農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 140

<<   作成日時 : 2017/09/06 01:16   >>

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 彼の、優しさが好きだ。
 彼の、幸せそうな微笑みが、好きだ。

 彼の姿を見ただけで、その日は自分も、一日中幸せだった。

 父王に、姫がそのことを告げると、ガエリアル王は、娘の頭をやさしくなでながら、言葉を紡いだ。

「そうか……。イガールは、幸せそうだったか………」

「はい、お父様」

 頷く姫に、父王は優しく微笑みかける。

「ナディールよ……。覚えておきなさい。人は誰しも、この世に『生』を受けた以上、幸せに生きる権利がある……。しかし、生まれ落ちた場所や環境によって、それが難しい者もいるのが、現実だ……」

「はい………」

「生まれてくる時代も場所も、環境も、人は選ぶことはできない……。ならばこそ、せめて、この国に生きる者たちの、幸せに生きる権利を守り抜く。それが、我ら王家の役目だと、わしは心得ている………」

「お父様………」

「ナディールよ……。お前にも、その『想い』を、引き継いでほしいと、願っている………」

 イガールの、ここに至るまでの歩みを知ってしまった姫には、父王の言葉は、素直に胸に入ってきた。


 そうだ。幸せになってもらいたい。
 生まれてから今まで、環境に踏みにじられて生きてきた、彼のような人にこそ─────この国で、幸せになってもらいたい。

 それが適うのであるならば、これから自分が歩んでいく、逸脱の許されないレールのような人生にも、大きな意味が、きっと生まれてくることだろう。



 だから姫は、力強く父王に頷いていた。

 もう十分だ。
 この人生に、自分は十分、胸を張れると思った、から。

 私はこの道を生きていく。
 父の意志を継いで───


「私は、イガールには幸せになってもらいたい、と、願っています。でも………イガールを、私の横に縛り付ける気は、毛頭ないのです」

「姫様………」

「だって、イガールの人生は、もう、苦労の連続だったから────」

 ナディール姫は、屈託のない笑顔を、内大臣に向けていた。

「だから、これ以上、彼の人生に不必要な苦労なんて要らないじゃない? 彼は優しい心のままに、これから思う様に生きるべきなのよ。私はそれを、全力で護る。そう決めているの」

「………………」
 カライ内大臣は、姫のその言葉の前に、何も言えなくなって黙り込んでしまう。ハヤブサは少し、眉をひそめていた。
(確かに……イガールの幸せを願うのならば、姫の選択肢は、ある意味正しいと言えなくはないが………。本当にそれは、イガール個人の幸せに繋がっているのか? 肝心のイガールの『ココロ』がどこにあるのか分からないのに────その結論は、少し性急すぎではあるまいか)

 ナディール姫の気持ちはわかる。
 彼女はきっちりと、イガールに恋をしていて。
 だが、自分が置かれている『立場』では、彼を不当に縛り付け、彼の人生そのものを、自分のために浪費してしまいかねない。
 彼女はそう考えている。だから、彼女はイガールに、自分の『想い』を告げることはないだろう。このまま、この道を歩んでいくのであるならば。

 だが、イガールの方は。
 彼は、姫に対して、どのように想っているのだろう。

 ただの、『上司の娘』としてみているのだろうか。
 それとも─────

(姫様が死ねば………! 私も生きてはいません………!)

 ハヤブサがイガールと初めて戦ったときに、彼が見せた、あの涙を思い出す。

 あれは、『忠義』としての涙だったのか。
 それとも、それ以上の意味が────

(肝心の彼の『気持ち』が、全くわからんのだよなぁ………。せめて、ゆっくり話をする機会でもあれば、こちらだって何かしら、手を打てることがあるかもしれないのに………)

 人の恋路だ。あまり第三者が口出しをする、というのも野暮な話かもしれないが。
 もしも、イガールが、姫に対して『恋慕』に近い感情を抱いているのなら、『理解してやれる』と、感じていた。
 自分が愛している『シュバルツ』もまた、本来愛するのであるならば、あまりにも『禁忌』に近い存在であったから。
 『DG細胞』という、特殊な物で身体を構成されている彼は、いわゆる一つの『人外』であった。それは、『人のココロ』をエネルギー源として稼働するが故に、シュバルツは生きていくために食料を必要とせず、無限に近い再生力を細胞自身が持つが故に、不老不死に近かった。
 だが、『DG細胞』は、人間に感染し、暴走する危険性もはらんでいるが故に、彼は人間の世界から一歩身を引いた存在であろうとしていた。DG細胞の塊のような存在が、凶悪性を帯びず、その人格を保っているなど、実は稀な例だ。たいていはDG細胞の凶悪性に呑まれ、感染をまき散らしながら、大量殺戮を行う存在に成り下がってしまう。

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