、止め立てすることは出来ない、と、知れた。
 
「では、王太后の件は、お前に任そう。いいか? シュバルツ」

「勿論」

 シュバルツは力強く頷いていた。

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