農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 122 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/10/28 21:37   >>

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(素戔鳴が武器を落としている……! 今のうちに――――!)
 シュバルツは体勢を立て直して、ハヤブサを抱えて素戔鳴の前から逃れようとする。しかし、周りを弓兵にぐるりと取り囲まれてしまい、下手に身動きできない状態になってしまった。しかもハヤブサが、素戔鳴からシュバルツを庇うようにその前に出て、シュバルツがそこから出ようとするのを押さえこむようにしている。
「シュバルツ……! 絶対に俺より前に出るなよ!!」
 シュバルツをその身の後ろに庇いながら、ハヤブサは思った。
 素戔鳴が武器を落としているこの状態。シュバルツの力と脚力であるならば、確かに、この危地を脱出する事は出来る。しかし、『無傷』で脱出する事は、ほぼ不可能に近かった。間違いなく、何本かの矢はその身に受けてしまう。しかも、シュバルツは脱出するとなると、間違いなくこちらを庇おうとするだろう。
 そんな事をさせてしまったら、総てが終わりだ。シュバルツの『死』の運命が、避けようのないものになってしまう。

 嫌だ。
 絶対に。
 俺はシュバルツを守りたい。
 守りたいのに――――。

 何故。

 激痛が走り、全く力が入らない左足にハヤブサは歯噛みする。
 何故今、動く事が出来ないのか、この身体は――――!

 今なら、分かるのに。
 素戔鳴の剣の軌道がどう動くか。その剣先から、雷撃がどう走るのか――――
 その攻撃を受け続けたおかげで、手に取る様に読む事が出来る。
 今の自分なら、素戔鳴の攻撃に対処する事が出来るのだ。――――身体さえ、動けば。
 それが思うように動かない自分の身体。
 ハヤブサにはひどく腹立たしく感じられた。

「ハヤブサ……!」

 ハヤブサに庇われながら、シュバルツは辟易していた。
 本当ならば、無理やりハヤブサを抱きかかえてこの場を脱出しなければならないと、シュバルツは分かっている。
 もう充分だ。
 ここまで必死に自分の事を守ってくれようとしているハヤブサ。それを守って死ねるのならば――――もうここで死んでも悔いはないと思えた。罪にまみれたこの身には、もう充分すぎる程の幸せを、味わっているように思う。

 しかし。
 しかし何故か、シュバルツは今のハヤブサに手出しができなかった。
 今――――ハヤブサの意に反して自分が動いてしまったら
 彼に酷く残酷な傷を負わせてしまう事がシュバルツには分かってしまったから。
 まだハヤブサは、戦い続けている。
 剣を上げ続けている。
 助けなど、決して求めてはいない。
 ならば自分は、見守るべきなのだ。このハヤブサの戦いを。彼のパートナーで居たいと願うのならば。
 それほどまでに――――シュバルツはハヤブサから、鬼気迫る何かを感じ取っていた。

「大したものよ。また汝(なれ)に、傷を負わされてしまうとは――――」
 仁王は不敵に笑いながら、右手首からハヤブサのクナイを無造作に抜く。血にまみれたクナイを素戔鳴は足元にカラン、と、音を立てて転がしてから、ゆっくりと天叢雲の剣を拾いなおした。
 ハヤブサの方もまた、龍剣を抜刀する。その様子を見た素戔鳴は、思わず目を細めていた。
「ほう………そんな状態でまだ抜刀するとは……。汝はよほどの戦い好きか、その後ろに居る『モノ』を守りたがっているように見ゆるな――――」
「……………」
 素戔鳴のその言葉に、しかしハヤブサは答えない。苦しそうに肩で息をしながら、素戔鳴を睨み据えていた。
「汝に問う。その後ろに居る『モノ』は……それほどまでに守るべき価値のあるものなのか?」
「……………」
 その問いにも、ハヤブサは答えない。素戔鳴は、フッと、小さくため息を吐いた。
 この問いに、目の前の忍者から答えが返って来ても来なくとも、別にどちらでも構わなかった。あれは自分にとっては、酷く邪悪な物の塊で、滅殺するべき対象である事実に変わりはないのだから。
 ただ、そんな物を必死に守ろうとしている目の前の忍者が、酷く滑稽で、哀れにすら思えた。

「討て」

 素戔鳴は部下たちに、無造作に命じる。兵士たちはその命を、忠実に実行した。
「――――ッ!」
 ハヤブサは、総ての矢を弾き返す。それを見た素戔鳴は、第二波を放つよう命じる。それもまた同じように弾き返された。
「…………!」
 重傷を負っているはずの目の前の忍者の神業に、素戔鳴は息を飲む。肩で息をしているその忍者の眼光から、なおも闘志が消えることなく輝いている。これは侮らず――――自ら手を下さねばならぬと素戔鳴は判断した。
 右手の天叢雲を握り直し、そこに雷光を宿らせる。今度こそ勝利を確信して――――素戔鳴は再び部下に命じた。

「討て」

 部下たちが矢を放つと同時に、自分もまた天叢雲の剣から雷撃を放つ。この攻撃を避ける事は、あの忍者には不可能。今度こそ目の前に二つの遺骸が転がっている――――そう確信していた素戔鳴は、しかし驚愕で目を見開く事となった。

「何っ!?」

 避けられたからだ。目の前の忍者に。自分達の攻撃が。
 信じられない事にその忍者は、後ろのモノを抱きかかえて横っとびに『跳んで』いた。自分は、間違いなくあの忍者の足を叩き折っている。そしてあれだけの傷を負っている身体。もうその場から一歩も動けないふうであったと言うのに。
「う……! ぐ………ッ!」
 ただ、傷だらけのハヤブサは、もうあまり遠くへは跳べない。そして、シュバルツを庇って跳んだため、その身体には矢が何本も刺さっている。
「ハヤブサ!! ハヤブサ!!」
 驚愕したのはシュバルツも同じだった。
 無茶苦茶だ。
 まさか――――ここまで傷だらけのハヤブサが、自分を庇って跳ぶなんて。

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