農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 138

<<   作成日時 : 2017/08/29 13:55   >>

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「抹消された者たちに、政治の利権に口出す権利など、あろうはずもない。こうして王室は、醜い権力争いに政治が巻き込まれることを避け─────長きにわたり、この国の内政の安泰と、王室を、守り続けていたのです」

「………………」

 ハヤブサは、沈黙を守り続けていた。
 国の内政が荒れる原因の一つに、権力者による利権の争いは、確かにある。
 それを防ぐ手段として、このシステムは、確かに、有効な物のようにも思えるが─────

「しかし、様々な事情で、早くに自らの『王位』を、次の者に明け渡した王たちはどうなってしまったのか────」

 聞けば、ナディール姫も、ノゾム王子が成人すれば、王位を譲る意思があるという。
 だから、カライ内大臣は、調べられる範囲で、自力で調べた。
 王位を譲った『元国王』が、その後、どのような運命をたどったのかを。

 結果は、カライ内大臣が想像していたよりも、かなり悪い物であった。

 良くて、修道院に一生幽閉、もしくは国外に永久追放。中には、自ら死を選んだ王もいる。
(良くないな………)
 カライ内大臣の額に、縦皺が深く刻まれる。
 ノゾム王子が成人するとき、ナディール姫は御年28歳。まだまだ花も盛り。人生はこれからの年齢だ。

 姫は、ノゾム王子に王位を譲った後、どうする気なのであろう。
 まさか、そのまま『死』を選ぶつもりでは、ないだろうか────

「……私は最初、王から姫様に、『王の代理』をお頼みになられた、と、告げられたとき、半ば懐疑的な気持ちで、姫様を見ていました。王になるための英才教育を受けてこられたとはいえ、まだ18歳の娘です。代理とは言え、王の役目を背負うことなど、とうてい無理、と、思っておりました………」

 だが実際、ふたを開けてみるとどうだ。
 彼女は実に、王として相応しい行動をしていた。
 勿論、未熟なところは多々あったが────

 王として、何を大事にしなければならないか。
 彼女はすでに、それを身につけていたのだ。

「姫様と執務をとるようになって、私は確信しました。この国を背負って立てるのは、姫様しかいない。この国が、姫様を失うようなことがあってはならないのです。例え、どのような形であったとしても………」

「……………」

「ハヤブサどの……! 何とか、何とか姫様をお守りし通す方法は、ないのであろうか……!」

 縋るように、こちらを見つめてくるカライ内大臣に、ハヤブサは軽くため息を吐きながら、頭を振った。

「『王位』につくまで護衛するのが、俺の仕事だ。それ以上のことを要求されるのは、筋違いという物だ」

 ハヤブサの言葉に、カライ内大臣が、はっと息を呑む。

「きっと、王位を譲った後の姫を死なせないようにするのは、お前の役目だと思うし、彼女の人生に手を差し伸べるのも、俺の役目ではない。俺以外の、誰かの役目だ」

「………………!」
 カライ内大臣は、小さくため息を吐きながら、ハヤブサから視線を逸らした。
「確かにそうですな……。出過ぎたことを申しました」
「いや……」
「姫様の手を取る者も、きっと…………」
 ここまで話した内大臣は、深いため息を吐いた。

「………せめて『あの者』が、もう少し、しっかりしていてくれたなら………」

(あの者?)
 ハヤブサは少し考えた後、ああ、と、軽く察した。

「あら? カライ内大臣? 内大臣はどこですか?」

 その時、執務をしていたナディール姫が、内大臣に呼びかけてくる。
「はい、こちらに」
 内大臣が姫の前に小走りで進み出ていくと、ナディール姫は嬉しそうに、書類の束を見せてきた。

「カライ内大臣、見て下さい! 市民から、イガールに対する感謝の手紙がこんなにきてます」

「は、はあ………」
 カライ内大臣は、多少顔をひきつらせながら、市民からの手紙に目を通す。手紙には確かに、『感謝の言葉』が並べられていたが───
 内容が、庭の草刈りだの、行方不明になっていた猫を探してもらっただの、溝掃除をしてくれただの、仕入れを手伝ってもらっただのと、牧歌的な内容が続く。
 個人としては、全く善良なのだろうが────

『王』としての資質、と言う観点から考えると、疑問に激しく、首をひねらざるをえなくなってしまうのだ。

 勿論、目の前に起こる、日常的な小さな出来事を、おろそかにしていいわけではない。
 しかし、『それは王としての仕事なのか』と、問いかけてしまうと───

 それに対してナディール姫は、嬉しそうに書類の束を眺めている。

「やはりイガールは……きちんと仕事をしているのですね。市民の皆に、こんなに慕われて………」

(仕事をしている……? どうだろうな………)
 ハヤブサも、若干苦笑いながら、その書類の束を眺めていた。
 イガール騎士隊長の『仕事』と言えば、本来は城の警備であり、ナディール姫をはじめとした王族の『護衛』であるはずだった。現状では、その任からは、大いに逸脱している、と、感じてしまうのは、気のせいだろうか。

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